九十三番槍 あんな山、大したことないね!
晴美
「今日はホワイトデーだが、乙葉は誰かに貰ったか?」
乙葉
「貰ってませんよぉ~!」
由佳
「そもそも、乙葉ちゃん。バレンタインにあげたんですか?」
乙葉
「えと…。北条氏政のお墓にチョコお供えしてきましたけど…」
晴美
「私は徳川家康の墓に行ったぞ!チョコ持って!」
乙葉
「先生は貰いました?ホワイトデー!」
由佳
「貰ってませんよ」
乙葉
「バレンタインにあげました?」
由佳
「秘密です!」
母里太兵衛は、家臣を連れて江戸を目指して歩いていた。
「よし、一旦休憩しよう!」
駿河国の浮島原で、太兵衛はそう言い休憩を取った。
「はぁ~!ここから見る富士山は、ほんに高いのぉ!素晴らしき眺めじゃわい!」
家臣の一人が、富士山の雄大さに感激し感嘆の声を漏らした。
…これが全ての始まりだった。
「はぁ?お前何言っちゃってんの?俺の城の裏にある、福知山より高いわけないじゃん!お前バカなの?」
太兵衛が言った。
「えっ…?福知山って…。高さ大体900メートルしかないじゃないですか!富士山3776メートルですよ!」
家臣がそう言うが、太兵衛は聞く耳持たず。
「嘘つけ!福知山より高いわけない!命掛けるね!」
言い張る主君に、家臣はどうすることもできなかった。
それからしばらく…。
「いいですか太兵衛様!富士山は3776メートルですが、福知山は900メートルしか無いんです!富士山の方がずっと高いんです!」
「…福知山の方が高いね!」
死ぬまで福知山の方が高いと言い張った太兵衛であった。
緊急地震速報にも動じず、あとがき行きます!
福岡県の標高900メートルほどの福知山。
これ、母里太兵衛の居城だった鷹取城の裏にあった山みたいです。
その山を、静岡県から見た富士山より高いと死ぬまで言い張ったらしいです。
終いには「首を掛ける」とまで言いだして…。
頑固な性格を象徴する逸話でした。
母里太兵衛…。
母里 太兵衛です。
名前と名字の境が分かりにくい…。