三百九十六番槍 それじゃ大名になれませぬぞ
来月の頭…というか今月の最終日からテストです…。
負けない!
また図書館でも何でも行って勉強してやりますよ!
レポート終わった瞬間テストとか…大学も酷いですよ全く…。
アブラゼミの声が響く。
小路の先は陽炎で揺れている。
「暑い…」
宮部継潤の家臣、田中吉政は、うだるような暑さの中で歩いていた。
そしてたまらず、茶屋に入り込んだのである。
風通しの良い建物は日陰となっており、外よりかなり涼しい。
吉政はそこでしばしの間昼寝をしようとした。
枕として選んだのは升。
升を枕として昼寝に入ろうとした。
その時…。
「将来一国一城の主ともなるようなお方が、升なんかを枕にしてはなりませぬぞ。それではせいぜい1000石止まりとなりましょう」
茶屋の客だった、目の不自由な男から吉政はそう忠告された。
「俺が…一国一城の…?」
「はい!あなたには素質があります!」
そう言われ、吉政は感謝した。
「そうか、忠告ありがとう!お礼に酒とエビを受け取ってくれ!」
そういってそれぞれを1升分手渡したのだった。
それから数十年後…。
言われた通り、吉政は筑後を治める身となっていた。
入国の際に集まった民衆の中に、あの日の男を見つけた。
「あなたは…あの時俺に忠告をくれた…!本当に一国一城の主になったぞ!」
「…だから言ったのですよ!」
二人は再会を喜んだ。
「よし、あの日の恩返しだ!そなたを検校加賀都に任命する!」
こうして吉政はその男を召し抱え、年老いるまで面倒を見るのであった。
田中吉政って誰?という疑問にお答えしましょう!
関ヶ原の戦いの時、敗走して隠れた石田三成を捕らえた人です。
三成曰く「他の人間に捕まるくらいならお前に捕まった方がいい」だそうな。
因みに、「一国一城の主になられるお方が…」と言われたとき、吉政の収入は7石。
よくぞまぁこれでそんなこと言われましたね…。
しかし後々の大出世を見るに、やはり才能はあったのだと思います。