その人を守る
◎ハイッというわけでホンマにもうね、
あれですよ。世の中というか運命
ちゅうヤツは、もう無茶苦茶しより
ますな、私なんかもう、スッカリ
あれで、もうワヤですねん。
□どないしたんよ
◎まぁ何やね、わかりやすく言うたら
私の人生ちゅうか心、精神力を10ℓの
バケツとしたら、そこに100ℓの災難
や苦労を押し付けてきやがって、ホンマ、
こうなったら私も自棄で、どないしたろ
かと
□いや、君、10ℓのバケツには10ℓしか
入らんから、後の90ℓはこぼれてしも
うて、後は知らんがなでええんとちゃうん?
◎アホ!辺り一面が水浸しになるやないか!
□ほんらな君は、周りのことにも気ィつことる
ワケや
◎そや
□そんで、その10ℓのバケツちゅうのは何で
10ℓなん?あと周りが「水浸し」ちゅう
ことは100ℓは全部「水」なん?ところで
何で100ℓで済む思てるのん?
もっとあるとか・・・
◎あのなぁ、イメージや、心の中で
「あぁかなぁ?こうやろな」て思い描く
ための区切りみたいなもんじゃ
□ふーん、ほなら10と100にしたんは君に
今の10倍の能力なり運があったら「何とか
できる」ていう意味か?
◎うーん・・・
□ゆうとくけど「3人寄れば文殊の知恵」と
いうが、君みたいなのは「何人おっても
モンチッチの知恵」やぞ、おまけに君は
「不運」を嘆いとるんやから、「不運が
10倍、ドンッ!」やったら?
◎恐ろしいコト言うなっ・・・
て、誰がモンチッチやねん!
□いやまぁ、そやから、その10やら100
やらのイメージは君が勝手にこしらえた
イメージなんやろ?
それやったら、まだ想像もつかんエラい
ことが有るかも知れんし、また逆にエエ
ことも・・・
◎アカン!エエことなんかあるかいっ!
あっても100円拾う位や
□大分と重症やな。そうやってイメージちゅう
やつを膨らませると悪い時は悪いこと
ばっかり考え付いて気が滅入って、余計に
悪くなってゆくんやで
◎底が知れんな・・・
□そう、イメージにはハッキリした掴み処が
ないからね。そやから思い込みて結構、
怖いんよ。気分が悪いときは「考えない」
が一番やで。ところで、さっきからの話は
君の悩み、苦労のことをいうてるうんやね?
つまりは「君の世の中=君の世界」のこと
◎まあな。周りにも色々心配事はあるけど、
それも「私の世界」の中で起きてること
やからな
□それやったら、ちょっと目線を「世界」
レベルにアップしてみよか、世界は永久の時と
無限の空でできとるから、100ℓが太平洋
でも何でもないで。君の10ℓバケツでは
100は10倍やけどな
◎ドアホ!人間には「限界」ゆうもんがあってな
イメージの区切りもソレじゃ、確かに世界は
デカイかもしれんが、個人には個人の限界が
あるねん。それが10ℓに100の災難や!
これでわかったか!
□OK、オーライ、大きい声出さんでも解った
がな。さっきの例え、いきなり「世界」を
だしたのは飛ばしすぎた。せやから君の言う
「君の世界の限界」を少し広げてみよか
◎は?
□とりあず丁度ええコトバ「限界」というのが
出てきたから、これで話を進めるで。「限界」
というのは「限られた世界」のことや
◎そうや
□「眼科医」は目の医者のことや
◎お前、ええ加減にせんとシバクぞ
□いや、そやけど実際、医者には
診てもらってるか?
◎え?
□例えばやけど、心配事が大きくなって夜も
眠れん、そんな状態では健康にも影響するやろ、
君ひとりでイライラ、クヨクヨするだけで
専門家への相談的なことは何もしてへんのと
違うか?
◎・・・いや、自分なりには色々とやってるよ。
カウンセリングとか心理学の本とかも読んだし
□それは「自分なり」の中でやな
◎うん
□それを拡げてみ?今の君の世界にとって、
君の想像する心配事は10倍のデカさやけど、
「自分なり=自分の世界の限界の中」を外して
「他の人」「他の方法」を探してみる。
「今まで」とか「自分だけで」とは違うことを
取り入れてみる。そうすれば例の「自分の世界」
が大きくなって1:10が3:10や7:10に
なるかもしれん、それだけでも軽くなるで
◎なくなるワケやないんかい。それに新しい
心配事が増えるかも?
