第二話 アンドロマリウス
一話見直してみましたけど、やっぱあんま面白くないですね。自分で書いたやつだからですかね?
アヌ達が振り返った先にいた者は、全身を黒の服で包み、白い仮面をつけていた。
「あー、外したか」
アヌの本能は告げている、今すぐに逃げろ、と。
ロザリアも同じようで、冷や汗をかいている。
2人とも分かっている、身の前にいる男と戦ったら、絶対に死ぬと言う事を。
「何者だっ・・・」
「おっと、そんな気ぃ張んなって兄ちゃん」
仮面の男はおちゃらけた喋り方をする。そして、それは余裕を意味する。負けるとは微塵も思っていない、強者の声色だった。
一歩でも動けば殺されるのではないか、その恐怖に支配され、アヌは動くことさえできていなかった。
「で、何者かって言う質問にはどう答えれば良いの?名前を答えれば良いの?それとも種族名?」
「・・・」
「何か答えろよ〜・・・はいはい、どっちも言えば良いのね、別に、言っても減るもんじゃないし、良いよ。俺はアンドロマリウス、魔王軍の一人、身分はー・・・上級魔族って所だな」
魔族、その単語が聞こえてきた瞬間、戦慄が走る。魔族は今、この世界において最強の種族と言っても過言ではない存在。そして、アンドロマリウスは自分を上級魔族と言った。
上級魔族ともなれば、1人を相手に世界をあげて軍を編成し、対抗しなければいけない存在なのだ。一介の少年少女が到底敵う相手ではない。
戦えば、間違いなく殺されるだろう。
しかし、ロザリアは次の瞬間アンドロマリウスに斬りかかっていた。
「断罪」
「うぐっ・・・!?」
ロザリアは確かにロザリアの肩に向かって斬りかかっていた。しかし、何故か肩にダメージを受けたのはロザリアの方だった。
「何で・・・?」
ロザリアは相手の攻撃がどの様なものか理解しようとした。
そして、答えに行き着いてしまった時、ロザリアは更に絶望する。
「相手の攻撃を全てはね返す能力・・・?」
「おっ、答えに行きたくの早いね、普通は初見だとパニックになってわからなくなるものなのに」
アンドロマリウスが言っている事は無視して、ロザリアはアヌを見る。そして、決断する。
「アヌ、逃げて」
「えっ・・・?」
「あなたじゃ相手にならない、殺されてしまう、私が時間を稼ぐから、逃げて!」
「ッ・・・!ああ、分かった、死ぬなよ」
アヌはロザリアの決意を感じ取り、逃げる事を選ぶ。
ロザリアは再び戦闘に戻ろうとする。しかし、アンドロマリウスはロザリアの方を見ていない。ずっと、アヌを見続けている。
「何をしているの、あなたの相手は、私よっ!」
アンドロマリウスは再び斬りかかってきたロザリアを軽くいなし、アヌの方を見る。
アンドロマリウスはアヌに何か違和感を覚えていた。アヌの何かが引っ掛かる。自分はあの少年の本質を見抜けていない、と、本能が訴えている。
「・・・ッ聞いているのか!」
アンドロマリウスがボーッと考えている内に少女が話しかけていた。アンドロマリウスは聞いていなかったため、何の事だかわからない。
「すまん、何の話だ?」
「ッ・・・!どこまでもふざけて!お前は何の為にこの村を襲撃したのか、と聞いている!」
強い口調で言われ、少しイラッときたアンドロマリウスはロザリアに少し言い返す。
「聞いてばっかり、というのもフェアじゃないんじゃない?ホラ、君こそ何者なのさ?」
「剣聖、今代の剣聖だ」
「剣聖、ねぇ・・・300年前に比べると、星とゴミの様な差だな」
「何・・・?まあ良いわ、挑発には乗らない。私が答えんだから、あんたも答えてよ」
「『予言の子』」
ロザリアは一瞬、目の前のこいつは急に何を言い出したのかわからなくなったが、直ぐにステロト村に来た目的の事であることを察した。
