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歴史絵巻第十一幕Let's Go史跡巡り~京都修学旅行・初日編~

今回は修学旅行編。


私が行った工程をもとに書いたので戦国外れたまま暫く続きます。


次話は少し戦国入りますが、今回は…。


諸事情により次回は普通に逸話書きます。


2日目が上がるのはいつの日か…。


いや、大丈夫です。

多分…。

東京駅地下。


そこには乗り換えの為の通路が通っている。


しかし、ただの通路ではない。


団体が集まれるように、一部集合場所となっている。


それ故に、修学旅行などで東京駅が集合場所に指定されている場合、かなりの高確率でこの場所となるのだ。



この頃は集合場所シーズンということもあり、今日もどこかの学校が集まっている。


そこには焙烙晴美の姿もあった。


何やら女子3人で楽しそうに話している。


「どうせ東京駅に来たなら、江戸城も見たかったな」


晴美がそういうと、右隣の少女が答えた。


「お城もいいけどさ、やっぱりスイーツよ!スイーツ!東京だと…ひよこ?」


この少女、名前は吉川すみれ。


晴美の友達にして良き理解者である。


現在生徒会と料理研究部を兼部している。


「…スイーツってもっと洋風なもの想像しない?」


すみれに突っ込む晴美の左に座る少女は大祝(おおほうり(かえで



家の仕事が忙しいからと、部活には所属していない。


因みに、有名な神社に住んでいて、本人は巫女としての役目を担う。


この3人が、修学旅行で行動を共にする班である。


仲良しグループで組んだため、なかなかに居心地は良い。


「楓、アレ持ってきた?」


唐突に晴美が楓に聞いた。


「持ってきたよ。全く、かさばって大変なんだからね」


「あはは!ありがとう」


「アレって?」


アレがなんだか分からないすみれ。


1人だけ話の内容をわかっていない。


「これよ。晴美が持って来いって言うから」


そう言いながらカバンをまさぐる。


そして取り出した紅と白のコントラストが美しいそれは…。


「巫女服?どうすんのそれ?…コスプレ?」


キョトンとするすみれ。


「違うわよ。というか私だって一応ちゃんとした巫女なんだからコスプレにはならないわよ」


「じゃあ何で?」


「霊を降ろすのに使うの。晴美が霊と話したいんだって」


楓はお家柄の関係で降霊術を使える。


そこで晴美が「淀君と話したい!」とか言い出した。


つい昨日の話である。


「楓も大変ねぇ~…」


苦笑まじりに呟いたすみれを、晴美は気にとめることは無かった。


暫く話していると、出席確認が始まった。


その後すかさず学年主任の話。


そして同行者の紹介。


それが終わり次第移動した。


改札を抜け東海道新幹線のホームへ。


座る席はあらかじめ決められていた。


晴美は本人たっての希望で窓際。


進行方向右手の窓際である。



東京を出発して暫く。


小田原辺りで晴美のテンションが上がる。


「右手の山の上に小田原城があるんだ!ちょっと見えないけど…。小田原城は北条早雲が奪い取った城で、北条家の拠点だったんだ」


歴史に興味の無い二人はふ~んと流す。


車内でワイワイはしゃぎながらも車窓を意識する晴美。


そして、お目当ての全体的に黒い印象を受ける城を見た。


「楓!すみれ!清洲城だ!」


城を指差す晴美。


声には力がこもる。


「それは名前だけ知ってるわ。鬼殺し?」


「楓、それはお酒よ…」


話しているうちに、あっという間に清州城は車窓から消えた。


それから先はお菓子食べたりのんびり話したりで京都に到着。


降り立った京の街。


しかし初日は京都ではなく奈良観光。


クラス行動なので思い通りに行動できるわけではないが、それでも楽しい。


駅前から観光バスに乗り移動開始。


京都市街を抜け、バスは奈良県へ。


いつの間にか周りは山。


見る見るうちに峠道へと変わった。


唸りを上げて登るバス。



すぅーすぅーと気持ち良さそうな寝息を立てる楓とすみれの横で、晴美は携帯電話を取り出した。


「さて…調べますか!」


そう呟き、「談山神社」と検索した。



晴美とて、よく知らない史跡は多い。


戦国を出ると人並みである。


しかし全く興味が無いわけじゃない。


あくまで興味の対象として調べるのだ。



談山神社は、山の上にあった。


まずはバスを降りて本殿へ。


しかし…。


「あれ…?工事中?」


「見たいだね…」


苦笑いのすみれと楓。


「ここはな、大化の改新で蘇我入鹿を討つために中臣鎌足と中大兄皇子が作戦を練ったのがここなんだ」


そこにあるのがが石碑一個だろうが看板一個だろうが気にしない晴美にとっては工事中なんてことはきにならず。


「あ!この絵教科書で見たよ!」


「え~?こんなだったっけ?」


「絶対これよ!晴美!これだよね?」


楓が晴美に振る。


「昔の絵ってみんな似てるからなぁ…。私も戦国しか分かんないから何とも言えないな」


本殿の中いっぱいに置かれている史料は、どれも見覚えがあるようなそうでもないような。


「多武峯マンダラ」という人(多分人。神とかじゃなさそう)の肖像画なんかもあったが良く分からい代物ばかり。


中を見終え、三人で本殿の縁側を歩いてみた。


金属ではなく木で足場を組んだ工事中の建物。

何の建物かは不明。

宝物殿か、あるいは拝殿か。


金属を使わないのが神社のこだわりなのか?


