三百十一番槍 妹の逆襲
明日香
「サブタイトル的に主人公は私!?」
晴美
「逆襲させてなるものか!」
明日香
「最初、進撃の妹か妹の逆襲かで迷ったらしいよ」
晴美
「進撃の妹!?」
明日香
「うん。流行ってるからさ」
晴美
「パクリ…。で、今回の逸話の妹って誰?」
明日香
「それは読んでのお楽しみ!(知らない人だったとは言えない)」
「この額の傷は、松永久秀が謀反した時、俺が城に先陣を切って突入したときにできた傷だ!つまり勇気の証みたいなもんだ!」
細川忠興は、額にある傷跡をやたら自慢していた。
一番槍を挙げた時にできた、言うなれば勲章のようなものらしい。
忠興にとって傷は見せたいものだった。
そんなある日。
事件はいつも唐突にやってくるものである。
本能寺の変。
織田信長が倒れたのである。
このとき、忠興の妹である伊也が嫁いでいた、一色義定が、明智光秀に加担して信長を死に追いやったというのだ。
忠興と義定は前々から仲が悪かった。
これはぶっ倒す大義名分ができた。
いつ殺るか?今でしょ!
忠興は義定を兵100人と一緒に宮津城で謀殺したのだった。
その時、伊也も忠興のもとへ帰ることとなった。
その後、久しぶりの兄弟対面を果たすことになり、二人は部屋で向き合って座った。
「久しぶりだな、伊也」
声をかけた忠興だったが…。
「黙れ…黙れ!夫の敵ぃぃー!」
「うわっ!待て!伊也!」
なんと隠し持っていた刀で忠興を切り付けたのだ。
幸い、鼻が切れただけで命には関わらなかったが、傷は残った。
伊也はその場で取り押さえられたという。
それ以降、忠興は顔の傷を自慢することはなくなり、誰も傷について触れる者もいなくなったのだった。
忠興の逸話でした。
額の傷が自慢だったのに、妹に切られた傷ができてからは自慢できなくなりました。
確かに不名誉な傷ではありますね。
妹の夫殺したあんたが悪い!って言われる気もしますが…。