「俺らのボスが言っていた『予言の子』を探す為に来た。それ以上は言えないな」
アンドロマリウスはそう言うと、ロザリアから離れて地面に手をつく。
ロザリアは一瞬アンドロマリウスが何をしているのかわからなかったが、直ぐに悟る。恐らく奴は召喚魔法で仲間を呼び出そうとしている、ということを。
地面に魔法陣が刻まれる。魔法陣に込められた魔力は桁違いに大きい。間違いなくヤバいのが呼び出される。
ロザリアは魔法陣にを破壊しようと動き出す。しかし、時すでに遅し、召喚魔法が発動してしまった。
「しまった・・・!」
ロザリアはすぐにその場から離れる。召喚された瞬間に攻撃してくる様な奴なら間違いなく瞬殺される、その判断からなるべく遠くへ、と逃げる。
黒い光の柱が現れた、そして、それが消えて魔法陣の真ん中に立っていたのは・・・
「ゴブリン・・・神」
ゴブリン神はその名の通り、ゴブリンの身でありながら神の域へとたどり着いた存在である。200年に1度現れる災厄であり、今のS級冒険者が束になっても勝てるかどうか怪しい。
「か、勝てるわけが・・・」
「ふー・・・結構魔力を食うな、これ。300年前の剣聖ならこいつ位はあっという間に倒してたぜ?今代の剣聖の力、見してくれよ!」
ゴブリン神は殺気を放った、すると・・・
「あれ?お嬢ちゃん・・・?気絶したのか?」
今の人間界はアンドロマリウスが思っていたよりも戦闘能力が衰退していたらしい。
「なんだ、今の人間なんてこんなもんか。次侵略するときは苦労しなさそうだな。注意すべきは『予言の子』のみか」
『予言の子』ーーアンドロマリウスがカッコつけてこの様に言っているが、アンドロマリウスのボス、という者が予想しただけのものだ。
もともとアンドロマリウスは『予言の子』がいるかどうかの偵察に来ただけだが、テンションが上がって、『予言の子』を炙り出すついでに村人を殺して魔力を取ろうとしていたのだ。
「こんな村に本当にボスと同じくらいの力を持っている奴がいるのか、と思ったけど、やっぱりボスの杞憂だな、最終的に現れなかったし」
アンドロマリウスは振り返り、ゴブリン神と共に帰ろうとする。しかし、振り返った先にいるはずのゴブリン神は顔がなかった。
代わりに血が噴き出ていた。
「・・・は?」
次の瞬間、アンドロマリウスは首筋に悪寒を感じた。「殺される!」そう思ったアンドロマリウスはすぐにしゃがむ。そして自分の首があったところに風の刃が通る。
アンドロマリウスは冷や汗が止まらなかった。風の刃は初級魔法だが、その初級魔法一個に込められた魔力量が桁違いだった。
「この世界にまだこんなに強い奴がいたのか!?」
次々に風の刃が襲いかかってくる。どれも当たったら即死レベルの魔術だ。
アンドロマリウスは風の刃が飛んでくる方向を見る。
すると、アンドロマリウスの方に歩いて近づいてくる者の姿がある。
「・・・やっぱり、お前だった様だな・・・」
アンドロマリウスは近づいて来る者の姿を確認して、言う。
「悪いが、お前と相対した時は迷わず逃げろ、と言われているもんでな、逃げさしてもらうぜ」
アンドロマリウスは即座に自分の下に転移魔法の魔法陣を展開させる。すると、近づいて来る影は魔法陣に手をかざしたーー
ーーバチィン!!ーー
凄まじい音が鳴り響く。
「・・・妨害しようとしたのか、だが、これは俺らのボスが作ったやつなんでな、簡単には壊せねぇよ」
転移魔法が発動する。アンドロマリウスの姿か消えていく。すると、影はアンドロマリウス向かって言う。
「俺ら人間の平穏を乱すな。お前らのボスに伝えておけ」
「んー、ま、勝者の特権だ、良いよ、伝えといてあげる」
完全に転移魔法が発動され、アンドロマリウスはこの場から消えた。
一気に進みすぎですかね?まあ、プロローグだし良いですよね?