三百六十三番槍 甘えません
サークルで飲み会がありました。
私飲んでませんけど。
そこでの一幕。
「ミスターさん、好きな人いるの?」
「巫女さんとか?」
「いや、普通に特定の人でさ」
「ん~…いとこ?今が可愛い盛りだから」
「彼女は?」
「積分すればいるよ」
私はこういう人です。
好きな人より好きな妖怪の方が多いです。
「わしも老いた…。もうすぐ死ぬのか…」
病を患い、ただ己の最期を静かに待つのは大久保彦左衛門。
徳川家に仕える老将である。
長い長い生涯を、今終えようとしている。
そんな時、徳川家光が見舞いに来た。
「主にも散々徳川の家を支えてもらった。感謝してもしきれない。だから、どうだ?1万石の大名にしてやろうと思う。感謝の気持ちだ」
家光はそう言ったので。
しかし、彦左衛門は断った。
「それはありがたい、もったいなきお言葉。しかし、こんな死にゆく老人に領地を増加したところで、もう何もできませぬ。役に立てないので、増加してもらうわけにはいきません」
そう言って家光を帰したのだった、
後日、増加をもう一度考えてほしいと家光は使者をよこした。
しかし、彦左衛門は頑固だった。
「いりません」
「しかし、領地を子孫に残せば、忠誠を貫いた証として、それはそれは大いに面目が立ちますぞ!」
「子孫はこんな先祖の威厳になど頼らず、自分の力で増加されるべきです!」
そう言って使者も追い返したのだった。
結局、死ぬまで増加を断り続けたのだった。
大久保彦左衛門の逸話でした。
増加を拒み続ける彦左衛門。
頑固として有名な人でしたから。
頑なに拒み続けた結果、将軍すらも増加させることはできませんでした。
因みに、彦左衛門の墓は自分で建てた寺にあるそうです。
都内なのでもし機会があればどうぞ!