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2周年記念! 戦国大運動会!終結

乙葉

「日の本の!」


晴美

「お殿様!」


「連載!」


すみれ

「2周年!」


由佳

「ご愛読!」


鬨哉

「ありがとう!」


明日香

「ございます!」


紗代

「これからも!」


ひなた

「よ、よろしく!」


全員

「お願いします!」


「最近出番少なくない?」


すみれ

「最近活動してないから」


乙葉

「活動はしてますよ!」


晴美

「作者が書かないだけだな」


明日香

「じゃあ誰が悪いのか鮮明だね!晴姉ぇ!」


ひなた

「あの…謝ってください」


ごめんなさい。

応援合戦が始まった。


それぞれクラスの代表が前に出て、自分のクラスを鼓舞する。


で、最後に申し訳程度に相手を応援するのだ。


場合によっては、現在ビリのチームがトップのチームを応援しなければならないという理不尽も生じる。


まずは信長くんのクラス。


「勝ち鬨を挙げよ!」


『おー!』


信長くんの呼びかけに応えて、クラスが鬨の声を挙げた。


「天下布武!」


『人間五十年!』


「下天のうちを比ぶれば!」


『夢幻のごとくなり!』


「一度生を享け!」


『滅せぬもののあるべきか!』


そんな掛け合いを行った。


いわゆる「敦盛」の一節。


いかにも信長くんの趣味が光っている。


そして相手を応援する時間。


「最後にー!敵クラスながらエールを送る!」


『オー!』


信長くんがエールを送る相手は、顕如くんがいるクラスだった。


「お前の家を燃やしてやる!」


『焼き討ちだー!』



こうして次は顕如くんのクラス。


まずは自軍の士気を高めるための呼びかけ。


「南無阿弥陀仏!」


『南無阿弥陀仏!』


「南妙法蓮華経!」


『南妙法蓮華経!』


「寺ずっきゅん!」


『ずっきゅん!』


「さぁ、みな鍛えるのだー!」


『おー!』


そんな呼びかけをした後、相手の応援に入った。


家康くんのクラスである。


「極楽浄土に連れてってあげる!」


『物理的に!』


もやは脅迫である。


さて、家康くんチーム。


応援合戦が始まった。


「慈に忠良なる爾臣民に告ぐ!耐えがたきを耐え忍びがたきを忍びもって萬世のために太平を開かんと欲す!」


『おー!さすが団長ー!』


「脱糞しても逃げるなー!」


『オー!』


「負けても恥じるな!その瞬間の自分を写真に撮れ!」


『しかみっつらでも記録します』


「勝機もちり紙一枚も無駄にしてはいけない!」


『そうしていつかは優勝を!』


よく分からない呼びかけだった。


そして最後に、信長くんのチームへ呼びかけ。


「絆の力で天下を統べる!」


『武器など捨ててかかってこい!』


もはや応援ではなく挑発である。


こうして応援合戦は無事(?)終了。


応援合戦というか茶番劇に近かった気もするが突っ込んではいけない。


次は30人31脚。


プログラム通りに進む運動会。


まだまだ競技は残っている。


30人31脚は、各チームが横に30人で並んで走る、二人三脚の強化版である。


当然何チームも横に並んで走るわけにはいかないので、タイムで比べる。


一走目。

信玄くんのクラス。


信玄くんが真ん中で指示を出す。


走者は気合が入ったチーム編成である。


武田信玄・武田勝頼・武田信繁・武田信廉 ・穴山信君・板垣信方・甘利虎泰・馬場信春・飯部虎昌・山県昌景・高坂昌信・真田幸隆・内藤昌豊・秋山信友・三枝守友・原虎胤・小山田信茂・多田満頼・真田信綱・土屋昌次・横田高松・小幡虎盛・曾根昌世・原昌胤・真田昌幸・山本勘介・諸角虎城・勝沼信友・栗原信友・飫富虎昌の30人である。

みんなのプロフィールや名前の読み方はググって欲しい。

恐らくキラキラ輝いている名前の子はいないはず!