□それこそ先手必勝や。正体不明の不安にイキ
ナリぶつかるより、あらかじめ知ってる方が
マシやろ。おまけにイメージちゅうのは大体が
「在りもせんことを、在るように想像して悩む」
ものやろ
◎成程、色々悩むよりも新しいことを始めたら
ええんやな
□そうそう、昔から言うやろ「貧すりゃ鈍する、
ワラ打ちゃ手打つ、便所にいったら紙がない」
◎お前っ!何でそんなこと言うねん!
せっかくソノ気になったのに。どうせそうや、
何やっても同じや!やるだけ無駄じゃ!
□はいっ、それですよ!何かあったら直ぐに
悲観的に決めつける。それが「今までの君」。
そこをキチンと把握してから動かんと、何か
あったら直ぐヤケクソになってしまう。
そういうクセをリセットしてかからんとな
◎せやけど人間はカンタンには変われんぞ
□いやいや「変わる」て、そんな大袈裟なこと
せんでもエエんよ。とりあえず今は疲れとる。
疲れてるからこんな話の1つも出る。一端は
小休止、小休止。それから個々のケースに
ついて考えよか、一人だけやのうて・・・
◎わかっとるわ、どうせモンチッチの知恵や
言う気やろ
□一人で思いめぐらせても同道めぐりの
グルグルサークルやから、犬とかキジとかの
意見も参考にしてやな
◎桃太郎か!もうええわっ!
今回の下案「キサゴ タミさんの話」
昔、幼い子供を亡くされたキサーゴータミー
さんという方がいましたが、この方が御釈迦様に
「子供を生き返らせてくれ」と頼みましたそうな。
当時は宗教家は奇跡が起こせてナンボの時代。
御釈迦様はその手の話に「奇跡が見たいなら魔法
使いのトコロへ行け」と常は相手にしないのに
この度は、あまりの嘆き様を哀れに思ったのか
「わかった。復活の儀式に使う材料を集めてきて
くれたら、後は引き受けよう」と。してその材料
とは?「今までに一度も身内から葬式を出した
ことのない家から、一つかみのゴマを貰ってきて
くれ」。その当時のことですし御釈迦様の
おっしゃること、必死になって「身内から一度も
葬式をだしたことのない家」を探すうちに、心が
落ち着いたのでしょうか「私だけが子供を亡くす
という不幸に見舞われたような気持ちで一杯
でしたが、世の中の多くの人が同じか、それ
以上の悲しみを越えてきたことを知りました」
そう言って、復活の儀式を断ったそうです。
「自分ひとりだけの心の世界の中」では「自分に
起きた事象」が世界の全て~大部分を占めて
しまい、しかもイメージは勝手に未来まで染めて
ゆきます。キサーゴータミーさんの場合は
「その家」を探す過程で他の人たちの体験を
知るうちに「自分だけの世界」では、今の心の
中全てと未来までを覆いつくした子供を亡くした
悲しみが、「自分の世界」が広がったことで
和らいだのではないかと思い、そこから着想して
「自分だけ」を離れて「他を試す」を1つ仕立て
てみました。
追伸
□ところでな人間には変なクセがあってな、
自分の悩みに値打ちをつけるんや。自分は
このことでこんだけ苦しんでいるから、これは
重大な崇高な大切な素晴らしい・・・まぁ
そういう悩みなんや~ってな具合にな
◎よう病人がやたらと重病ぶるアレみたいに?
□そうそう。そやけど、こと「人が人を想う
気持ち」に関しては、そういうことで苦しまん
でもいいよ、という話やけど、聞く?
◎お前、そのギャグ、パクッてへんか?
まぁええわ、どんな話?
□細かいことは「分我羅人」の説明で述べた
から省くけど「人」というのは「この世界=分」
や「自分の世界=我」に染まる前の素のヒトの
ことや。人間は皆、我が身大事。その「我」は
「人」から始まっとる、ここまでOK?
◎我は人が「自の分=自分の世界の影響に
染まった状態」わかった。
□つまり「我」には「人」の成分が入っとる
OK?
