十八番槍 天下のただ飯喰らい
今回は「穀蔵院ひょっと斎(天下のただ飯喰らい)」と自ら名乗ったあのお方!
私はこの方大好きです(笑)
「どうしてお前はいつもいつも人の話を聞かないんだ!いい加減にしろ!」
「…また怒られた…。ちぇっ!つまんねーの!」
先ほどまで叱られていたこの男。
前田慶次。
この加賀の国を治める前田家の人間である。
その言動、行動、全てが変わっていることで加賀では有名だった。
そのことが原因で、加賀の殿の前田利家にはしょっちゅう怒られていた。
「つまんねー!どんなに広い土地があったって、自由に生きれなきゃそこらの浪人と同じなのにな~…。だったら…!」
慶次は前田家を出ることを決心した。
「いや、待てよ…。ただ家を出ても面白くないな~。最後くらいあのうるさい利家に仕返ししてやりたいな!」
慶次は密かに計画を立てた。
そして、ついに計画の実行日。
慶次は利家に手紙を書いた。
「今までの行動、申し訳ありませんでした。反省しますので、その印に茶会をします。是非来てください」
それを見た利家は喜んだ。
「おい!慶次が改心したぞ!これは茶会に行かなければ!松風を出せ!」
利家は、愛馬「松風」に乗り、慶次のもとへ。
「よく来ましたね!本日はとても寒いので、茶会の前にお風呂を用意しました」
慶次が利家に言った。
「気が利くな!それでこそ前田の男!」
利家は風呂に飛び込んだ。
しかし…。
「ギャー!うわっ!あー!み、水風呂じゃないか!あの野郎!絶対に慶次を逃がすな!」
利家は水風呂が沸くかと思うくらい怒った。
しかし、その怒りの矛先は、既に城からは逃げ去っていた。
松風と共に…。
前田慶次でした。
前田慶次郎ともいうらしいですね。
前書き&題名の「穀蔵院ひょっと斎(天下のただ飯喰らい)」は、慶次が秀吉に面会した時に名乗った名前(?)だそうです。
今回は慶次の悪戯についての逸話でした。
「茶会を開く」と言って利家を呼び出した慶次。
それを「心を入れ替えた」と喜んだ利家でした。
しかし、全ては慶次の思惑通り。
「寒いのでお風呂を沸かしました」と利家を風呂に入れました。
しかし、その風呂は水風呂でした。
勿論、利家はブチギレたそうです。
因みにこの時慶次58歳。
もういい歳ですよ。
悪戯小僧ほど恐ろしいものは無いね…。
こうして、慶次は利家に一泡吹かせることに成功したのでした。
利家の愛馬の松風は慶次に盗まれたそうです。
この度胸に拍手ですよ…。