武田二十四将とまで呼ばれた信玄くんの親友と、その他運動のできる友人で固められている。


体の不自由な勘介くんはこの日のために猛特訓した。


その結果、覚悟を決めて突っ込むのが最適だという判断をくだした。


横一列に並ぶ30人。


信玄くんには秘策があった。


秘策を脳内シミュレーションしながらスタートを待つ…。


そして…。


大砲が鳴る。


と、同時に走り出した30人。


中ごろまで息を合わせて走っていた一同に、信玄くんが指示を出した。


「勘介行け!」


「おう!」


そう叫ぶと、なんと列を二つに分けた、


信玄くんの方には12人。


勘介くんの方には18人。


しかも、勘介くんの方が先にゴールに入った。


そしてクルッと振り返り、遅れてゴールに入った信玄くんたちとハイタッチしている。


「これがタイムを縮めるための秘策…!啄木鳥戦法だ!予め勘介くんとのバンドを切れやすくしておいたのよ!どうだ!これで優勝はもらった!」


因みにこの競技、足のバンドが外れたら…。


「失格!」


である。


そんな信玄くんを、遠くから見ている生徒がいた。


上杉謙信くんである。


「ふむ、信玄。やはり啄木鳥戦法だったか」


そう呟いた。


「え?謙信くん、あの作戦読んでたの?」


他の生徒が驚いたように聞いた。


「なんとなく、ね。さっきチラッと見たら、信玄くんのクラスはいつもより昼飯をがっついていた。あれはこの作戦を実行するために体力をつけていたのではないか、と」


「なるほど…」


変なところで当てる謙信くんだった。


次の走者は織田信長くんのクラス。


やはり本気のメンバーである。


織田信長・河尻秀隆・佐々成政・毛利良勝・生駒勝介・水野帯刀・津田左馬尤・蜂屋般若介・中川重政・中島主水正・松岡九郎次郎・織田越前守・前田利家・飯尾信宗・福富貞次・原田直政・黒田次右衛門・毛利長秀・野々村正成・猪子一時・浅井新八・岩室長門守・加藤弥三郎・山口飛騨守・佐脇藤八・森蘭丸・滝川一益・明智光秀・山内一豊・柴田勝家。

やはり読み方とプロフィールはググってほしい。


母衣衆と呼ばれる信長くんの親友と、いつも集まっているメンバーである。


走る前、勝家くんは自分の水筒の中身を校庭に撒いた。


光秀くんは「ときは今、天にしたしる、さつきかな」と俳句を詠んで、「信長くんの歩幅はどれくらいであろうか」と呟いた。


成政くんはウォーミングアップとして雪が残るアルプス山脈を往復した。


利家くんは愛妻弁当を食べた。(小学生なのに)


各々準備満タンである。


さぁ横に一列に並びスタートを待つ。


「位置について…よーい…」


大砲が鳴った!


一斉に走り出す一同。


勢いは中盤でも衰えることは無い。


掛け声は「理念・信念」


勢いはゴール目の前でもそのまま。


そして…ゴール!


この競技は信長くんのクラスが勝った。


「勝利に貢献してくれるのは「優秀な者」よりも「能力は並の上だが、忠実な者」の方なんだ。つまり、足が速い奴よりも、足は普通だが心を合わせてくれる奴の方がいいんだよ」


