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十一の太刀 常識破りの真史実 下

大学生になりました。


期待1割、不安9割。


履修科目の選び方とか…わかんないっす…。


余裕なんか全く無いです。


単位って…ん~?

よくわかんないや!


はぁ…。

大丈夫かな…。


ケセラセラじゃ駄目なんですよね…。

大変過ぎます…。





今回は前回の続きですね。


乙葉が発表するんです。


明日明日と言っておきながら日にちが空くのはお約束です…。


だって…大学が…大学なんだもん…。

さっと立ち上がった乙葉は、先程まで晴美がいた教壇の上へとのぼり、プレゼンを始めた。


「では先輩!私からも質問しますが、関ヶ原の戦いで勝敗が決まった原因は何ですか!?」


晴美が発表を始める前にしたのと同じように、乙葉も晴美に聞いた。


「何って、小早川秀秋の裏切りだろ!西軍として、伏見城まで攻めたのに当日裏切ったからな!」


「そうですけど、実は小早川の裏切りは直接勝敗を決めたわけではないみたいなんです」


「えっ?」


乙葉の発表は、晴美の反応を見てから本題に入った。


「関ヶ原の戦いは、ご存知の通り天下分け目の大戦です。西軍の石田三成と、東軍の徳川家康がぶつかった戦いです。まぁ、西軍の大将は毛利輝元ですが…」


「本人は大将を望んでなかったらしけどな…」


晴美の言葉に「そうみたいですね」と相槌をうち、さらに説明を続けた。


「関ヶ原の戦いが起きたのは9月15日なんですが、実は前日にも激しい戦いがあったんです」


「戦い?杭瀬川の戦いか?」


晴美の言う杭瀬川の戦いとは、関ヶ原の前日に行われた戦いである。


島左近が中村一栄を壊滅させた戦い。


「えと…。そうではなくて…。小早川秀秋の取り合いが行われたんです」


乙葉は杭瀬川の戦いをよく知らない。


「東軍から使者が来て『伏見城攻めに参加したことを見逃し、勝ったら領土を保証する。だから裏切れ』と言われたらしいです。西軍からも使者が来て『秀頼が15歳になるまで関白の座を与える。だから裏切るな』って…」


そこまで言えば晴美は気付く。


「ってことは…。西軍は小早川秀秋の裏切りを予め予想していたってことにならないか?裏切りそうだから、対策を取ったってことだろ?」


「さすが先輩です!私が言いたいこと、伝わりましたね!」


嬉しそうな乙葉。


「西軍は裏切りを知っていたんです。その証拠に、小早川が裏切っても大丈夫なように、バッチリ兵を配置してるんですから!」


「じゃあ、小早川の裏切りが勝敗に左右したわけではなさそうだな…」


「いえ、確かに小早川の裏切りは東軍の勝ちに大きく貢献しましたよ!これは事実です!」


「でも、予測された裏切りなんだろ?」


納得いかないといった表情の晴美。


それを見て、そろそろ核心を語ろうと思った乙葉だった。


「小早川の裏切りは確かに勝敗を決しました。ただし、間接的にです」


「…間接的?どういうことだ?」


何がなんだかわからない晴美。


「はい。裏切ったのは小早川だけじゃないんです。しかも、そっちは予測出来なかったのです」


「…誰だ?」


「さっき、裏切りに備えて兵を配置したっていいましたよね。その兵です。小早川の裏切りに動揺したらしいです。具体的に言うと、脇坂安治や、朽木元綱などです」


「賤ヶ岳の七本槍の一人で、淡路水軍の脇坂安治か…」


晴美が補足した。


「はい。この裏切りにより、大谷吉継が自害しました。こうなってはもう西軍壊滅です」


「関ヶ原当時、大谷はハンセン病で歩けないから駕篭に乗って指揮したらしい。さらには目も見えなかったとか」


またも晴美の追加補足。


乙葉にとっても、ありがたいことだったりする。


「つまり、関ヶ原の戦いで勝敗を決めたのは、小早川の裏切りにより動揺した脇坂安治たちが裏切ったことなんです」


「だから小早川の裏切りは間接的だと…」


納得したといった表情の晴美。


「あ、あとですね。関ヶ原の戦いで、家康が小早川に向かって種子島打ち込んだ事件ありましたよね!」


乙葉は思い出したように付け足した。


因みに、「種子島」とは火縄銃のことである。


「ああ。『早く裏切れ!』って意味で、家康が堪忍袋の緒が切れた結果おこした威嚇射撃だろ?」


これも有名な事件であるため、もちろん晴美は知っていた。


「はい。ただ、最近だと異説もあります」


「異説?どんな?」


「まず、当時の書物には『昼間も暗いほどの煙があがっていた』と書いてあります。果たしてそんな状況で、西軍か東軍のどちらから打ち込まれた銃かわかるのかって話です」


「それは…確かに…」


「だから、最初から裏切りが決定してたのに動かなかった小早川に『早く西軍に攻撃を仕掛けろ!』っていう合図を出すための射撃だったのでは?とも言われてます」


「はぁ~。なるほど!」


「これで私が調べたことは終わりです」


話し終えた乙葉は、教壇を降りて晴美の隣の机に座った。


「新説とか、史料と現実との食い違いとか、歴史って面白いですよね!」


「まぁ、結果としては昔のことは推測や史料に頼るしかないからよくわからんってことなんだけどな。そこが面白いんだと思う」



この後二人は少し雑談した後、戸締まりを確認して帰宅したのだった。

これ書くのに1時間半かかってます…。



さて、関ヶ原の戦いの真史実を紹介させていただきました。


確か小学校の教科書にも「小早川秀秋の裏切りが…」とか書いてあったはずです。


間違いではないと思いますが、直接的な原因は乙葉の言う通り脇坂安治たちの裏切りです。


これを誘発したのが小早川ですから。




そういえば、前回の投稿でめでたく10万文字超えました。


自分でも「よく書いたな~」と感心しました。


塵も積もればなんとやらですね。


山とまでは行かなくても、丘にはなったかな?



すごくどうでもいいですが、晴美と乙葉を操るのは結構好きです。


晴美目線で物語書くと、必ず性格がブレるんですよね…。


乙葉は安定してるのになぁ…。


この違いは何だろ…?

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