三百二十六番槍 名前なんてなんでもいいよ
晴美
「第一回歴史雑学対決ー!」
乙葉
「なんですかこれ?」
晴美
「作品にしにくい逸話を前書きでパパッと紹介しようという企画だ!せっかくだから対戦形式にしてみた」
乙葉
「なるほど!」
晴美
「あんまり長いと嫌われそうなので先にいくぞ。今回の対戦者は楓とすみれ!さぁ、レディ!ファイト!」
乙葉
「ルール説明すらしないんですね」
楓
「秀吉の血液型はО型!血判状に血が残ってるのよ!」
すみれ
「血液型なら、伊達政宗はB型!」
楓
「上杉謙信はAB型!」
すみれ
「カツオを食べるようになったのは北条氏康が発祥!縁起を担いだのが始まり」
楓
「戦艦大和には船内にラムネ製造器が積まれていた!」
すみれ
「西郷隆盛は、実は本名じゃない」
楓
「え?じゃあ本名何?」
すみれ
「本文読んでみ」
1869年。
時は年号が江戸から明治へと移った翌年。
明治天皇は、明治政府を作るのに貢献した人物に位階を授けることにした。
位階とは、栄典の一種であり、国家にとって勲功・功績のあった者に対して授与される位のこと。
古く言えば官位十二階にあたるものである(byウィキ)。
その中の一人、西郷という人物に位階を与えたいと考えた明治天皇だったが、いかんせん名前が分からない。
名前が分からないと書類に書けないから、位階を授けることができないのである。
「直接聞いてきてくれないか?」
「今西郷さんは函館に遠征中っす」
「えー…」
明治天皇は名前を聞き出すことに失敗した。
仕方がないので、西郷の友達である吉井友実に尋ねることにした。
「お前西郷さんと仲良いだろ?」
「はい。良いっすよ」
「あいつの名前何?」
「…?えーと…?ツン…?」
「それ飼い犬の名前だろ?雌の犬。上野で銅像になってるやつ。犬じゃなくて本人の名前は?」
「えーと…」
友実はなかなか思い出せなかった。
なぜなら、いつもニックネームで呼んでいたからである。
因みにニックネームは吉之助である。
めっちゃ考えた末に、一つだけしっくりくる名前が浮かんだ。
「そうだ!隆盛!隆盛ですよ!」
「人間五十年~」
「それは敦盛です!無理がある間違いですよ!」
こうして明治天皇は署名欄に西郷隆盛と記入したのであった。
それから暫く。
「西郷が帰ってきたぞー!」
遠征から帰宅した彼に、友実は質問した。
「吉之介さんって本名隆盛でしたよね?」
「へ?それおいの親父の名前だな」
「え…?」
友実は固まった。
「どうした?」
「天皇に吉之介さんの名前、隆盛って伝えちゃいました…」
「おいは隆永が本名だぞ。なんで忘れてんのさ」
「どどど…どうしましょ!」
「まぁ別によか。名前なんてなんでもいいよ。おいはおいだ。名前が違ったからって他人になることはねぇ」
「吉之介さん…!」
こうして、後世には西郷隆盛という名前が伝わることになったのだった。
久しぶりに戦国時代から外れました。
西郷隆盛は本名じゃないんだよーという逸話です。
書いてて思ったのは、明治以降に活躍した人って書きづらいなと…。
いわゆる「キャラ」として書いていいものか迷いました。
特に明治天皇…。
なんか昔テレビでやってたなーとふと思い出して検索かけて書いてみた逸話です。
特に補足で説明できることが無いのが欠点です…。
次はいつものように戦国書きます。