歴史絵巻第十三幕Let's Go城巡り~館山城~
今回は館山城です。
しかしですね、バスツアーで廻った関係で自由時間が少ない少ない…。
超ダッシュで博物館を流し見た関係でですね、内容が薄っぺらいったらありゃしません。
どうかゆるしてくださいな…。
ホントすいません。
大丈夫…。
バレンタインだもん。
きっと許してもらえる…!
キーンコーンカーンコーン…
まだまだ授業を続けたげな先生を制止するかのように、授業の終わりを告げるチャイムが響く。
それと同時に、ガタガタと机と椅子がずらされる音。
伸びをする男子生徒、待ちわびたかのように後ろを向き友達と話始める女子生徒。
あるいは彼女のように、友達に別れを告げ足早に部活を目指す生徒。
今日は金曜日。
みんながみんな待ちわびる放課後の始まりである。
高校1年生の村上乙葉も、階段を一段抜かしに駆け下りていく。
一階の西日の当たる廊下を抜けた先にある社会科研究室。
そこが、乙葉の所属する歴史研究部の活動場所である。
扉が閉められているが、中は電気がついている。
乙葉はいつものように扉を開け、部室へと入っていった。
「…あれ?こんにちは…?」
「こんにちは!あ、ゴメンね!すぐに退散するから」
「乙葉ちゃん、お土産あるわよ~」
「すみれ、知り合い?」
「うん。鬨哉絡みで」
キョトンとする乙葉の前で話を続けているのは吉川すみれと大祝楓。
晴美の友達である。
すみれと乙葉は鬨哉を通して顔見知りである。
「すみれ先輩。どうしたんですか?」
「ああ、ハルミンが修学旅行の感想文出してくれないから取りに来たんだけど…」
「私はその付き添いね!晴美と同じクラスの大祝楓!よろしくね!」
楓が右手をビシッと挙げる。
乙葉はとりあえず先輩方の座る席の横に付いた。
「はい、修学旅行のお土産!京都と言えば!?」
袋に包まれたお土産を乙葉に差し出したすみれ。
「えと…八つ橋ですか…?」
「違います!京漬け物です!」
そういって差し出された袋の中身を確認する乙葉。
「え?カボチャ?」
カボチャの漬け物。
あまり見ない珍しいものである。
「珍しいから買ってきちゃった」
「ありがとうございます!」
「あ~、私も何か買ってくるべきだったかな…」
楓が呟いた。
「そんないいですよ…。私も来年行くんですし!」
「来年は沖縄ですって…」
「え…」
話しているうちに晴美がやってきた。
教室掃除が長引いたらしい。
「お?楓にすみれ?どした?」
驚いた様子で二人を見る晴美。
「修学旅行の感想文回収しにきたのよ。あとハルミンだけよ」
すみれが言った。
「あ~、忘れてた。ごめんごめん、今出すわ」
晴美はそう言うとカバンを漁りだした。
この人こそが焙烙晴美。
歴史研究部の部長である。
「ん。確かに受け取りました。んじゃ、先生に出してくるわ。また明日ね」
「じゃね、晴美!乙葉ちゃんも!」
手を振って出て行く2人に晴美と乙葉も手を振って答えた。
それと入れ替わりでまた一人やってきた。
「ちょっと生徒会に顔出してて遅れました」
「まだ何もしてないからセーフ!」
「おー、良かった」
この男子生徒は山中鬨哉。
生徒会と兼部している。
そして…。
「職員会議ってどうして毎回長引くのかしら…」
そう言いながらやってきた顧問、毛利由佳。
これで歴史研究部のメンバーは勢ぞろい。
今日の話題は今週の休日の活動についてだ。
と言っても場所は決まっているのだが。
「今週は館山城でしたよね!」
「そうそう。まぁ私が勝手に行きたいだけだから別のとこでもいいよ」
「いえいえ、館山城大歓迎です!」
乙葉と晴美がそんな話しをしていると、申し訳なさげに鬨哉が手を挙げた。
「あの…今週の土日はちょっと予定がありまして…」
「じゃあ鬨哉くんは参加できないんですか?」
「はい…」
「じゃあ仕方ないですね」
残念そうな鬨哉に由佳先生がフォローを入れた。
今回は久しぶりに3人での活動となった。
明日8時にいつものように校門に集まるように約束し、今日の部活は終了。
晴美、乙葉、鬨哉の3人で学校から歩いて駅へ向かう。
「でも何で館山城なんですか?」
鬨哉が晴美に聞いた。
「んー…。特に理由はないんだけど…。なんとなく?」
「千葉の端っこか~…。ヤマト!お土産何がいい!?」
今度は乙葉が晴美に聞いた。
「え~と…。名産品は何?」
「ビワかな?楽器じゃなくて果物のほう!あ、でもあれは高級なんだよね…。じゃあビワの何かを買ってくるよ!せんべい的な!」