信長くんは走り終わった後のインタビューでそう答えたのだった。



次はパネル文字。


勝敗に関わるものではないが、見世物として評判がいい。


パネルを持った生徒が6段重ねになり、文字を作る。


パネル一つ一つがパズルのピースであり、遠くから見れば大きな文字となっているのである。

パネルは画用紙製。二枚重ねになっており、めくることで次の絵を出す。

1面は使用しないので、3枚の文字を表示することとなる。


見ている分にはきれいだが、やっている方は地獄。


1段目は寝っころがる。

2段目は寝っころがっている人の上に座る。

3段目はどぎつい中腰。

4段目は軽い中腰。

5段目は肩車の下。

6段目は肩車の上。


特に中腰は地獄である。


その地獄の3段目に当たった毛利元就くんと、その隣にいる同じく3段目の尼子経久くんが何やら話していた。


「おい、お前膝がガクガクしてんぞ?」


「うるせー」


元就くんが経久くんに言い返す。


しかし、実際はかなり辛かった。


で、こんな話を始めた。


「1本の矢は折れやすいが、3本の矢は折れにくい。つまり、3本の足で腰を支えれば!」


そう言って、経久くんの膝に座ろうとした。


「だー!やめろ!」


「ちっ」


作戦は失敗だった。


「しかし、俺のパネル全面白だぜ。これいるか?」


元就くんが言った。


場合によっては、3枚出す文字の全てが余白部分であり、全部真っ白なんてこともある。


元就くんはまさにそれだった。


「お前のはいいよな。ちょろっとでも描いてあるんだろ?」


「あ?ああ、ちょっとだけな」


「いいよな、まったく」


「お?欲しいか?」


突然経久くんがきいた。


「いや、いらんけど…」


「なんでだよ!いいから持ってけって!」


「それお前のじゃねーだろ…。学校のだろ」


「いいからいいから!あげるよ!」


「いらねっての!」


「貰えよ!」


「しつこいぞ!いらんわ!」


このやたら人にあげたがる経久くんの性格は、天正無欲正直な人とニックネームが付くほど。


持ち物を褒められるとついあげたくなっちゃうらしい。


しかしやたらしつこいのが玉に傷である。


因みに、冬の登校中に寒がってた下級生に上着をあげたとかで、物凄い薄着で学校に来たのは有名な話。


二人は言い争いをしていてパネルをめくるのを忘れるのだった。


今年表示された3枚の文字は…。


「貧乏公方」「朝鮮行きたい」「輪になって囲もう」の三つだった。


すこぶるどうでもいい足利義昭校長の呟きだった。


残りの競技は大玉送り・組体操・リレー・騎馬戦。


これらを全部1位通過なら、ビリでも逆転できるほどである。


組体操は得点競技ではないが…。


次の競技は大玉送り。


クラス全員で大玉が通る道を作り、手で転がす。


文字通り両脇から手を出して最後まで送るのである。


最後まで行ったら折り返す。


折り返しは地面を転がすのではなく、頭上で送る。


転がすよりも難易度は高い。


指示を出すのと補助を兼ねた1人が大玉の転がる方向をサポートする。


クラス対抗試合というだけあって、優勝を左右する競技である。


それぞれのクラスで大玉を初期位置へ構える。


そして…。


ドゴォン!


