目覚め
「んっ、んぅ〜!とりあえず一番面倒なのは手に入れたし、後は帰りながらかなぁ」
テリブルドラゴン。
F〜Sまである魔物のランクでその枠に収まらない脅威から特級の名を冠する強力な魔物。
この間のヒュラマイトとの戦闘で、一国の主戦力である騎士団の一部隊を素手で圧倒したセリナが最初から武器を使うくらいには強い魔物であり、この国にテリブルドラゴンと同格の魔物を倒せる存在は現段階ではセリナを含めた4人しか居ない。
「ブラン。どう?震えは収まった?」
「はい。ごめんなさい、迷惑かけてしまって」
「いいよ。大丈夫、そもそもボクが連れて来たんだしね。ギルドか家で待って貰っても良かったんだけどさ、どうせなら上の世界ってのを体感して貰おうかなって」
圧倒したとはいえ、割と全力で戦ったのだ。一気に力を解放した上に、この夏の始まりの季節。汗ばんでしまったから1度汗を流せるのは気持ち良い。
「ですが、セリナならもっと早く必要な物を集められるのでは」
「まぁね。でも、そんなに気にする必要無いよ。どうせ薬を作るのに時間かかるだろうし、素材集めだってブランと一緒でも精々2時間変わるか変わらないか。その2時間で間に合わないならそもそも助からないんだよ。ボクが作るのは凄く効き目の良い薬だけど魔法の薬じゃないからね」
セリナがこの400年、助けられなかった命は数え切れない程ある。だからこそ目の前の命を救うのに全力を尽くすのだが、それで救えないのなら割り切ってしまう。割り切れてしまえる。
「っというかさ、ブランの身体凄い肉付き良くなったねぇ。身体だけみたらボクよりお姉さんだ」
「エルフは一定の年齢になった途端成長が極端に遅くなりますけど、個人差がありますからね。私はむしろブランの引き締まった身体の方が魅力だと思います」
2週間健康的な生活を送っていたブランの身体は出る所は出て、引き締まる所は引き締まっている我儘ボディになった。
一方セリナの身体には無駄な脂肪が一切付いていない引き締まったスレンダーな身体。
「そうかなぁ?ボクが男ならブランの事放っておかないけどなぁ〜」
「んっ.....やっ、そんな、揉まないで....ぁっ....私は、王女様のお気に入り、でしたからっ」
実際、ブランがもし王女に拾われていなかったら今頃男達の欲望の捌け口にされているか薄汚い貴族の奴隷にされていただろう。
騎士団時代の傷跡やその後の拷問で出来た傷跡が残っていた身体はセリナ特製の傷跡を消す塗り薬によってかなり薄くなり消えるのも時間の問題だろう。
「うっわぁ、おんっっもっ、ボクのおっぱいの何倍あるのってくらい重いんですけど」
湖の端で水に浸かりながら裸のブランの胸を持ち上げるように揉むセリナ。
「〜っ!」
「.....ふぇ?」
抵抗しないブランに油断していたセリナはブランに両手を掴まれ驚く。
「はぁ...はぁ....さっきから、私の事ばっかり褒めてますけど、セリナだって、ほら」
「ひぅっ....ゃ.....」
岸辺に追い詰められたセリナは、すーっと自分の細い腕を伝うブランの指を振り払えない。
「腕はあんなに力強いのに、こんなに細くて、程良く柔らかいです」
「ちょ....ブラ」
ずいっ、とセリナの前に膝立ちになったブランはセリナを見下ろしながらセリナの二の腕を揉む。
「ぁ....」
「それにほら、セリナだって、お...いはありますし、手に収まって、可愛い、ですっ」
「ゃ、まっ....んっ....」
むにゅ、とセリナの程良く実った胸を潰すように押したりふにふにと揉んだりするブランを押し返せないセリナ。
「腰だって、こんなにくっきり括れて。お腹だって腹筋が薄く出るくらい引き締まっていますし」
「ひぅっ....んっ....」
片手をセリナの胸に置いたまま空いた手でセリナのアバラを撫でながら降りていき、臍をクリクリと引っ掻くように擦り、六つに割れて薄く表面に出ている腹筋を一つ一つ撫でていく。
「足だって、私より筋肉があるのに、こんなに細くて、でも硬すぎなくて、すらっとした綺麗な太ももです」
「っ!...まっ、そこっ、だ、めぇっ」
太ももの内側を撫でられ、びくびくぅッ、と身体を小さく震わせるセリナ。
「ぁ...ね、ぇ.....ぶら、んぅ....も、もう良いで、しょぉ...」
胸を揉まれながら身体を撫でられるセリナがブランに止まるように懇願する。
「....っ」
(なん、でしょう。この、高揚感。なんだか、イケない事をしてるような、でも、もっとシたいような....)
