表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/10

酒の勢い

びっくりするくらいの大金をびっくりするくらいのスピードで使った月曜日から五日後、土曜日。


そろそろ大学では前期の終わりのテスト、レポート提出が見えてきた。

そんな土曜日に僕は追尾型カメラアイズを引っ提げてダンジョンに来ていた。

ここは相変わらずジメジメして臭いがきつい。


追尾型カメラ「アイズ」を起動、セットして準備完了。

安っぽい革鎧とちゃっちい片手剣も装備済み。

昨日新しく買った軍隊っぽいヘルメットもつける。

今日は缶ビールだ。


では、いきますか。


ゴクゴク…………。




…ぷはぁぁぁぁっ!!



「配信んんんんんっっ、スターーーーート!!」




気がつくと、ボロい安アパートの一室、僕の部屋だった。

毎度お馴染みの頭痛と吐き気を抱えて、ボーッとスマホを眺める。


そうだ。昨日は録画したんだった。

どれど…れ…。


配信…されてんだけど…。

酔っぱらいがダンジョン攻略する姿が配信されてるんだけど…。


しかもなんかバズってるんだけど?

……どうしてこうなった。どうしてこうなった!?


酔っ払ってたからですね。自明でした。


冷静になろう。

バズってるんならいいことじゃないか。

うんうん。

せっかく追尾型カメラを買ったんだから配信はしてみようとは思っていた。

めんどくさいから後回しにしていただけで。

今はダンジョン配信の黎明期。ブルーオーシャンだ。始めるなら早いほうがいい。

うん。酔っ払いの僕の方が決断力があるようだ。


悪いことなんて何一つなかったじゃないか。

バズって儲かってバンバンザイだ。


気持ちを切り替えた僕はとりあえず自分の配信アーカイブを視聴することにした。



面白かった…。

チャンネル登録者は1万人。今も増え続けている。

この面白さなら納得である。「ヨイドレダンジョン攻略チャンネル」(こんな名前つけた記憶ないけど)おもしれー。

ヨイドレさん(こんな名前名乗った記憶ないけど)つえー。


シラフの僕では到底できない軽妙なトークとモンスターの殲滅。

いやはや、〈酔拳〉最高のスキルなのでは?

記憶は飛ぶ(震え)から、実質何もせずにお金が貰えるようなものだし。

あれ、ダンジョン探索者って怠惰な僕には天職じゃないか。


大学二年生。そろそろ就職が見えてくる時期。

将来についての不安。働きたくない。この後何年も同じ場所に毎日、毎日満員電車に詰め込まれて運ばれて、やりたくないことをやらされて、理不尽に耐えながら、身を、時間を、切り売りしていく。そんな我慢をして手に入るのはそんな我慢をする時間を続けていくための切符。

ていうか朝起きたくない。昼まで寝てたい。

あと人と関わりたくない。めんどくさい。

交友関係が、クラス替え、進学で毎年、毎回リセットされる僕を舐めるなよ。


そんな、僕にとって探索者はまさに垂らされた蜘蛛の糸。天啓。


毎回の二日酔いを我慢すれば、働く時間は自分で決められて、なおかつ普通に働く場合の何倍もか金と名誉と承認欲求が得られる。

なんなら働いた実感すらない。

命の危険なんてクソ喰らえだ。

親はもうなくなっているので先立つ心配もない。


全身に喜びの震えが走る

いてもたってもいられず心が叫ぶ。


「お酒最ッ高ーーーーーっ!!!!」


ゴンッ


「うるせえぇぇぇぞっ」


我が世の春が来た。

よし、そうと決まれば大学は辞めよう。

奨学金も即返済、バイトも辞めよう。

もともと覚醒者が狙われてそうな現状、土日しかダンジョンに潜れないのは厳しいと思っていた。


ここが勝負所だぜ。

フルスロットルだ。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