四百二番槍 なんで洩らしちゃうかなぁ…
テストも学長賞も嫌です…。
特に学長賞。
周りの候補生は私より優秀な人ばかりです。
全力を出して負けるのは「お前は他の人より実力がない」と言われてるようで、本気で嫌なんです。
だったら、誰の目にも明らかなくらいに力を発揮せずに負けた方がいいんじゃないかと…。
「お前適当すぎるぞー。ありゃ勝てないわ」って言われるくらいの方が言い訳ができて良いんじゃないかと。
全力でやって負けたら言い訳もできないんですから…。
あー…。
逃げたいなぁ…。
それとも、たまには全力で戦ってみますか…。
時は戦国、世は乱世。
真剣な面持ちで家臣を呼び出す男がいた。
明智光秀である。
そして呼び出されたのは明智秀満。
光秀の側近である。
なにやら相談があるらしい。
その相談というのは…。
「ねぇ、秀満。織田信長って討ってもいいと思う?」
凄い内容だった。
「え…。えっと…」
少しの間口ごもる秀満だったが、すぐに言い返した。
「殿の恨みはわかります。でも、信長様には大変お世話になっています。こんなに領地を貰っているではないですか。謀反など起こしては間違いなくこっちが死にます。やめましょう」
「そうか…わかった」
この場では光秀は思いとどまったのである。
しかし光秀、他にも相談している者がいた。
斎藤道三の遠い親戚の斎藤利三。
後に光秀の介錯をすることになる家臣の明智茂朝。
光秀の叔父の息子である明智光忠。
もはや誰だかよく分からない藤田伝五郎。
一つ言えることは、全員年老いているということである。
「秀満、昨日4人にも相談したんだけど、お前と同じように思いとどまるよう言われてしまった。じゃあ止めるか」
それを聞いた秀満、顔色が変わった。
「いや、そんな老人4人にまで相談したのではもう手遅れです。いずれ秘密は洩れましょう。そうなれば処分は免れません。そのまえに…やられる前にやるのです!」
この秀満の言葉により、本能寺の変は実行されたのである。
明智秀満の逸話でした。
謀反賛成者いないのね…。
もうそこまで広まったらやるしかないと、半ば使命感でやった謀反でした。
しかも本当に身を滅ぼす結果に…。
秀満も観察眼に優れた人だったのでしょう。