はぁはぁ、と顔を赤くして息を荒くしているセリナを見て生まれて初めて感じる興奮に戸惑うブラン。
宝石のように輝く群青色のくりっとした大きな瞳は戸惑いながらも拒絶の色は無い。
小ぶりなぷるんとした唇は中途半端に開かれ、開いた口から甘い吐息が漏れる。
紅潮した頬も、玉のように美しい肌も、小ぶりな胸や引き締まった身体も、ブランのエメラルドのような翡翠色の瞳には全てが艶めかしく映る。
冷たい湖では冷やせない身体の火照りに身を任せるように胸に置いた手をセリナの腕をなぞらせて指と指を絡ませて握るブラン。
「な、にが。良いん、ですか?.....」
「ひゃ、ぁっ.....」
ぐいっと互いの鼻がくっつきそうなくらいセリナへとブランが身体を大きく寄せると、ブランの胸がセリナの胸を覆い尽くすように押し合う。
「そ、れは....その...此処、外....だし...」
嫌、を始めとする拒絶の言葉はセリナから出てこない。
「?外なら、くっついたり、身体に触るのは、ダメ、なのですか?」
ただ、ブランに性知識という物は皆無だった。
「セリナは、私を抱き抱えたり、撫でたり、してくれるじゃないですか....」
「.....あーね。えっと.....ブラン。キスって知ってる?」
「きす?ですか?いえ。知りませんが」
きょとん、と首を傾げるブラン。
「えっと.....とりあえず、もう上がろっか」
「その前に、きす、とは何ですか?」
とりあえず、セリナはブランがこんな所であんな事やそんな事をシ始めるつもりは無いのだと分かり、何故か少し残念に思いながら安堵し、ブランの質問に答える。
「え〜っと、キスっていうのは。その、好きな人.....いや、特別な人と唇を合わせる、その....相手に自分が好きだよーって伝えるスキンシップ、みたんむぅ!?」
完全な不意打ちだった。
というかセリナもセリナで変に鈍いのだ。
今のブランにそんな事教えたらシて来るに決まっているのに。ブランのセリナへの好感度は最早友達や師弟、家族の枠を超えているのだから。
「ぶっ、ぶぶぶっ、ふりゃんっ!?」
「?好きな人に、するんですよね?....もしか、して、嫌....です、か?」
「そ、そうじゃにゃいけどっ!その......今、されるのはマズイというか、キスは恋人同士でするというか.....ボクも初めてというか.....」
好きと愛、は違うという事もブランは良く理解していない。幼少期から愛情という物を与えられず成長したからなのだろう。
「と、とりあえずもう次行こっ!ほら!まだ少し集める物あるしっ!」
「はい。分かりました」
ザバァっ!と勢い良くブランが立ち上がると豊満に実り始めたまだまだ成長中の胸が揺れ、セリナの目の前にブランの少しむちっとし始めた白い太ももと丸裸で隠す気の無い股間がセリナの目の前に堂々と晒し出される。
(なんでしょう、この胸の中のもやもや。ウズウズするような、暑いような、これが本に書いてあったもどかしい?という事でしょうか?)
豊満な身体を拭きながら悶々とした感情が収まらず、しかしどう収めたら良いのか分からないまま悩むブラン。
(あのまま....うぅぅぅ〜っ!相手がブランだから拒絶は出来な.....いよ、ね。嫌...じゃないんだもん)
一方、セリナもまた、悶々としていた。
(そりゃぁ男は恋愛対象とかそういう対象として見れないけどさぁ、女の子の方が好きだけどさぁ!ぁぅぅぅ...まさかキスまでされるなんて...)
