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湖畔の街エネ

魔王の情報を得るため、世界の現状を知るため、旅を始め、近くの街を目指すレイ。

魔物の夜襲を潜り抜け、旅を続けると、水の匂いがした。

陽光が世界を照らしていた。

「朝か…」

そうつぶやき、レイは旅支度を始めた。


3時間ほど歩いただろうか、水の匂いがした。


潮ではない、澄んだ淡水の匂いだ。朝靄の残る湖面が陽光を受けてきらきらと揺れ、その向こうに白い石造りの街並みが広がっている。


 漁網を干す人々、荷車を押す商人、子どもたちの笑い声。

 どれもが穏やかで、戦争や魔王の影など、遠い昔話のように思えてしまう。


 レイは門の前で立ち止まり、街を見渡した。


 ――いい街だ。


 レイはその平和な街にどこか既視感を感じていた。

 街の門に目を向ける。そこで初めて違和感に気づいた。


 街門の掲示板。

 そこには冒険者向けの依頼書が、所狭しと貼られている。


「……多いな」


 内容は軽いものがほとんどだ。

 湖岸の魔物駆除、薬草採取、魔石回収。


 しかし、依頼の数が異様に多い。


 レイが首を傾げていると、門番の中年の男が声をかけてきた。


「旅人さん、初めてかい?

 エネに来たなら、まずはギルドだ。登録してないと損するぞ」


「損、ですか?」

 レイは不思議に思い門番の男に聞き返した。


 門番の男は疑問に応じるように答えた。

「ああ。湖周辺は魔物が出やすい。

 登録してりゃ、いざって時にギルドが補償してくれる。

 無登録だと……命も金も、自己責任だ。

 それに、なんかのタイミングで魔物を討伐したら、

 依頼を受けてなくても換金したり、報酬を得たりできるからな。」


 その言葉に、レイは納得した。

 街が穏やかなのは、冒険者に守られているからだ。


「わかりました。ギルドに行きます」

 レイは親切な男に感謝の気持ちを込めつつ、意志を固めた。


 門番の男はレイのその言葉に頷き

「賢い判断だ」と言った。


 レイは街の門をくぐり、エネに入った。

 そしてその足の軽いまま、ギルドを探して街を歩き始めた。


ギルドに向かう途中、レイは武器屋の前で足を止めた。


 木製の看板には、剣と槌の絵。

 中からは金属が擦れる音が聞こえる。


「先に装備だな……」

 レイは魔物討伐のクエストを受けたときのために装備を整えることにした。

 今の装備は勇者候補と言えどひどいものだ。


 ただの包丁にお鍋の蓋、これでは命を落としかねない。


 中に入ると、髭面の店主が腕を組んで待っていた。


「お、兄ちゃん。初心者か?」


「はい。冒険者になる予定で」

 レイは少々の経緯を話しながら店主と打ち解けていった。


「そうか、お前さんも大変そうだな。

       まー、何はともあれ冒険者になるなら、これだ」


 店主が差し出したのは、鉄の剣。

 装飾はなく、実用一点張りだが、刃筋は真っ直ぐだった。


「重すぎず、折れにくい。

 英雄になる人にはアレかもしれねえが、実用性ならこれだ。」


 レイは剣を握り、軽く振る。

 悪くない。


 そう思っていると店主が口を開く。

「その剣なら、お前さんにタダでやるぜ。勇者候補なんだろ?

 それなら、出世したらでいいから、また来てくれ、今度は英雄にふさわしい剣を売っておくぜ。」

 

 レイと店主は再び少し雑談を交わした。


「ありがとうございました!また機会があればお願いします!」

 レイは店主へお礼を言い、武器屋を後にした。


その後も、レイの装備一新は続いた。


 武器屋から歩いてすぐのところに防具屋があった。

 レイは防具屋へ足を運ぶ。

 

 防具屋では、革の鎧と木の盾を選んだ。

 鉄鎧ほどの防御はないが、動きやすい。


 購入し装備しているとき店主のお婆さんが口を開いた。

「どんな装備でも、あるに越したことはない。死なないことが一番だよ、坊や」


 お婆さんの言葉が、妙に胸に残った。


その後は防具屋の向えにある道具屋に寄った。


 道具屋では、回復薬を数本と、持ち物を収納する袋を購入した。


「この袋は魔力を遮断してるからね。

 そのまま放り込んでも暴発しないし、見た目以上に多くの道具が入るんだ。」

 袋に関しては店主のおじさんの押し売りに負けて購入したようなものだ。


 レイは深呼吸し、心を落ち着かせて言う。

 「さて、これで準備は整ったかな。」

次回、ギルドでの出会い

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