スタートの時を迎えた。


「球なら任せて!でっかい蹴鞠みたいなんもんでしょ!」


そう言って物凄い勢いでボールを蹴ったのは今川氏真くん。


ボールは物凄い勢いで、生徒が作った壁を伝ってカーブを曲がっていく。


勢い余って生徒は吹っ飛ばされていた。


やっと立ち上がったら、今度は頭上を大玉が飛んでくる。


氏真くんが蹴鞠のように…というかサッカーのシュートを蹴るように大玉を蹴って飛ばしたのだ。


「ほら!急いでみんな!」


氏真くんは先回りして、ボールを受け取ると一人ゴールとなる校庭の中央に持っていくのだった。



一方、十河一存そごうかずまさくんが補助を務めるクラス。

この名前だが生徒会ではない。「いちぞん」と読んではいけない。


選手宣誓をやった三好くんたちのクラスである。


クラス全員の髪型がみんな同じである。


十河額とかいう髪型らしい。


一存くんがやったら流行った。


男子も女子もみんなコレである。


野球部が坊主なのと同じ心理なんだろう。



大砲の音と同時に走り出した一存くん。


ボールをクラスのみんなに託した。


その時…。


「グワッ!」


バランスを崩して転んでしまった。


左腕に擦り傷を負ってしまった。


「ぐぅ…」


「大丈夫?補助、変わろうか?」


近くにいたクラスメイトがそう提案したが…。


「大丈夫だ!問題ない」


そう言って、傷口にどこからか取り出した、弁当のゆで卵に使った余りの塩を塗った。


「うぅ…」


苦しげに声をあげたが…。


「よし、行くぜ!」


ボールを追って走り出した。


「補助がボールに置いてかれてどうすんだ!うぅぉおおおおぉぉぉぉ!!!」


鬼十河。まさにその名に相応しい活躍。


クラスメイトの頭上にボールを送って、尚も自分は走る。


ボールが送られてくる終着点で待つ。


そして…。


「もらったー!」


そう叫んで校庭の真ん中へと走って行った。



さらに、秀吉くんのクラス。


秀吉くんが目立つことをやるのはこの競技が初。


作者が使いやすい逸話が無いから、とかで放置していた訳ではない。


秀吉くんも大砲を合図に走り出した。


しかし、持ち前の身長の低さがあだとなり前が見えていない。


それでもなんとか校庭の真ん中から、自分のクラスへと大玉を託すことができた。


「負けると思えば負ける、勝つと思えば勝つ!みんな頑張れ!」


そう叫んでいた。


補助らしいことは何もしていないが、クラスが優秀だった。


素早く流れる大玉。


あっという間に折り返し地点。


そして…!


「いっけー!中国大返しだ!」


『おー!』


一斉に勝ち鬨をあげた。


そして、すさまじい勢いで頭上を通過する大玉に、観客からも歓声が上がった。


そして、やはり前方の視界は不良ながらも校庭の真ん中を目指した。



そしてもう一チーム。


伊達政宗くんのクラス。


「優勝すんぞ!レッツパーリー!」


『イヤァーハー!』


雄たけびをあげて、大玉をクラスに渡した。


「押せ押せ!」


「押しまくれ!」


クラスの誰かが叫んでいる。


伊達者が多いクラスなのだろうか。


「お前ら!クールに行けよ!俺にこの右目の眼帯、外させるんじゃねーぞ!」


「いや、外しても見えないんでしょ?」


「まぁ、そうだけど…」


友達に突っ込まれながら、大玉が戻ってくるのを待った。


待ってちゃいけないような気もするが…。


大玉は問題なく政宗のところへ戻ってきた。


そして、あとはゴール目指して走るだけ。


四人が同時にゴールを目指すデッドヒート。


珍しく誰も失格になっていない!


