三十一番槍 兵衛’Zの絆
サブタイトルの元ネタ分かる方~?
史実だと兵衛’Zではなく二兵衛です。
「報告!報告!有岡城にて、荒木村重、信長に対して謀反!」
家臣から秀吉の元に火急の知らせが入った。
「うぬぬ…!村重!ぶっ殺す!」
憤る秀吉。
それをよそに一人の男が口を開いた。
「私に行かせて下さい」
黒田官兵衛だった。
(ふふふ…私の交渉力を2割程使えば村重など簡単に説得できるさ!)
しかし…。
帰って来ない。
待てども待てども帰って来ない官兵衛。
「官兵衛の野郎!裏切りおったな!奴の嫡男の松寿を殺せ!」
そう命令したのは織田信長。
信長は裏切ったと言っているが、その頃官兵衛は、村重に捕まり投獄されていた。
唯一の心の支えはフジの花。
過酷な状況だった。
「信長様、松寿の処刑、私にお任せを!」
名乗り出たのは秀吉の軍師であり、官兵衛の友人でもある竹中半兵衛だった。
処刑を任された半兵衛だったが、松寿を殺したりはしなかった。
官兵衛が裏切る訳がない。
そう思っていた。
1年後、有岡城は落城。
牢屋から足が不自由になった官兵衛が救出された。
官兵衛は裏切りなどしなかった。
このことが証明されたのだった。
信長が、官兵衛を呼び出した。
「官兵衛よ…。わしはお前が裏切ったと思い…。松寿を…松寿を殺してしまったんじゃ…。許せ…許せよ官兵衛…」
「そっ…そんな…。私は…なんのために…」
そんなとき、傍にいた家臣の一人が二人に言った。
「そのことなんですが…。松寿様は、半兵衛様がこっそりかくまって、今も元気に育ってますよ!」
半兵衛は自分の屋敷で松寿を育てていた。
「半兵衛っ!あやつめ…!」
「半兵衛…。我が友よ!」
二人は泣きながら喜んだ。
「半兵衛に礼を言いたい!今どこにいるんだ!?」
官兵衛が聞くと、家臣の顔が濁った。
「…昨年、病の為に…。半兵衛様はもう…」
「………半…兵衛…」
官兵衛は竹中家を生涯大切にしたのだった。
竹中半兵衛と黒田官兵衛の友情物語でした。
仲良かったみたいですね。
天才軍師二人組み。
本文中で突然出てきた松寿は後の黒田長政です。
サラッと流しましたが、フジの花を心の支えにしていたのは史実なんですよ~。
荒木村重が官兵衛を殺さなかったのは、あやつがキリシタンだったから、なるべく殺生を避けたからだと言われています。
また、官兵衛が自害しなかったのも、キリシタンだったかららしいです。
地味な部分でも歴史を変えてるんですね、キリスト教は。
まあ、キリスト教のせいで、ヨーロッパとの戦争一歩手前まで行ったのですが、それはまた別の機会に。
官兵衛は、生涯で一度も死罪を言い渡したことが無いんですって!
私、官兵衛好きですよ?
 




