九十五番槍 水の無い背水の陣
乙葉
「この小説、百話で終わる予定だったらしいですよ」
由佳
「え?じゃあなんで未だに続いて…まさか、百番槍で切るなんてことは…」
晴美
「それは無いですからご安心を!」
乙葉
「単純に予想以上に読者様が多かったから、退くに退けなくなったみたいです(笑)」
由佳
「続くなら安心です!」
晴美
「当分終わらないので大丈夫ですよ~!」
柴田勝家が守る長光寺城が、六角義賢に攻められた。
「ああっ!?勝家様!六角どもが水攻めしてきました!」
家臣の報告に驚いた勝家。
「なんとっ!?では、外は水浸しかっ?」
「いえ…。水攻めと言っても、水の補給路を断つタイプの水攻めです!」
「なんだ…。地味な方か…」
「なんでガッカリしてるんですか!ヤバいですよ!」
家臣が言う通り、その後すぐに城内は深刻な水不足に陥った。
そんな状況の中、六角の家臣が様子見として長光寺城に送りこまれた。
「(こいつら、水不足なんだよな!シメシメ…!)
手を洗いたいんだけど、水はあるかねぇ?」
極めてわざとらしい芝居をうった。
当然、水など殆ど無い。
しかし…。
「あ~はいはい。ちょっと待ってな」
勝家はそう言うや否や、たんまり水が入った瓶を六角の家臣に差し出した。
「あれ…?」
「何か?」
「い、いや…」
拍子抜けした六角の家臣。
とりあえず手を洗った。
この水、再利用すんだろうな。
そう思ったのだが、勝家は平然と庭に捨てた。
その後、六角のもとに戻った家臣。
「どうだった?さぞかし水不足に悩んでたろ!」
自信満々に聞いた六角だったが…。
「それが…。まだまだ水はあるようです」
「ふぇ?…え?」
信じられないといった顔をした六角だった。
その夜…。
「明日は籠城を止めて打って出る!いっそ討ち死にしようぞ!」
勝家はそう言って、家臣に残っていた水を飲ませた。
「さて、行くぞ!」
槍を持った勝家。
城内にあった水瓶全てを槍で突き壊した。
「さぁ!もう後には退けないぞ!行けぇ!」
夜明けとともに六角に奇襲をかけ見事撃ち破った。
勝家はこの後「瓶割り柴田」のニックネームで呼ばれたという。
自ら水瓶割って士気を高めるとは…。
勝家、恐るべし…!
完全に六角の意表をついた作戦ですよね!
水の無い背水の陣でした!