さぁこの競技制するのは一体どのクラスなのだろうか。



結果が出た。


1位、氏真くんのクラス。


2位、秀吉くんのクラス。


3位、一存くんのクラス。


4位、政宗くんのクラス。


「くそう!あと10秒早く大玉が回ってくれば…!」


「それは勝てただろうけど…。遠まわしにうちらのせいにするのやめてね」


政宗くんはさりげなく人のせいにして悔しがっていた。



次は組体操。


簡単な技から難しい技まで、みんなで表現する運動会の定番。


これは見せ競技なので得点には結びつかない。


クラスを超えて団結してやる。


ほら貝の音に合わせて技を披露する生徒たち。


とんぼ、ブリッジ、肩倒立…。


二人技に入って肩車、サボテン…。


ここからだんだんと人数が多くなる。



まずは飛行機。


前の人の肩に手を置き、後ろの人の肩に足を置く。


下の人はその状態で立ち上がる。


下の前は黒田官兵衛くん、下の後ろは竹中半兵衛くん。


上に乗るのは豊臣秀吉くん。


「いい眺めだ!二人がボクを支えてくれて!」


秀吉くんが感激している。


「秀吉くんなら小さいから支えやすいと計算したんだ」


「さらに言うと、指が6本あるから安定感があると思ってね」


全ては二人の計算通りだったらしい。


次は7人一組の扇。


真ん中の人は膝をついた二人の上に立ち、両脇の人の腕を支える。


福島正則、加藤清正、加藤嘉明、脇坂安治、平野永泰、糟屋武則、片桐且元。


この七人で行う。


永泰くんと武則くんが踏み台となる。


理由は「一番知名度がないから」だとか。


清正くんが一番上に立ち、他のみんなが斜めになって扇を作る。


「清正!絶対手離すなよ!」


「いや、離さないよ」


「フリじゃねーぞ!離すなよ!」


正則くんからやたら念入りに言われたが、清正くんは手を放すことは無かった。



その横では7人で3重の塔が作られていた。


こちらを作るのは蒲生氏郷、細川忠興、芝山監物、牧村利貞、高山右近、瀬田掃部、古田織部。


一番上が氏郷くん、二段目が忠興くんと織部くん。


あとはみんな3段目。


しゃがんだ状態で塔を組み、ゆっくりと立ち上がる。


立ち上がりながら右近くんは「神が、神の加護が…」とうるさかった。


忠興くんは遠くで扇を組むガラシャちゃんをずっと見ていて落ち着きがなかった。


織部くんはお茶を入れるのにちょうど良さそうな木の枝を探していた。


そんなだから、塔はもろくも崩壊した。


上から落っこちる氏郷くん。


「ぐはっ!」


そのまま地面に叩きつけられた。


「大丈夫か?氏郷!」


忠興くんが駆け付けた。


「大丈夫だ。起き上がり小法師は転んでも立つんだぜ。それに、怒らず恨まずさ」


心が広い人でよかった。


崩した原因の三人はそう思った。



そして、いよいよ組体操最後の大技。


立体ピラミッド。


クラス全員で作る非常に大きなピラミッドである。


一番下を正方形にして、その上にドンドン積み重なっていく。


それを学年で4つ作る。


上に立つのは酒井忠次くん、本多忠勝くん、井伊直政くん、榊原康政くんの4人。


なんとなく家康くんの影が見え隠れするが気のせいであろう。


ほら貝に合わせてドンドン土台が出来上がっていく。


そして、最後…。


ぶおぉ~という音とともに立ちあがった4人。


ここに4つの立体ピラミッドが完成したのだった。


直政くんのピラミッドは、ミスしたら何されるかわかったもんじゃないと、最後までピリピリムードだった。



組体操が終わり、次は騎馬戦。


相手の帽子を奪えばいい。

奪った帽子が多いクラスが勝ち。


しかしまぁ、使うのは本物の馬なんで…。


これは意気込むクラスがあった。


「武田騎馬隊!出陣だー!」


『オー!』


武田信玄くんのクラス。


そして…。


「騎馬の正しい使い方を教えてやる!」


伊達政宗くんのクラス。


そして…。


自陣に並ぶ両軍。


そして…。


「これより騎馬戦が始まります!それでは…よーい…」


ダゴォン!


「いけー!最強の騎馬隊を見せてやれ!」


「ふん!武田なんかに負ける伊達じゃねー!」


両者が激しくぶつかる。


さながら戦国時代。


もはや運動会ではない。


激しい戦いが繰り広げられている。


すでに帽子を取られて馬を下りた生徒も出てきた。


しかしどちらの生徒かはわからない。


戦況は信玄くんのクラスが有利。


そんななか政宗くんは奥の手を出した。


「見せてやれ!これが騎馬鉄砲隊だ!」


そう宣言。


その刹那、一斉に鉄砲を取り出す政宗くんのクラス。


「撃てー!」


銃声が響く。


暴れる馬。


これには信玄くんは苦戦する。


かと思われたが…。


「弾込めの時間を狙え!今だ!」


隙をついて襲いかかったのだ。


「なんだと!?」


これには焦る政宗くん。


司令塔であった政宗くんは真っ先に狙われた。


そんな時!


