十五番槍 蝮の娘様
初の姫様が主役です。
戦国時代に活躍した女性って結構少ないので逸話探すのもひと苦労した記憶が…。
「…さぁ、可愛い帰蝶よ…。旅立ちの時間じゃ。尾張の国で幸せになるんじゃぞ!」
美濃の国のお殿様、斎藤道三はそう言って娘の頭を撫でた。
「もう、お父様ったら!私は尾張の信長様の下で幸せになりますってば!」
道三の愛娘、帰蝶は道三にそう言った。
今、帰蝶は尾張の織田信長のもとに嫁ごうとしている。
そうなると、名は美濃から来た姫という意味の「濃姫」となる。
完全に斎藤家を出ることになるのだ。
「うう…。帰蝶よ…。儂からの嫁入り道具じゃ。受け取ってほしい…」
道三が手渡した物は…。
「…刀…ですか?尾張にも包丁くらいはあると思いますよ?それに料理は侍女に作らせれば…」
「違う!帰蝶…。信長という男が噂通りのうつけならば、その刀で殺してしまうのじゃ!良いな?」
道三が言った。
それを聞いた帰蝶は、刀を道三に向けた。
「…ふふっ。でもこの刀、いずれお父様を斬るものになるかも知れませんわよ!」
「はははっ!それでこそこの蝮の娘じゃ!天晴れ!達者でな!濃姫よ!」
「はいっ!お父様!私、濃姫として幸せになります!」
帰蝶はゆっくりと美濃の地を後にした。
濃姫が10歳頃の時のお話でした。
濃姫(帰蝶)は信長に嫁ぐことになりました。
政略結婚だったと思います。
嫁いで行く濃姫に道三は刀を渡しました。
刀って言っても小さいやつですよ。
道三は「信長が本当に噂通りのうつけならその刀で斬り殺せ」と濃姫に言ったそうです。
すると濃姫は「この刀はお父様を斬ることになるかも知れません」と言ったそうです。
10歳の女子が言うことじゃないよ!
その若さで世の中の動きを既に見抜いていたのでしょうか…?
とにかく、凄い女性だったんですよ、濃姫は。
賢かったんですね。
これを聞いた道三は、濃姫を誉めたらしいですよ。
「流石は蝮の娘!」って。
心が広いというか何というか…。
因みに、濃姫の名前が「帰蝶」なのは、有力な説であって確定ではなかったと思います。
実は五円玉様も濃姫を描いてくださいました。
ただまぁ、ペン入れでミスしたらしくて本編には登場しませんでした。
こっそり掲載しちゃいましょう!元絵!
五円玉様、ありがとうございます。