乙葉が言うには、名産品その物よりも名産品を使った別のものの方が安い。
小田原で蒲鉾は高かったけど蒲鉾せんべいは安かったの法則。
「せんべいあるの?」
「…知らない」
そんな話をしながら駅に到着。
電車で各々別れて帰宅した。
翌日。
晴美は学校の門前にいた。
服装は制服。
たとえ校外活動であろうと学校絡みの活動は制服で行う決まりなので仕方がない。
晴美が右手につけたアナログ式の腕時計が待ち合わせの10分前を刻んだとき、乙葉がやってきた。
「おはようございます!」
「おはよう乙葉」
挨拶を交わしてから本題へと入っていく。
「今日は千葉県ですね!東京湾アクアラインが楽しみです」
「ああ、海ほたるPAね。確かに楽しみだな」
「そういえば、あれはパーキングエリアですよね。サービスエリアとパーキングエリアって何が違うんですか?」
「ガソリンスタンドがあるのがサービスエリア、無いのがパーキングエリアだな」
「そうなんですか!」
そう話していると、由佳先生の車が到着。
一同乗り込んで出発することとなった。
「晴美ちゃん、修学旅行どうでした?」
車内で由佳先生が聞いた。
「楽しかったですよ。三成や淀君とも話せましたし」
晴美のその言葉に反応したのは乙葉だった。
「え?なんですかそれ?」
「ああ、楓がね。降霊術使えんの!」
「スゴッ!私も今度やってもらおうかな…」
ここで再び由佳先生が会話に入る。
「大阪は行きました?」
「大阪城行きました!エレベーター付いてました」
そう言って笑う晴美。
「大阪城って大きいですよね。あれは見事です」
「そうですよね!」
そんな会話が続き、しばらくすると海が見えてきた。
「もうすぐアクアラインですよ。海ほたる寄りましょうか」
「はい!」
「是非!」
由佳先生の提案に二人も賛成。
海ほたるに寄ることになった。
アクアライン。
東京側はずっと地下トンネルである。
暫く長いトンネルを進み、海ほたるパーキングエリアへと進入。
車を止め、下車。
まず目の前に現れたのはシールド工法で使ったカッターフェイスのオブジェ。
14.14メートルもある実物大である。
銀色の半円を形作るカッターは近くで見ると迫力満点であった。
「これは…。大きいですね。トンネル掘るのに使った刃ですよね?」
「そうだよ。トンネル掘るからこのくらいは必要だったんだろうな。シールド工法って、フナクイムシをモチーフに開発されたんだって」
乙葉の疑問に晴美が答える。
「フナクイムシって、木を食べたら即座に自分の周りを固める習性があるんですよね」
由佳先生がフナクイムシについて語る。
生物教師としてフナクイムシは興味の対象となりうる存在なのだろうか。
三人はエスカレーターを上り展望広場へとやってきた。
これから通る千葉側はトンネルになっておらず、海の上をずっと道路が通っている。
ひたすら続く道を眺めるのもなかなか圧巻である。
潮風も気持ちいい。
千葉側の道路は途中で船が通れるようにと盛り上がっている。
その構造から先が見えず、これからあちらに行くのが楽しみになる。
あの先に行ってみたい。
そう思えるのである。
ちょうど反対側にあたる位置にあるのは幸せの鐘。
好きな人のことを祈って鳴らすと幸せになれるという鐘。
海ほたるのシンボルでもあり、普通に記念撮影してる人も多かったりする。
その後は遠くに見える風の塔を見たりと、展望を楽しんだ。
「風の塔ってなんなんですか?」
「アクアラインのトンネルの換気塔ですよ」
晴美の質問に由佳先生が答えた。
景色をひとしきり見た三人はここで昼食を取ることに。
レストランがたくさん入っていて食べるのには困らない。
メロンパンやイイダコ4匹を串に刺して焼いたものなど、店に入らなくても露店感覚で売っているものもある。
しかもかなり美味い。
そんなだから歩いてるだけで自然とお腹は満たされていくのである。
「じゃあ、そろそろ行きましょうか!」
由佳先生が二人を促した。
「行きますか!レッツ館山城!」
乙葉が右手をあげてそう言った。
海ほたるPAを出るとずっと海の上。
すだてと呼ばれる独特の漁の仕掛けも見える。
下が海で無くなったと思ったら、そこはもう千葉県。
ビワが名産。
魚もおいしい。
そんな地域を通り抜け、やってきたのは…。
「さぁ、ついに到着!館山城!」
乙葉が一声かけた。
館山城は山の上に立っている。
駐車場は下なので、少し歩く。