朱色に囲まれた空間を歩き、再び本殿の中に戻りつつ外へ。


境内をのんびり歩く。


十三重の塔の前で記念写真。


神社の中はあちこちに朱色の建物が顕在している。


「というかさ、十三重の塔って重ねすぎじゃない?」


「そういえば楓の家って塔ないよね!」


「そんなの無いわよ…」


晴美の言葉に苦笑した楓だった。



「神社出たとこにお土産やあったわよね!見に行こうよ!」


すみれが誘う。


おおまか境内も見たし、反対する理由は無い。


三人で売っていたまんじゅうを買い、集合時間が迫る中バスへ戻った。



「ダメだ~。やっぱり戦国じゃないと解説できないって…」


晴美が嘆くように言った。


「戦国だけできれば十分でしょ。いつもだったら神社なんて退屈なだけなんだけど、今日は楽しかったわよ?」


すみれがさっき買ったもみじせんべいを食べながら言った。

まんじゅうじゃありません。せんべいです。


「退屈で悪かったわね。もともと神社なんて、観光地なのはごく一部だし、楽しい場所でもないもの。私の場合家だし」


ちょっとすねた調子で言う楓。

素ですねてるわけじゃなさそうだけど。



話してるうちにバスは本日の宿へ。


食事は文句無し。

紙にうどんが入ってて、下から火であっためるやつ。


「これさ、何で燃えないの?」


疑問を口にした晴美。


「だって、水の沸点って100度じゃん?紙が燃えるのは100度よりずっと高い温度…350度だっけ?そんくらいだからよ」


楓が疑問の答えを教えた。


「んじゃさ、こう中野うどんを全部器に移してから火に近付けるとさ…」


「すみれ止めてー!燃えちゃうから!」


あわててすみれを止める楓。


「あはは!大丈夫!冗談冗談!」


「あんたがやると冗談に見えないのよ…」



楽しい晩御飯が終わると、部屋に戻って風呂。


部屋の風呂を使えるのは有難い。


トイレと風呂とシャワーが一体となった、いわゆるホテルのシャワールーム。


「トイレ使いたくなっても開けないでよ!」


そう言って入浴しに行った楓。


「開けねーっての…」


すみれの呟きは届いたのか届かなかったのか…。


全員入浴して、あとは寝るだけ。


「明日は?」


ベッドに横になりながら質問するすみれ。


「東大寺・平城宮跡・薬師寺。全部寺だな」


テレビを見ながら答える晴美。


「平城宮跡って寺?」


携帯の充電器を探す楓。


「違ったかも」


それだけ返事をして、晴美は携帯を取り出した。


『田波目城はどうだった?』


メールを打った相手は乙葉。


すぐに返事が来た。


『なんか正直よく分かりませんでした。ただ、空堀見たいのは残ってましたよ』


写真も添付されていたが、確かに生い茂る木々で分からない状態だった。


『お疲れさん。修学旅行終わったら今度は館山城行こう!』


『千葉ですか!良いですね!あ、先輩!お土産お願いしますね!』


『了解!でも期待はしないこと!じゃあ、お休み』


『おやすみなさい』


メールを終えて横を見ると、すでにすみれは就寝。


楓は巫女服に消臭剤を霧吹中。


「…何してんの?」


そんな楓に晴美がきいた。


「え?あ、これ?年に何回も着ないからタンスに入れといたらさ、ナフタレンの匂いが…。あはは…。明日も使わなそうだから今日中に手入れはしとこうと思ってね」


確かに巫女服なんて意外と着る機会無いかもしれない。


手入れも大変そう…。


「修学旅行の夜ってさ、もっと寝れないもんかと思ってた」


すみれの声。


「あれ?起こしちゃった?」


楓の質問に首を横に振るすみれ。


「いや、自然に起きた。なんだろ…。寝たらそんな気がした!夢の中で」


「そうかな?明日も早いし、私ももう寝るよ」


「そうね。私も寝る」


晴美がベッドに横になったのをきっかけに、楓も服をハンガーに掛けてベッドへと潜ったのだった。


「…電気消して」


「ジャンケンね…」


「ジャンケンポイ!」


すみれが電気を消して、一日目終了。

~真夜中のガールズトーク 初日・奈良編~


すみれ

「ねー。ガールズトークしようよ!」


「また唐突な…」


晴美

「何について話すの?好きな人?」


すみれ

「ん?晴美、好きな人いるの?」


晴美

「堀秀政!」


「趣旨がずれてるわね…」


すみれ

「楓は?」


「巫女ってそういうの厳しいのよね~。常に無欲であれって」


晴美

「でも楓、今日の夕飯おかわりしてたね」


「お腹空いてたんだもん…」


すみれ

「食欲まみれっすな~」


「うるさいわね~。すみれは好きな人いないの?」


すみれ

「そうね~。思いつかないかな」


「好きな人聞いて思いつかないって答え初めて聞いたわ…」


晴美

「私も…」


すみれ

「イマイチ盛り上がりに欠けるわね~」


「もう寝るんだから盛り上がる必要も無いでしょ」


晴美

「明日も早いし、そろそろ寝よう」


すみれ

「そうね…。お休み~」


「お休み…」

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