セリナはエルフ故の長命から、他人と一定以上の距離を保つようになった。
親しくなっても自分だけ姿が変わらないまま皆老いて死んでいく。親しくなっても、直ぐに別れる事になる。
そしてそこに追い討ちをかけたのが200年前の事件。
同種族のエルフが来て、同じ寿命を持つ彼女と共に暮らせる。ようやく孤独じゃなくなると思っていたのに、大人しくて笑顔が可愛らしく優しい彼女と一緒なら寂しくない、そう思っていたのにヒュラマイトの人間達に殺された。
だからだろう。特に人間に対して一定以上の距離を保つようになった。それがセリナの孤独を更に加速させた。
要は数百年単位で人肌恋しくなるくらい寂しいと思っているのだ。
「ぶ.....ブランっ、準備出来た?」
「はい.....少し苦しいですが...」
「まぁ、ボクの着替えだしね....」
自分の服を貸すと胸と尻と太ももだけぴっちりと服がパンパンに張っており、頬を引き攣らせるセリナ。
「っし、いこっか」
すっかり気持ちを切り替えたセリナはブランを抱き抱え次の材料を採りに向かう。
そしてその日の夕方。
「よし、とりあえずこれで後は様子見かな」
「そうか。すまんな」
「別に良いよ......まぁ、色々聞きたい事もあるし、ね」
ギルドの処置室にてセリナとマスターはベッドで眠る少女に薬を飲ませ終わり、少女を見つめていた。
「にしても聖獣の卵といい、身なりの良い感じといい、この娘は何なんだろうねぇ」
「少なくとも下級の貴族では無いだろうな。まぁ、どんな理由であれ面白い物では無さそうだな」
「最悪、また攻めて来る事も覚悟しといた方が良いかな」
「だろうな。特に聖獣の卵なんてエルフの手にでも渡ってしまえば後々脅威になる事くらい向こうも理解しているだろう」
向こうの国で何が起きているかは知らないがそれでこっちまで巻き込まないで欲しいとため息をつくセリナ。
「聖獣、か...」
「聖獣の卵は魔力を通してから孵化を始める。これだけ時間が経ってるといるのに一向に兆しが見えないという事はまだ主が居ないという事だろう?まさかとは思うが」
「もしこの前の一戦でボクが居るって知られたんなら、手土産に保護して貰おう、とかそういう感じなのかな」
別に聖獣の卵はエルフ以外の魔力でも孵化はする。
ただ、エルフは主従関係の契約を結べる。そして聖獣の強さは精霊や妖精の比ではなく、契約を結んだエルフは聖獣の力をその身に宿したり共に戦ったり出来る。
勿論、成熟した聖獣もエルフと契約出来る。だが自分の魔力で孵した聖獣は初めから契約出来ているのに対して成熟した聖獣は1度聖獣を屈服させないといけない。
しかも聖獣を屈服させるには一体一、他の精霊や聖獣の力を借りずそのエルフ1人の力で勝たなければならない。セリナを見ていると余裕だろうと思うかもしれないが普通は無理なのだ。
そもそも聖獣を見つける事自体が非常に困難なのだ。人が寄り付けない秘境と呼ばれるような場所でひっそりと暮らす。周りにはテリブルドラゴンのような強力な魔物が住んでいる事も多く、数自体も極々少数なのだ。
そんな聖獣の卵が4つ。しかも未孵化。
「手土産としては、充分過ぎるくらいだね。それこそ戦争の火種になるくらいには」
「そうだな。きちんと躾をしたら聖獣だって人間の命令を聞く。成熟した聖獣一体を放てば街1つは蹂躙出来るだろう」
「.....まっ、ここで考えても仕方ないし、とりあえず帰るよ。流石にアイツらもこの前ボクにボコられたのに来ないでしょ」
そう言うともたれかかっていた壁から離れるセリナ。
「あぁ、そうそう。そのうちテリブルドラゴンの余った素材とか売りに来るから」
「.......おい待てまさかと思うがこの娘に飲ませたのは」
「そっ、龍の血を基礎に色々混ぜたよ。まぁ人間の血じゃ龍の血に負けるからこの娘は後天的な獣人になるだろうね。しかも龍族。まぁ魔物になる訳じゃないし良いんじゃない?」
「なにやってんだこのバカ」
ひらひらと手を振りながら去っていくセリナに頭を抱えるマスター。
魔物、といっても魔力を持った強力な動物というだけ。ただ、今回使ったテリブルドラゴンは生物としての格が違い過ぎる。少し混ざっただけで人間の血を侵食し、近い内に龍の獣人になってしまうだろう。
それでも生きてるだけ儲けものと考えるか、それはこの少女が目覚めてからの話だろう。
とはいえ、セリナの、弟子であり娘のような存在でもある彼女のやった事だ。自分で助けられる面があるなら助けるつもりだ。
「っふふ♪またあの娘が何かしたのかしら?」
「あぁ。今度は人間の少女を助けるのに龍族にしやがった」
「あらあら。じゃあ少し大変そうねぇ」
その晩、2階の住宅で頭を抱えているとマスターの嫁がほわほわとした雰囲気で話しかけて来た。
「悪いが少しその少女の面倒を見てもらうかもしれん」
「ふふっ♪良いわよ。どうせならそのブランちゃんって娘もセリナも一緒に来てくれて良いのに。特にセリナなんて暫く会えて無いんだから」
「まぁな。たまには会ってやれ」
マスターは注がれた酒を1口飲んで、たまにはアイツを困らせてやろうと企んだ。
そして、セリナとブランはーーー
ご読了ありがとうございました!
ブランの性への目覚め、普段はつよつよな女の子が庇護対象に迫られて逆転するのが堪らんのです笑
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