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三百年越しの戦い 〜開闢の英雄、久遠の願い〜  作者: 雲になりたい
一章 一年生編
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第六話 発表

「アヌー!起きなさーい!」


朝から五月蝿い声が聞こえてきて、アヌは目を覚ます。まだボーッとしているが、今日が何の日なのかを思い出してくる。


「ああ・・・合格発表の日か・・・」


「アヌー?」


「はぁ・・・起きたばっかりなんだから大きな声は出してほしくないんだがな・・・」


アヌはゆっくりと起き上がり、ドアに向かう。その間も声の主ーーロザリア・ヒバリオが叫び続けている。


「ちょっと!?ねぇ、起きてるの?三秒以内に出てこなかったら入るから!さーん!」


アヌはドアの前に辿り着く。


「にーい!」


アヌはドアに手をかける。


「いーちっ・・・って、おわあっ!」


ロザリアがドアを開けて入ってこようとした瞬間、アヌがドアを勢よく開ける。

ロザリアは体重を前に傾けていた為、もちろん転んだ。


「いった〜!ねぇ、アヌ、わざとでしょ!」


「そんなわけないだろう」


「嘘つき!」


「俺は女の子にそんな酷いことをしない」


「何よ!私は女の子として見られていないってこと!?」


アヌはこんなことしなければ良かった、という後悔に苛まされた。アヌの心の中は、「面倒くさい」という気持ちでいっぱいだった。


「何やってんだよ、デケェ音してたけど」


セルヴァが心配そうな声で安否を確認する。


「何でもない、ロザリアがふざけて転んだだけだ」


「ちょっと!」


またロザリアが文句を言い出しそうな雰囲気を感じ取ったアヌはさっさとセルヴァの元に逃げ込む。


「ほら、セルヴァ、さっさと朝食食べにいくぞ?」


「美味い食事を求む」


アヌ達は宿の食事処に行く、そこは朝であるのにも関わらず、相も変わらず賑やかだった。


アヌ達が泊まっている宿は中々に人気なところなのだ。人気な理由の一つに、料理が美味しい、というものがある。


おかげさまで、ロザリアが食べるのをやめれない為、そんな美味しい料理をスルーして、パンを一つ買って食べる。


素朴な朝食を終えた後、アヌ達は学園に向かって歩き出した。


「緊張してきたわね・・・落ちてたらどうしよう・・・」


「まさに、杞憂っていうやつだな。落ちてる可能性はゼロだろうに」


「そんなことないわよ!」


「ある、むしろ俺の心配をしてくれ」


「・・・受かってると良いわね」


「っていうか、あれ・・・?」


話をしている途中に違和感に気づく。あの騒がしい声が聞こえてこない。


「・・・セルヴァは何処だ?」


「まさか迷子?」


アヌが辺りを見渡すが、セルヴァらしい姿は全く見当たらない。


「・・・あいつは何をやっているんだか・・・」


「アヌ、見つけた!」


アヌはロザリアが指差す方向を見る。自分たちが進んできた道と逆方向だ。


かなり遠くだが、見える。座って何かをしている様だ。


「とりあえず迎えにいくぞ」


アヌ達は人混みを掻き分け、セルヴァの元に辿り着く。

そこでセルヴァはーー呑気に団子を食べていた。その時のセルヴァの顔はとても幸せそうだった。


「・・・セルヴァ」


「はっ!アヌ!?ロザリア!?・・・どうして俺はここに・・・!?」


「何やってるのよ、ほら、行くわよ」


「ああ・・・ちょっとまってくれ、もうすぐで食べ終わるんだ・・・」


大方、最近の食事が質素すぎてついつい美味しそうな団子の匂いにつられてしまったのだろう。既に四本食べ終えている。


「大体、俺がこうなったのは、ロザリアのせいだぞ!」


「私!?」


ロザリアは心外だ!という顔をする。


「ああ、お前が『美味しくてやめられな〜い』とか言って、出費がヤバいことになって俺らが助けられなくなって手遅れになる前に、どうにかしようって三人で質素な食事にすることになっちまったんじゃねーか!だから仕方ない!」


