第三話 冷淡な瞳
短めです
ロザリアは夢を見ていた。視界はぼんやりとしており、あまりよく見えない。
ロザリアがよく目を凝らすと、村人達が騒いでいる様子が見えて来る。そしてロザリアは思う、ああ、この時の出来事か、と。
まだロザリア達が小さかった時のことだ、1人の少女がゴブリンに攫われてしまう事件があった。1人で薬草を摘みに行っていた所を狙われたのだそうだ。
大人達は直ぐに捜索を始めた。子供達はいなくならない様に教会に集められた。
集められてから30分が経った頃だろうか、アヌは突然、トイレ、と言って立ち上がった。
ロザリアは自分の不安を誤魔化すために、少しふざけて、「漏らさないでよ〜?」と言った。対してアヌの答えは簡素なもので、「ああ」とだけ言っていた。
その時、ロザリアは何か違和感を感じていた。そして直ぐにその正体を悟る。
ロザリアは気づいた、アヌは自分を表面上は見ているが、本質的には見ていないことに。
ロザリアはアヌの後を追いかけることに決めた。
少し追いかけて行くと、アヌはトイレとは違う方向に向かっていった。そして、窓がある廊下の行き当たりにたどり着いた。そして、アヌは窓を開け、少しロザリアがいる方向に振り向いた。
その時の月に照らされたアヌの顔を、ロザリアは今でも覚えている。感情を無いような瞳、冷たくて、光がなかった瞳を、未だに覚えている。
ロザリアは分かっていた、きっとアヌは自分に気づいている、と。しかし、アヌは何も言わずに窓から出て行った。ロザリアはそこでアヌを追いかけるのはやめた。
暫くたって、少女が森から1人で出てきた。1人の騎士に助けられたと言っていた。その事件から少女は王都に行ってしまった。それからアヌは・・・
ロザリアの頭に靄がかかる。そして、覚醒の瞬間がやって来る。
ロザリアは目を覚ます。と、同時に体を起き上がらせるが・・・
「ゔっ・・・!」
「あっ・・・ごめん・・・」
ロザリアの頭突きがアヌの顔面にクリーンヒットする。アヌは倒れ込み、手で顔を覆っている。
「いって・・・ところで、お前大丈夫、なのかよ・・・」
「えっ?何が・・・」
「いや、寝てる途中、随分と顔をしかめていたからな、なんか悪夢でも見たのかと思ってな」
「あぁ・・・いや、私が見たのは・・・」
そこで一旦言葉が止まる
「何だっけ・・・?」
「まあ、忘れたなら忘れたで良いだろ、体の方は大丈夫なのか?」
「体・・・」
アヌに体のことを言われて、さっきまで自分が何をしていたのかを思い出す。
「アンドロマリウスはどうなった!?」
「・・・それがな、逃げたらしいんだ」
「逃げた・・・?」
ロザリアはゴブリン神を有しているアンドロマリウスが逃げる理由が見つからなかった。この村を壊滅させる事だってできる筈だ。そして、最終的に行き着いた答えは・・・
「予言の子・・・」
「予言の子?」
「そうだ、目的を達したのかも知れない、アヌ、いなくなった村人はいるか!?」
「いや、死んでしまった奴らはいるが、いなくなった奴はいないな」
ロザリアは本格的にアンドロマリウスがやりたいことがわからなくなった。
「うっ・・・」
「どうした、ロザリア?」
「いや、何でも・・・」
ロザリアはもう限界を迎えようとしている様だ。ロザリアとしては一刻も早く休みたかった。すると、アヌが話しかけてきた。
「あっちの休憩場所で休んでこいよ、お前は十分戦って疲れてるんだしな」
「それも・・・そうだな、お言葉に甘えるとしよう・・・」
そう言ってロザリアは休憩場所に向かう。
そして残されたアヌはアンドロマリウスが逃げる時に使った魔法陣を見て、呟く。
「邪神・・・」
と・・・
次から第1章です。学園に行くのでよろしくお願いします。