百二十七番槍 無手勝流!
バイト先で「結婚するつもりはありませんよ」と言ったらドン引きされました。
…そんなに変ですか?
琵琶湖で船に乗った塚原卜伝は、偶然乗り合わせた若い剣客に勝負を挑まれていた。
「そちは塚原卜伝殿だな!いざ尋常に勝負ー!」
戦闘狂の若い剣客は、刀を抜いて襲いかかった。
「待て!こんな船の上では一般の方に迷惑がかかるだろう!」
卜伝は剣客を宥めるが、全く聞く耳を持たない。
ついには攻撃をかわすだけの卜伝をバカにし始めた。
「この臆病者が!塚原卜伝など、名前だけの存在だな!」
「…わかった。なら、場所を移そう。そこの島でどうだ?」
卜伝は、船から見えた離島を指差した。
「良かろう」
剣客も合意したので、2人で小船に乗り換えた。
卜伝はゆっくりと船を漕いだ。
次第に、島へと近づいていく。
もう水深は膝ほどまでしかない。
もうちょっとで上陸できる。
そんなときだった。
「もう待ってらんねー!お前も来い!」
決闘が待ちきれない剣客は、船から飛び降りた。
一足先に島へ上がり、卜伝を待った。
しかし、剣客の読みは甘かった。
卜伝は島には向かわずに、引き返し始めたのだ。
「おい卜伝!てめー逃げるのか!?」
剣客、キレた。
「はっはっは!これが無手勝流よ!戦わずして勝つ方法だ!」
卜伝は高笑いしながら島を後にしたのだった。
鹿島新当流…でしたっけ?の開祖、塚原卜伝の逸話でした。
足利義輝にも剣術指南しました。
敵を一撃で破る「一の太刀」とか、なんか凄いですよね。
しかし、この逸話…。
戦わずして勝つって…。
勝ったのか…?
勝ったことになるのか?