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泥酔した羅針盤

甲斐甲斐しくお世話されて二日酔いを乗り越えた翌日。

昨日小鳥遊さんが帰るときに置いて行った羅針盤を手のひらで弄んだ。

象牙でできているように見えるが定かでない。

一緒に潜ったダンジョンの宝箱に入っていたらしい。

鑑定書には、「泥酔羅針盤」と書かれている。

使用者の望む物の在処を示す効果があるらしい。

そう聞くと大変有用な魔道具に思えるが、ほとんどの場合その指し示す針の先にあるのはガラクタだったり、何も無かったりで望むものではない。

希少性故にある程度のお値段はするが、需要はそこまで高くない魔道具だ。


今回、小鳥遊さんは僕に譲ってくれた。 

ありがたく頂いて、次回にダンジョンで出た魔道具を渡すことにした。

彼女は『次回』と聞いてとても嬉しそうにしていた。

『ダンジョンのアイテムは人を選ぶ』という言葉がある。有名な探索者の言葉だ。

泥酔した羅針盤なんて、名前からして相性抜群だ。

初めての魔道具だしね。これで縁を感じない方がおかしい。

白い象牙のような素材が八角形に切り出され、細かな彫刻が美しい。蓋を開けると丸い窪みに金属の針がクルクルと回っている。デザインもドストライクで、よく手に馴染む。

ダンジョンで拾ったアイテムの分配は探索者にとって永遠の課題だ。それをニコニコと譲ってくれた小鳥遊さんには感謝してもしきれない。

早速明日使ってみる予定だ。

今使わないのは魔道具がダンジョンの中でしか発動しないからである。


気が済むまで泥酔羅針盤を鑑賞してから、前回のダンジョンでの映像を見ることにした。

映像の中の小鳥遊さんは愛用のチェーンソーを振り回し血煙を浴びている。


「…いや、つよ。」


彼女のレベルは僕より少し低いくらいで、スキルも

〈チェーンソー術〉のみだ。

それでもこの無双っぷり。彼女は酔っ払った僕と同じ人種らしい。

稀にいるらしいのだ。根拠のない強さというのだろうか。問答無用で強い人種が。


しかし、映えるな。セーラー服とチェーンソー、舞い上がる血飛沫にぐるぐると不気味な瞳。

配信に向いてるかも。

僕の配信に出てみないか誘ってみるか。

カメラ越しだと彼女の瞳から来る寒気が減衰しているように感じる。彼女は画面越しで輝く素質の持ち主かもしれない。


ステータスを開く。


==========


佐藤 丈悟

lv.9→23

skill.〈酔拳lv5〉〈〉〈〉

sp.9→46


===========


一レベル上がるごとに獲得したスキルポイントは、2ポイントが5回、三ポイントが9回と相変わらず開かれた数値を叩き出している。普通は14回ひいても

3ポイントが出る確率は運が良くても一回だ。

恵まれてることに感謝した。


酔拳をレベル10MAXにしても、なおポイントが余るほどスキルポイントはたまっているが、いまだにスキルは習得していない。

二番目のスキルはダンジョンで拾ったスキルオーブから習得することに決めたのだ。

僕のダンジョンでの戦いぶりを見るに、急いで新しいスキルを習得する必要性は特に感じないし、個人的に最初に手に入れた二つのスキルはその後の成長を方向づける役割があると考えているのでどうしても慎重にならざるをえないからだ。

ベストな選択肢が無くて、ベターな選択肢がたくさんあるのなら運で決めるのもまた一興と思ったのだ。

しかし、この手の中にある羅針盤があれば話は変わる。今僕が望むものといえば2番目のスキルである。

きっとこの魔道具は僕を導いてくれるという予感があった。

明日、泥酔羅針盤を使うのが楽しみだ。





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