「我こそが伊達政宗!この帽子、取れるもんなら取ってみな!」


「なっ!?景綱?」


なんと片倉景綱くんが政宗くんの身代わりとなったのだ。


司令塔は失ってはならない、という考え方からだった。


しかし、景綱くんは気付いていなかった。


この試合、別に誰か一人を狙うのではなく総数が多ければそれでいいのである。


そんなわけで…。


誰も景綱くんを狙う生徒はいなかった。


むしろ、狙いやすい政宗くんはすぐに帽子を取られてしまった。


「ここまでか…」


景綱くんも静かに自ら馬を降りたのだった。


これにより、政宗くんのクラスは全滅した。


「圧勝!」


『おー!』


勝ち鬨をあげた信玄くんのクラスだったが、不思議と試合終了のアナウンスが流れない。


不思議に思って、周りを見回すと…。


「信玄くん、あれ!」


「なんだあれは!?」


見ると何やら柵が建てられている。


「いつの間にあんなものを…」


そう呟いた信玄くんに答えるのは、その柵の向こうにいる人物だった。


「驚いたか!これが馬防柵!組体操の時間に参加せずにせっせと作ったのだ!」


信長くんだった。


「なに!?信長…参加していたのか!」


「ああ。こっそり参加して柵を建てる時間を稼いだぜ」


「なんと卑怯な!」


「ふん。勝てればいいんだよ!」


この言葉に怒った信玄くん。


「いくぞ!武田騎馬隊!」


『おー!』


鬨の声をあげ、信長くんに突っ込んだ。


「それを待っていた!今だ!撃て!」


「何!?」


なんと、柵の向こうから鉄砲が飛んできた。


まさに弾幕。


これを回避するのは不可能に近い。


第一、馬が暴れては動けない。


「ははは!馬から降りたら負けだぜ!落ちても負けだぜ!この麻酔銃の前では騎馬はきかねぇ!」


信長くんは馬の上から銃撃している。


ご丁寧に麻酔銃らしい。


信玄くんのクラスの馬はどんどん眠っていく。


馬が腰を下ろせば人も地面に着く。


帽子を取らずして勝つ方法。


それは相手を振り落すこと。


既に味方は失格者が大量。


勝ち目は無い。


「ここまで…なのか?」


「騎馬の時代は終わりだ!」


騎馬戦で最も言ってはいけないことを言い放った。


絶望に立ち尽くす信玄くんに、トドメと言わんばかりに銃口が向けられた。


そして…。


「撃…」


信長くんが叫ぼうとした時だった。


「敵は馬上にあり!あやつを落とせ!」


叫んだのは、光秀くんだった。


今のは謀反の宣言。


銃口はそろって信長くんに向いた。


「おい…ウソだろ?」


「ホントだ!帽子を見てみろ!」


「何!?」


帽子には、それぞれ代表者の家紋が描かれているのだが、光秀くんは既に織田家の家紋を付けていなかった。


「さらば!」


「光秀か…是非も無しか」


信長くんは静かに馬を降りたのだった。


「ま、別に裏切ったからって助けるつもりは無いけど」


「え」


信玄くんも撃たれ、馬は睡眠状態へ。


こうして落馬し、この競技を制したのは光秀くんであった。


因みに、信長くんが落馬しようが光秀くんが裏切ろうが、光秀くんは信長くんのクラスなので得点の行方は変わらない。


もう余裕で勝てると踏んだ光秀くんのただのパフォーマンスでした。



迎えた最後の競技。


リレーである。


鳴いても笑ってもこれで勝負がつく。


さぁ、最終勝負と行こうか!


「間もなく、全員リレーが始まります。出場する生徒は、ゲート前に並んでください」


アナウンスが流れた。


どこのクラスも本気。


もう後には退かない。


熱気でいっぱいである。


そして、スタート位置に着いた5クラス。


アナウンスが流れる。


それは第一走者を告げるものだった。


第一レーン、上杉謙信くん。


第二レーン、武田信玄くん。


第三レーン、織田信長くん。


第四レーン、豊臣秀吉くん。


第五レーン、徳川家康くん。


第一走者で本気さが分かる。


クラウチングスタートの体制を取り、スタートの時を今か今かと待つ。


そして、待ちに待ったその瞬間がやってきた。


「位置についてー…よーい…」


ダゴォン!


