三百三十二番槍 最後通牒 飲むか?飲まぬか?
由佳
「紗代ちゃんは、理系ですか?文系ですか?」
紗代
「私、それ微妙なんですよね。地学とか好きなんですけど、日本史もやりたいんです」
由佳
「それは両立し難いかもしれないですね」
紗代
「その時が来たら考えます」
明日香
「私は得意科目無いからな~」
ひなた
「ほ、ほら!これから…これからだよ!」
明日香
「ん~…。調理実習とか?」
紗代
「科目ですらないよ。授業内容じゃん」
明日香
「まぁ成り行きでさ!」
由佳
「明日香ちゃんとかが意外と成功したりしてね」
明日香
「意外とってなんですかー?」
紗代
「いや、意外とでしょ」
ひなた
「う、うん…」
さんざんぱら利用するだけ利用してきた、便利な道具。
ただ、その道具が牙をむこうとしている…。
利用者は織田信長。
道具は、第十五代足利将軍、足利義昭。
信長は、自分の地位を確固たるものにするため、義昭を利用したのだ。
かねてから将軍になりたがっていた義昭を将軍に担ぎ上げたのである。
しかし、そこには様々な制限が付いた。
将軍としての力を持たせないようにするための、信長の策であった。
当然、義昭には不満が残る。
その不満は信長を倒す方向へと向かっていくのである。
まずは味方作りから。
「信長が我をないがしろにしていて悔しいです!みんなで信長を輪になって囲みましょう」
そんな手紙を書いた。
信長と敵対していた勢力である、武田信玄や本願寺の顕如。
後に焼き討ちされる比叡山延暦寺や、やはり焼き討ちされる願証寺など、名だたる勢力が信長を囲った。
いわゆる「信長包囲網」である。
「ああ?義昭が反逆しようとしてるって?」
信長はこの動きを知らされ、すぐに動くことになった。
十七条の憲法ならぬ、十七条の弾劾状を送りつけたのである。
これは最後通牒である。
これに従わなかった時には武力で従わせる。
身勝手な行いをやめろ。
この悪御所め。農民からそう呼ばれているぞ。
内容はそのような物であった。
悪御所とは、本来第六代足利幕府将軍、義教のことを指すのだが、あえて使った。
しかし、義昭はこれに従わなかった。
信長にとっては思う壺である。
将軍を滅亡に追い込む大義名分を得たのだ。
農民だって信長がそのように非難した将軍を追い出すことに反対するものはいなかった。
半ばあの弾劾状は宣伝でもあったのだ。
義昭の評判を地に落とすための。
あとは簡単だった。
「かかれー!悪御所を追放するのだー!」
武力をもって義昭を都から追放し、室町幕府は滅亡するのであった。
信長が義昭を追放した時の流れですね。
最近逸話より流れを書くようになってきた…?
いや、大丈夫です!
まだやれますよ!
ネタが無いわけじゃないですよ。
さて、この弾劾状、確か全文分かってたはずです。
現代語訳してくださってるサイトとか見た記憶があります。
信長包囲網を組み立てようとしたことを理由に京都を追い出した信長。
この包囲網も信玄が病死したことで崩れるんですけどね。
義昭は不憫ですね。
それでも義昭の評価自体は低くないみたいですよ。
今回ほとんどセリフ入れなかったですね…。