◎OK
□「分我羅人」では「人」はどこに属する?
◎「人」は「分我」に染まる前やから「世界」に
属する概念やな
□そう、世界を「時間、空間」と「間間:カンマ」
で区切った「この世界=分」その中に存在する
人間から「間の区切り」を外したのが「人」や。
◎それが悩みの値打ち付けとどう関係するねん?
□うん、「あぁ私がこれほどまでにソノ人の
ことを心配し、ソノ人の幸せを永遠のモノしたい
と願っても、この世界の全ては変わってゆく。
私もソノ人も老い、病み、寿命がくる。苦しい、
悲しい、辛い・・・っとな」
◎ビックリしたわ。いきなり芝居に入るな
□まぁ存在するモノには必ず変化が在り、
それを嘆くあまり変化への絶望=虚無感やら、
不安=恐怖に苦しむ、さらに、その思いを大きく
するほどに苦しみが増して、押し潰されて
しまうわけや
◎想いが重い!
□そやけど「人」というのは「永久不滅にして
無限不変の世界」に属する存在。もちろんこれは
不死身の身体やなくて、概念、心の世界の話やけ
どな。自分やソノ人が消えても変わっても自分や
ソノ人を作った世界は永久不滅にして無限不変の
存在、だから「この世の中の変化」なんかは
「ソノ人」を想う心に何の影響もあらへん、
つまりは自分の中で「想いの価値づけ」「重み
付け」なんてする必要はない。あぁ自分も含めて
何もかもミンナ変わってゆく、変わってゆくけど
「世界」という存在は永久無限、不滅不変=見た
目は変わりながらも存在し続けるという性質は
未来永劫にそのままだから、本質は変化しない。
安心して大丈夫よ、という話や。
◎うーん、まぁ、わかったような・・・でも、
それやったら、「人」という在り様も止めて
世界と1つになったら?
□お前、いま世界と別々か?お前の体内には
時がないのか?お前のおる場所は空がないのか?
人間の間を外したら人やで、お前はそれ以上、
何の間を外すねん?「世界と1つになる」と
いうのは世界という存在との心の調和、メン
タルの話や。物理的には我々は既に世界の中に
おるやないか。「時間、空間、人間」の「間」
以上をぬいて変化しようとするのは「在る」
ということに逆らうことで、一見、かっこいい、
又は賢いように見えるが要は「自分が重荷に
なっている」ことで、何かに囚われてるんや。
ええこと教えたる。実際、「人」も捨てる気に
なったらいつでも捨てられる。その程度のものや。
人類の歴史から日々のニュースまで、人間が
人間をないがしろにしてる実例なんかゴマンと
あるわ!誰でもできるわ!そんなコトをカシコ
ぶってたらアホじゃ。
「ヒト」で「在る」ことなんて我々にとっては
重いことあらへん。軽~いモンや。現に「こんな
事を話するまで」日常の生活の中で忘れてまう
ほどに軽いものや。そして、基本は割と面白い
モンやねん。ある意味、自然にタダで手に入った
からて安易に考えたらアカン。君、そういう発想が
出るのは、かなり疲れとるな、ちょっと休み、
もうええから・・・
◎いや、急に真面目になるなよ。これ、オチは?
□そやから「落ち着け」いうてるやん
◎もぉええわっ!
□◎ど~もっ ありがとうございましたァ!
ネタの反省会
□は~ぁ、まぁ何とか1本にまとまったのかな?
◎わざと「ソノ人」としたあたりが工夫か
□実際、「人を想う」は「自分自身が大事」と
「自分の愛する人が大事」の2パターンあるけど、
「人」で語るなら同じや、「人」だけやと「自分」、
「あの人」やと「他人」になる。
◎そこで「ソノ人」やね
□読む人にとっての「想い人」
◎あと、このネタの「変化する性質という万物の
本質は未来永劫変わらない」は般若心経の
「不生不滅~」に通じると思うんよ、それで1ネタ、
つくるやろ?
□まぁ気が向いたらな。
◎またまた~、このしゃべるたがりがぁ~
□いや、これ結構シンドイねんでホンマ。
まぁヤル気やけど
◎□ というわけで、どうも、
ありがとうございました。
これからも、よろしくお願い申し上げます。