三十二番槍 河越城を救出せよ!
合戦シリーズ第二段です!
「河越城が、扇谷上杉朝定に囲まれただと!?」
小田原にいた北条氏康は知らせを聞いて叫んだ。
「皆の者!これより河越城救出に向かう!指揮はわしが取る!」
氏康は、8000の兵を率いて河越城へと向かった。
そこまでは良かったのだが…。
敵となる上杉軍の数は85000の大軍。
それを知った氏康は、朝定に手紙を書いた。
『河越城を明け渡すことを条件に、停戦しませんか?』
これを見た朝定は大笑いした。
「あははは!馬鹿め!力の差は歴然だ。貴様らが負けているのに、停戦などとわけの分からぬことを…。敵は怖じ気づいているぞ!北条をぶっ潰すチャンスだ!」
朝定は、25000の大軍を北条氏康が陣を置いた砂久保に送った。
「何とっ!?上杉が攻めてきたっ!?ん~…。撤退!撤退だっ!」
戦うことなく氏康は撤退してしまった。
「氏康め!この上杉を恐れたかっ!」
勝利を確信した朝定だった。
その夜。
「鎧は着るな!紙の羽織りを着ろ!そして首は絶対に取るな!斬り捨てよ!」
氏康は、軍にそれだけを命令した。
そして日付の変わった午前0時。
「行けっ!」
氏康が刀を突きつけた先には、上杉軍が眠っていた。
突然のことで慌てる上杉軍。
「一番隊は切り崩せ!二番隊は三番隊が突っ込んだら逆進しろ!三番隊も斬り込め!」
正確に采配を振るう氏康。
四方八方から北条軍が襲い掛かる。
暗い中、紙の羽織りがよく目立った。
「引き上げよ!反撃を受けるな!」
氏康は早々に兵を引いた。
この奇襲により、上杉朝定は討ち取られた。
「氏康様、これほどの戦ができるのに、何故停戦を申し込んだのですか?」
家臣が氏康に尋ねた。
「朝定が停戦を受け入れる訳がないのは最初からわかっていた。戦うことなく撤退したことも手伝って、朝定はわしが怖じ気づいたものだと完全に油断しただろう」
「じゃあ…全ては、上杉を油断させるための…!」
「そういうことじゃ。次は松山城じゃ!」
氏康は松山城をその足で攻略し、小田原城へと凱旋した。
河越夜戦。
扇谷上杉朝定と北条氏康の戦いです。
戦わずして撤退したり、わざと停戦しようと申し出たりして、朝定を油断させた氏康。
全てが作成通り。
氏康は油断した朝定に夜襲をしかけて勝利しました。
氏康は、兵に紙で作った白い羽織りを着せて夜でも目立つようにしたり、合い言葉を決めて同士討ちを防いだりしました。
河越城の戦い、ほとんどが私の地元から近いのでテンション上がります(笑)
因みに、今は河越ではなく川越です。