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第一話一切 説明も糞も無しでいきなり始まるファンタジー

 一応、学園ファンタジーと構想しています。

 空は相も変わらず青い。


 倉野 京二郎は天を仰ぎ、心中で呟いた。雲一つ無い蒼天には種類も分からない鳥が飛んでおり、京二郎の心を僅かに癒す。


(ああ、青い。空は青いなぁ……)


 まるで死人のような目で空を見る彼の口はポカンと開いていた。周りは木々に囲まれ、整備されていない事から山の外れた場所と推測出来る。それ以外に観察しろと言われても、今の京二郎の精神状態で無理であった。


 その時、京二郎の横から声が聞こえてくる。


「現実逃避ですか。えぇ、出来れば俺もしたいですよ、このダメ人間」


 声の主は十代後半と見える若い青年。男には似つかわしくない長く艶やかな白銀の髪を後ろでくくり、これまた男とは思えない程美しい顔立ちをしている。しかし病的な肌の白さは、彼から人間らしさを奪っていた。更に、なぜか女物のような着物を着ている。


 そんな青年の言葉に反応し、京二郎は魚の死んだような目を青年に向ける。


「ほら見ろよ、外道丸。鳥が飛んでるよぉ。アハハハハハ……」


「とうとう壊れましたか」


 外道丸と呼ばれた青年の言う通り、京二郎の様子は壊れたと言うしか無い。目は死に、訳の分からない方向を見ている。顔から生気が失っているのを見ると、もう末期だ。


 だが、京二郎の傍らにいる外道丸は周りを冷たい表現で観察していく。現状を再確認した外道丸は、冷や汗を垂らした。


 二人の周りにいるのは、凶悪な牙を剥き出しにしている獣。犬が一番近いが、犬などよりも獰猛な見た目をしている。赤く、瞳孔の開いた目は二人を射抜き、今にも襲ってきそうな殺気を漂わせていた。



(…………)


 京二郎は冷や汗を垂らしている外道丸を、チラリと見る。彼は自分よりも周りに注意を配り、自分には視線の一つも送らない。


 次に、獰猛な犬の配置。僅かに偏りの見られる配置から、京二郎は突破口を見出だした。しかし、それは小さく、とても二人では突破出来ない。


 口角を上げ、壊れた『フリ』をする京二郎。


 そして――















「腹ががら空きじゃァァァ!」


「ゴフゥッッ!」


 外道丸の腹を力の限り蹴り、一番犬が偏っている場所へ飛ばした。


「ハッハァァァァ! 大切なのは自分の命じゃァァァァ!」


 京二郎はこれでもかと表現を嫌らしい笑みに変え、犬が少ない方向へ走り出した。犬は最初に動いた外道丸に飛び掛かっていく。


「貴様ァァァァァ! この腐れ外道が!」


 外道丸は、鬼のような形相で京二郎を睨み付けるが、当の京二郎は逃げる事に必死。気付いた頃にはもう包囲網を突破していた。


「外道と名の付く悪鬼に言われたかねぇんだよ!」


 振り向きもせず、叫ぶ京二郎に外道丸は怒気の籠った声を腹から出す。


「ブッ殺ォォォォス!」

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