「それは・・・悪かったけど・・・でも今じゃなくて良いじゃない!?」


「限界が、来ちまったんだ・・・!」


「全く・・・それは言い訳にならないわよ・・・今はユーピテル学園に行くことの方が大事なんだから。ねぇ、アヌ?」


「セルヴァに賛成」


「なっ・・・!?」


「俺もなんか食べたいわ、そろそろパンと野菜だけの生活にも飽きてきた。」


「まだ二日じゃない!根性ないわよ!?」


「根性なしなんだから仕方ない。あと、お前のせい」


セルヴァも頷いている。


「食欲には逆らえない」


「うっ・・・うぅぅ・・・じゃあ私も食べる!」


「「ダメ」」


「えっ!?何で?二人が良くて私がダメなんて理不尽じゃない。」


ロザリアは必死になって反論する。その弁論に対して対抗するのはアヌ。


「どうせまた食べすぎるに決まってる。手持ちのお金考えろ、やめておいた方が良い。」


「しかし・・・」


「しかしじゃない、今はユーピテル学園に行く方が大事なんだろう?」


アヌは先ほどロザリアが言ったものに対して揚げ足を取る。ロザリアはこれで折れる・・・ことはなかった。


「団子の方が大事よ!」


「自分で言った言葉を否定すんなよ・・・」


「仕方ない・・・」


セルヴァはロザリアをガッチリとホールドし、逃げられない様にする。


「このまま連れて行こう。すまねぇな、俺が団子につられちまったからよ」


「気にするな、それより、逃げられない様に頼む」


「頑張ってみる」


しかし、流石剣聖と言ったところか、凄まじい力でセルヴァの腕を振り解こうとする。


「っ・・・!ヤベェ、どうにかしねぇと・・・」


「セルヴァ、後十五秒耐えてくれ、策がある!」


そういうとアヌは魔力を練り始めた。セルヴァは、アヌが何をするのかわかってはいなかったが、この状況をどうにかするものと信じて、力を振り絞って拘束する。


「できた、セルヴァ、離れろ」


その瞬間、セルヴァはその場から退却する。


「【スリープ】」


アヌが呪文を唱えると、ロザリアは眠りに落ちた。


「お前、【スリープ】使えたのか・・・!」


「こういう系のちょっと使える魔法はちゃんと練習してるんだよ・・・ふっ!」


アヌはロザリアをおんぶする。


「さあ、行こう」


            *


アヌ達が学園にたどり着いた良いタイミングでロザリアが起きる。


「んぁ・・・おはよぉ・・・」


「そろそろ降りて貰おうか」


「・・・ん?」


ロザリアは目をちゃんと開けて今の状態を確認する。そして一拍おいてから顔が赤くなる。


「ちょっ・・・何やってんのよ!」


「おんぶだが?」


「おんぶだが?じゃないのよ!早くおろしてよ!」


「そんな嫌がることじゃないだろう。というか、俺は早く降りてくれと言っている。しがみついて離れないのはお前だろう」


「あ・・・」


ロザリアは一瞬固まる。


「いやっ・・・これはそういうのじゃなくてっ・・・!」


「良いから早くしてくれ」


「あぅ・・・はぃぃ・・・」


ロザリアは降りて、自分の両頬を一度叩く。アヌとしては意味のわからない行動だったため、不審者に思えた。


結果から言うと、主席はロザリア、次席はセルヴァだった。

アヌとしては意外だった。特にセルヴァ。馬鹿だと思っていたので、勉強ができるとは思わなかったからだ。


ちなみに二人とも千四百点台後半だった。三位は千四百点台前半で、アヌとしては何処かで見たこと・・・いや、聞いたことのある名前だと思った。


合格発表は成績順に並んでいる。そして、アヌの名前だけはどれだけ探しても見つからなかった。


そして、名前が書いてある最後の列まできた。

そして・・・


「あった・・・」


665点、ビリから三番目である。後で聞いた話によると650点以上が合格だったとか。


「一番下のEクラスで確定だろうな」


「まあ、合格したってだけでとりあえずは良いんじゃないかしら?」


「まあ、取り敢えずはな」


アヌとしては、Eクラスに不良がいないことを願うばかりである。


「とりあえず宿に戻って教科書とかを買おう」


「そうだな」


「そうね」


そうしてアヌ達は一度宿に戻ることになった。


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