表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/14

第二話一切 あ、一緒に逝きます?

いやぁ、十時間くらい前に間違えて投稿した時は焦りました。

しかも気付いたのが今、っていうのも致命的ですね。


今後、こういう事は無くしますので、よろしくお願いいたします。

「えぇ、私なんて生きてる価値も無いゴミ虫だって事は理解してるんです。馬鹿な私でも。だからこそ、生きていて害しか及ぼさないゴミ虫は、死んで世界中にいる生物達に謝ろうとしてたんです」


 倉野 京二郎は目の前で丈夫そうな縄を持つ女子生徒を見て、鳥肌が立った。直感的に彼女がヤバい人種の方だと理解したのだ。


 ここは京二郎が通っている学校の中庭。周りは木々や花といった自然に囲まれ、青い空が広がっている中庭で陰鬱な雰囲気を出している女子生徒は、輪のある縄を持ち虚ろな表情をしていた。


 逃げようとする京二郎だが、少しでも動こうとすれば女子生徒の虚ろな表情は京二郎に向く。こういう危険な人物は何をするか分からない。そんな恐怖心から、逃げ出せないでいた。


 どうしてこうなった、そう自問自答をする。昼休み、自分のクラスに嫌気が差した京二郎は外道丸を置いて中庭にやって来た。


 そして木に縄をかけ首を吊ろうとしている女子生徒を見つけ、しばらく眺めていた。


 しかし、女子生徒が首を吊る事は無かった。いや、吊ろうとしているのだが、木が折れてかなわない。高い位置から落ちた彼女は血だらけである。


 京二郎は女子生徒良く見てみる。黒髪を腰まで伸ばし、前は目が隠れる寸前だ。肌は白く、見た目はまるで幽霊である。それもまた京二郎の恐怖心を扇いだ。




 八方塞がりとはこの事だ。逃げ出したいのは逃げ出せない。更に女子生徒とコミュニケーションをとろうとしても意味不明な鬱状態に入って会話が出来なかった。


 この人物に関われば必ず災いが起こる、と脳が危険信号を発するがどうにもならない。とりあえず、今は彼女と正常な会話をするしかないと、京二郎は口を開いた。


「あのー、ほら、そんなネガティブな事はあんまり言わない方が……」


「いえ良いんです。私なんて生きてる価値無いですから。貴方のような人間様に詫びる為、このゴミは今すぐあの世へ行きます」


 ……会話にならないのは分かっていた。段々と鬱オーラが濃くなっていく。別に京二郎は誰が死のうが良いのだ。自分に害を及ぼさない程度で、だが。


 女子生徒のやり取りを経て、ようやく京二郎もプッチンと何かがキレた。キレる若者だ。


「あァァァァァァ! めんどくせぇ! お前何なの!? まじで何!? 怖いんだよ! もう死ねって! 早く死ねって! ほらほら、死んでくれよ」


 後半は訳が分からなくなった末に出た言葉で、言った瞬間に京二郎は後悔する。この人種は何をするか分からないのだ。


 実際、女子生徒は暗く陰鬱な目を京二郎に向けている。黒い瞳からは感情が読み取れず、本能的な恐怖心を呼び起こし、京二郎は一歩だけ後ずさった。


「ひぃっ!」


 そして、女子生徒も一歩だけ京二郎に近づき、京二郎は情けない声を出した。まあ、誰だって怖い。


「貴方……貴方様は……」


 体を揺らし、俯きながら近付いて来る彼女に、京二郎は逃げようとするが、足が動かない。


「なんで!?」


「ああ、それは魔法ですよ。心の優しい貴方様……。私のような牝犬と一緒に死んでくれる貴方様……」


「はぁ!?」


 何だこれは。このブッ飛び少女は何をどう解釈してこの結論へ至った? 京二郎は『魔法』という言葉を無視して、ひたすら彼女が言った一緒に死ぬ、という言葉の意味を考える。


「来ないでェェェ! 死ぬぅぅぅ!」


 ここで、初めて少女に笑みが宿る。笑み、と言っても狂気の孕んだそれである。


「あはっ。ええ、一緒に逝きましょう、地獄へ」


「いやいや、なに旅行に行くみたいな気軽さで言ってんの!? 地獄にお土産は売ってないからね!? それに、死ぬのなら天国にいくわ!」




 平和な昼下がり、外道が一人。天罰がくだされようとしていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