といっても、ツツジが美しく咲き、ちゃんと整備された坂が続くものなので、どこぞの松山城みたいな完全な獣道を登山することはない。
とりあえず天守を目指して歩いて行った。
「この天守、いまいち評判がよくないんだよね~」
そう言って晴美は苦笑した。
「え?なんでですか?」
乙葉が聞いた。
「これさ、当時の資料が残ってなかったから犬山城を参考に昭和に建てたんだよね。当時のは三層天守だったらしよ」
「じゃあ元の形とは関係ないんですね…」
そう話しながら天守へと入っていく。
ここは、今まで見てきた博物館とは違った。
戦国時代の資料がまるで置いていないのだ。
その代わりにあるのは…。
「南総里見八犬伝…?」
乙葉が呟いたように、ここには里見八犬伝の資料が多数。
むしろ、100%八犬伝なのだ。
「先輩、八犬伝ってなんでしたっけ?水面から足だけ出てるやつ?」
そう言って乙葉は両腕をY字に広げた。
「乙葉、それは犬神家では?」
「あ、そっか。そうですね!じゃあ八犬伝って…?」
「えっと。曲亭馬琴が書いた、言ってしまえば小説かな。登場人物自体は戦国大名の里見家なんだ。物語はフィクションだけど」
「どんな物語です?」
「えっと…。先生分かりますか?」
晴美が由佳先生に振った。
「私も詳しくは知らないんですけど…。霊玉っていうのを持った八人の武士が里見家を救うんじゃ…なかったでしたっけ?」
ようは良く知らないということです。
そんなわけで天守はざっと見て撤退。
続いて向かったのは…。
「あとは本館がありますね」
由佳先生が言った。
実は天守とは別に本館があるのだ。
本館には史実に関する資料が置いてある。
外観は普通の建物。
天守に行く途中にある建物である。
郷土資料館的な色がある博物館であった。
「この辺は里見の領土だったから、それ関連の資料があると思う」
そう語ったのは晴美。
古代の館山などの資料展示コーナーを抜けた先にあったのが…。
「おっ!上杉謙信が里見家と協力しようとした手紙ですって!」
乙葉が見つけた。
「確かに戦国大名としては地味ながら勢力を保っていたからな」
晴美の言うように、関東で最大勢力を持つ外様大名だった。
「でも、確か滅んでますよね?」
「うん。10代当主の里見忠義が鳥取に改易されて、跡取りがいなくてお家断絶だったはず」
戦国コーナーを見終え、他も流しながら見学。
三人は博物館を出た。
「じゃあ、帰りも海ほたる寄りますので、そこでお土産でも買いましょうか!」
由佳先生がそう言い、二人も同意。
館山城を後にするのだった。
実は博物館がある場所は「城山公園」といいまして。
紹介してはいませんが、里見忠義のためと殉死した家臣の墓だと言われている「八遺臣の墓」(別名、ウバガミサマ)や、「里見城跡石碑」と「千力猿」なども同じ公園内にあります。
因みに、石碑と猿は同じ場所。
猿は「里見家のペットに千人力を持つ超マッチョな猿がいて、戦で武功をあげまくった」という伝説があるそうな。
なんで紹介しないんだよー!と文句が飛んできそうですが…。
時間が無くて行けませんでした。
同じ公園内ですがちょっと離れてるんです。
ここは是非ともリベンジしたい城です。
ツツジは綺麗でしたよ!
半分以上海ほたるで終わりましたね…。
なんか…すいません。
ではでは、バレンタインデーと言うことで。
挿絵をいくつか公開します。
提供:五円玉様。
バレンタインデーの晴美。
誰にチョコ渡すんでしょうね?
本命か、はたまた義理か…。
最近は友チョコなんてものもあるんですね。
まぁ、晴美の場合好きな武将に渡すんでしょうけど。
提供:五円玉様。
四コマ漫画です。
米俵ですって!
まぁ、バレンタインにチョコ渡すのはどっかのチョコ作ってる会社が儲けたいがための(ry。
ですから、お米渡してもいいんじゃないでしょうか?
貰っても困りますけど。
家におくってくれ~。
おまけ。
色塗りは自然消滅さんです。
へ?絵は…ね。
デジタルってつらいよね!
最初は乙葉のつもりでしたが途中から諦めました。
デジタルダメだわ…。
アナログもダメだけど…。
あと、それから自然消滅さんからのお知らせ。
ハンドルネームを「自然消滅」から「げどー」に変えたそうです。
ひらがなが重要らしいです。
だそうです。
ピクシブでひらがなで「げどー」と検索すれば出るとか。
一応URLでも。
http://www.pixiv.net/member.php?id=5689175
私はピクシブは会員じゃないので…。