最後の大砲が鳴るのであった。


トップでバトンを回したのは謙信くんであった。


第二走者は柿崎景家くん。


謙信くんのすぐ後には家康くんと信長くんがほぼ同時にバトンパス。


家康くんは鳥居元忠くんに、信長くんは柴田勝家くんに繋げた。


その直後に秀吉くんが豊臣秀次くんにバトンを渡した。


最後は信玄くん。


バトンは上月佐助くんが受け取った。


実はこの生徒…。


「おーっと!佐助くん速い!めちゃくちゃ速い!」


足がめちゃくちゃ速いのだ。


「透破」と呼ばれるビックリ人間クラブに入っている。


下級生からのニックネームは猿飛佐助である。


サルが飛ぶくらい身軽。


一瞬にしてトップに躍り出た。


そして、そのままバトンを渡した。


渡した相手は山本勘介くん。


リレーの順番を決めた策士である。


「死ぬつもりで突撃してやるー!」


そう言いながら走って行った。



次にバトンゾーンにやってきたのは勝家くん。


バトンを貰ったのは細川幽斎くん。


「どう走ればいいか…。教養のある私ならわかる…」


そう言って走って行った。


どう走るか…出した結論は「一生懸命全力で走る」というありきたりというか当たり前のものだった。


元忠くんは大久保忠世くんに渡した。


次に来たのは秀次くん。


竹中半兵衛くんへパス。


「ぼく、喘息持ちなんだけどなぁ…」


それでも走るのであった。


最後に回ってきたのは景家くん。


景家くんのバトンパスの相手は…。


直江兼続くん。


「愛宕権現。我に愛の手を!」


天を仰ぎ一喝し、バトンを受け取ると走り出すのであった。



そのまま抜きつ抜かれつで勝負は進む。


だいぶ差がついてきた後半。


秀吉くんのクラスは北政所ちゃんから茶々ちゃんへとバトンが回った。


因みに、秀吉くんのクラスは現在ビリを走っている。


前を行くのは家康くんのクラス。


走者は水野勝成くん。


その前を走るのは信玄くんのクラス。


走者は内藤昌豊くん。


2位は謙信くんのクラス。


走者は現在宇佐美定満くん。


トップを走るのは信長くんのクラス。


走るのは滝川一益くん。


なぜかふんどし一丁で走っている。


そして、明智光秀くんにバトンを回した。


ランナーはあと二人。


トップを走る光秀くんに迫る影があった。


勝成くんである。


さっきまで4位を走っていたのに…!


そして、同時にバトンをパスした。


家康くんのクラスはランナーは本多忠勝くん。


信長くんのクラスは九鬼嘉隆くん。


少し遅れて3人が団子になってやってきた。


意外と速い茶々ちゃん。


秀吉くんのクラスは茶々ちゃんから石田三成くんへ。


謙信くんのクラスは定満くんから長尾政景くんへパス。


信玄くんのクラスは昌豊くんから馬場信春くんにパス。


1位、3位争いが繰り広げられた。


しかし、アンカーに渡った瞬間、勝負は動いた。



家康くんのクラスのアンカー。


服部半蔵くん。


信長くんのクラスのアンカー。


百地丹波くん。


信玄くんのクラスのアンカー。


高坂甚内くん。


謙信くんのクラスのアンカー。


加藤段蔵くん。


秀吉くんのクラス。


蜂須賀小六くん。


まさかの全員忍者。


正しい使い方をした忍者部隊ほど怖いものは無い。


アンカーに忍者が出そろったことで勝負は分からなくなった。


怒涛の追い上げが始まる。


1位、3位争いなんてものじゃない。


全員1位を目指している。


まさに最後の競技に相応しいデッドヒート。


残り10メートル。


団子状で…。


今ゴール。


もはや逸話など語らなくなったこの小説。

もう少しお付き合いいただきたい。

そもそも忍者に逸話など見つからなかった!と、言い訳だけはしよう。


さて、結果発表。


トップ3の発表のみ行われた。


3位、信玄くんのクラス。


2位、家康くんのクラス。


1位、謙信くんのクラス。


最後の忍び対決で、軒猿という優秀な忍びをクラスメイトに持つ謙信くんが制したのだった。


信玄くんも透破という忍びとクラスが一緒だったが、惜しくも3位となった。


2位の家康くんは忍者の本場の伊賀から来た転校生がいたため強かった。


「これにて、全競技が終了します」


そんなアナウンスが流れた。


後は総合順位発表を待つだけ。


終了を告げる足利義昭校長の話。


「みんな、今年は失格者が少なく素晴らしい運動会となりました!これからも校長をないがしろにすることなく、また、輪になって囲むこともなく正々堂々と戦いぬいてほしい!」


そんな話だった。


そして、気になる結果発表。


「校舎をご覧ください」


アナウンスに従い、校舎を見る。


毎年恒例、順位別に垂れ幕が下りてくるのだ。


まずは3位。


信長くんのクラス。


続いて2位。


秀吉くんのクラス。


そして1位。


家康くんのクラスという結果だった。


「よっしゃ!これで晴れて幕府を開けますよ!江戸あたりに!」


この運動会の後、家康くんは生徒会長となり、実権を握っていくこととなる。


ここに1582年、戦国大運動会の終幕を宣言する。


生徒たちはみな自分の教室へさまざまな思いを引きずって帰っていくのであった。

ではではネタ解説していきましょう。


応援合戦

信長の「人間五十年」はもはや説明不要なんじゃないでしょうか?

