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第一話四切 見渡せば外道と鬼

「ファイ先生、ご主人の頭がかじられています。血が垂れてきました。心なしか顔色が死人のようです」


 外道丸は横にいる京二郎を見やり、冷静に言った。当の京二郎は涙を流し、無言でファイに助けを求めている。頭には犬の牙が食い込んでいた。。


「……ご主人? 誰それ。アタシとアンタ以外に誰がいるんだい?」


「横にいます。頭から赤い液体を流している人間がここにいます」


「横? あー、その生ゴミか。それはね、この世の廃棄物だから良いの。だから、怪我したとしてもアタシの責任じゃなくて、全て魔物の責任だから」


「なるほど、現実逃避とは。貴女はそれでも教師ですか」 外道丸とファイが会話をしている間にも、京二郎のダメージは蓄積されていく。白目を向き、出血は冗談じゃ済まされないくらいにはなっていた。


 それを見て、ファイはどんどん顔を青くしていく。


「このままだったら先生の責任問題。処分は免れませ――」


「チェストォォォォ!」


 凄まじい威力を孕んだ飛び蹴りが魔物の横腹に直撃。魔物は血を吐きながら飛んでいく。


「はぁ、はぁ……可愛い生徒には手を出させん! この魔物共が!」


「アンタ最低だよ」


 冷や汗を垂らしながら叫ぶファイに、外道丸が京二郎に代わって呟いた。

 外道丸の言葉をスルーし、ファイは魔物の群れに相対する。数はおよそ12体。このタイプの魔物は足が速く、尚且つ鋭い牙を持っているのが特徴だが、弱点が明白だ。それは防御力不足である。攻撃に関してならそこそこだが、この魔物は強烈な蹴りを入れただけで、それが致命傷になるくらいひ弱だ。


 もちろん、並の人間には勝てない。ファイは対魔物戦闘学の教師であり、こんな魔物に遅れを取るはずがないのである。


 ファイはまずポケットから紙を取り出した。白い紙には何やら意味不明な紋様のようなものが書かれている。


 そして、紙が光ったと同時に叫んだ。


「還れ!」


 瞬間、先ほどファイに倒された魔物以外が消え去った。何のアクションも無く、消えたのである。


 その様子を、外道丸は無表情で見ていた。


「っていうか、別に最初からそれをすれば良かったんじゃありませんか? 無駄に犠牲者出して楽しいですか、この雌豚」


 彼の言葉に、ファイは青筋を浮かべて肩を震わせながら返した。


「誰に口聞いてるんだよ、無表情ダメ使い魔。覚悟は出来て――」


「痛い痛い痛い! いてぇなぁ! こりゃ出血多量で死んじゃうかも! あぁ痛いなァァァァァ!」


「え……?」


 急に、京二郎が息を吹き返した。それも、何やら嫌な予感がする事を叫びながら。ファイは頬をひきつらせながら疑問符を浮かべる。


「ちょっとさぁ、これって教師の責任だよねぇ? そうだよね、外道丸ぅ」


「ええ。間違いありません。厳重に罰するべきですね」


 本格的に嫌な会話を繰り広げる二人を見て、ファイは冷や汗をダラダラと流す。もうこれから彼らが言う事もなんとなく分かる。


 それは――



「どう責任取るつもりですかぁ? せ・ん・せ・い」


 京二郎は語尾にハートが付くような鳥肌の立つ口調で言い、


「ご主人、そういえば腹が減りました。ついでに肩も凝ってきましたね。ああ、それとご主人の治療費も工面しなければなりません。貧乏な俺達にとっては生きるか死ぬかですね」


 外道丸は滲み出る腹黒さを隠す事も無く、言い放った。



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