顕如は特に思いつかなかったのでこんな感じに。苦肉の策です。「寺ずっきゅん」は調べれば出てくると思います。

家康の「慈に忠良なる…」は終戦を告げる天皇の言葉。ラジオから流れたやつです。家康が言っても違和感ないなと思ったのですが…どうでしょう?

脱糞は「しかみ像」、紙一枚は、それを追いかけて庭まで走った逸話から。


30人31脚

武田二十四将+αで30人にしました。

勘介が突っ込むのは死亡フラグ。川中島イメージです。

啄木鳥戦法は川中島で信玄が取った作戦。因みに12人と18人の比率は合ってます。本隊の方が少ないというね…。

謙信が啄木鳥戦法を見抜いたのは、信玄が飯を炊く煙が多かったため、夜襲があると見抜いたから、らしいです。

信長のメンバーは母衣衆と筆頭家臣。

「理念・信念」は「理念を持ち、信念に生きよ」という名言から。

「勝利に貢献してくれるのは…」は信長の名言です。

勝家の水筒の水を撒いたのは、瓶割柴田から。

光秀の俳句は本能寺の変の決意表明と言われてます。

成政のアルプス越えは、さらさら越えの逸話から。


パネル文字

元就の三矢の訓。

経久の天正無欲正直な人。因みにこれ毛利側の史料に書いてあったことです。

パネル文字の「貧乏公方」は足利義昭のニックネーム。

「朝鮮行きたい」は地震が朝鮮出兵で、朝鮮に行くことを望んだから。実際は止められました。

「輪になって囲もう」は信長包囲網。


大玉送り

戦国で球と言えば氏真でしょ!という安直な考え。蹴鞠が得意な文化人でした。

一存は左腕を負傷しながらも、塩を塗って戦い湯づけた逸話があります。

髪型は一存にあやかろうとした兵の間で流行ったらしい。

秀吉は身長が低かったんですね。あと、中国大返しは、異例の速さで中国から取って返した逸話から。

政宗はおまけで出しました。「あと10秒…」はあと十年早く生まれてれば天下を取ったろうと言われた逸話から。これを言わせたいがためだけに出しました。


組体操

この辺から逸話じゃなくなりますね。

多田の家臣紹介みたいになってきました。逸話なんてそうそう見つからないんですよ。


3人組みと言えば、秀吉と軍師かな、と。

戦国で7人組と言えば、利休七哲と賤ヶ岳の七本槍。

起き上がり小法師は、蒲生氏郷のダルマ信仰によって生まれたものらしいですよ。

ピラミッドの頂上は徳川四天王。

特に意味なし!


騎馬戦

戦国で騎馬と言えば武田騎馬隊は外せませんね!

伊達は鉄砲騎馬というものを開発しました。

戦国最強の騎馬は武田、ということで信玄の勝利としました。

しかしまぁ、長篠合戦のイメージが大きいので、最後は信長に花を…と思わせつつ最後は明智の裏切りで。

30人31脚で裏切ると思ったでしょ?いやいや!ここで裏切らせるんですよ(笑)


リレー

もはや逸話のなかったリレーっす。

逸話リレーやろうかと思ったんですが…残念ながら都合よく逸話は見つからず…。

忍者集めるのが精いっぱいでした。

段蔵は調べると面白いかもしれません。

次回あたり逸話書いてみようかな…。


以上、2周年記念作品でした。

いかがでしたでしょうか?


頑張って書きました。

本当に頑張りました。

運動会は競技の説明が入るので文字数がかさばりますね。

いいんですけど。


では、これからも頑張ります!


よろしくお願いします。

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