リェナスの日常を体験
前の話書いたのいつだっけ?
夢を見た。
誰もいない真っ白な世界を彷徨い歩く夢。
名前を呼んでも返事はなく、どこに向かって歩いているのかもわからない孤独な夢。
しばらく歩いていると、一人で泣いている少女を見つけた。
呼びかけても泣いているだけで返事は帰ってこない。私はただ少女の隣に座って見守ることにした。
なかなか泣き止まないので面白い話でもしてみた。幼い頃に家畜の尻尾を踏んで追い掛け回されたり、村長の立派に伸ばしていた髭を寝ている間に剃ったことがバレて怒られたりしたことなど。とにかく少女が泣き止んでくれそうなことを話し続けた。
そろそろネタ切れが近くなった頃、少女から小さなクスクスという笑いが聞こえた。それと同時に少女はこう言った。
「お姉ちゃんドジでおっちょこちょいなのね」
長々としゃべって開口一番に聞こえたのがこれか。と少し傷ついたが泣き止んでくれてよかったと思った。
「誰かに話したりしないでね、恥ずかしいから。約束してくれる?」
「うん、やくそく!お姉ちゃんのなまえは?」
「私はフィースよ。あなたは?」
「わたしはね……」
ここで目が覚めてしまった。あの子、なんて名前だったのだろうか。寝起きのぼんやりとした頭で考えながら私は2度寝した。
「フィー起きろ、朝だぞ」
「う~ん…。うん。おはよー…」
「おはよう。挨拶をしながら寝ないでくれ、ほら!朝食が冷めてしまうぞ」
「ごはん!」
といういつものやりとりをして顔を洗いに部屋から出る。
「どっちに行けばいいのよ」
今いる場所が魔王城だと気づき右も左もわからなくなった。
『メイドを呼べば済むことだ。という前におはようだったな、主人殿』
おはようリェナス。ねえ、その主人殿ってどうにかならないの?
『他にどう呼べばいいのだ』
ん~…。フィーでいいよ。ミスィーに呼ばれてて慣れてるし。
『では、フィスと呼ぼう』
なんで変えるのよ。まあいいけど。
そういえばミスィーが部屋から出てこないな。何かしているのかな。
で、どうやって呼ぶのよ。そのメイドさん。
『普通に名前を言えばいい。そうだな、今日は…シーアだな』
「シーア?」
「お呼びですか?魔王様」
「ひゃあ!?」
どこから?いつの間に後ろに。
『この城の中にいるメイド達は名前を呼ばれればどこでも転移できるようになっているのだ。ただし城の外へは転移できない。そもそも我の許可なく城から出ることはできない』
「魔王様、失礼します」
「え?うわぁ…なに、なに?」
身長148センチくらいの小柄なメイドに突然持ち上げられた。
その身体のどこにこんな力があるのか。で、これから私はなにを?
『朝風呂だ。ミスィーは先に連れて行かせた』
なんなのよぉ~。
「失礼します」
「ちょっと、自分で洗えるわよ!ひゃう…」
リェナスに朝風呂だと言われ、メイドのシーアに無理やり脱がされ、現在シーアの身体で洗われています。
「いかがですか?魔王様」
「いかがと言われても…なんだか変な気分」
他人に触られ、どうだと感想を求められても回答に困る。これをやられたミスィーは赤面して倒れてしまった。彼女の常識では考えられないことだ。恥ずかしさと意味不明さで思考停止したのだろう。
「腕は終わりました。次にお背中を」
全身やるつもりだろうか。リェナス、これあなたの趣味よね。
『ん?そうだが。何か?」
いえ、何でもないです。
シーアが背中を洗うと言ってから少し時間がかかっているが、なにをしているのやら。
「失礼します」
「どうぞ……。ひゃあ」
ふにっという明らかに手ではない感触に驚いた。これは胸だ。
さっきから視界にちらちらと入っていた大きな胸だ。恐らく私よりも大きい。
上へ下へ。一度離れて位置をずらしてまた上へ下へ。
「ん、……んぅ」
必死に抑えるが漏れ出る声。少し恥じらいが混ざっている。
早く終わってほしい。やる方は当然恥ずかしいのだろう。
でも、初めてやられる私の方がもっと恥ずかしい。
『そろそろだな。フィス、これが我がメイドに胸で背中を洗ってもらう理由であり、楽しみだ』
なに言ってんのよ。もう洗い終わるのよ。お湯で流して…。
理解できないはずなのだが、私は心のどこかで、いいなと思ってしまった。
リェナスとの会話中、背中に胸の柔らかさの中に2点の硬い物を感じた。
反射的に振り向こうとしたがシーアに首を前に戻された。
「み、見ないで………ください」
前には鏡があり、そこに映るシーアは頬を赤く染め俯いている。
離れるとその隆起した2点を見られるが離れないといつまでも押しつけ続けることになる。
恥ずかしさから逃れたいが逃れられない、どうすればいいのかわからないという表情をしている。
『シーアは思ったことをなかなか口に出さない静かなメイドだ。フィスがなにか言わなければこの状況はずっと続くぞ』
わかってて呼ばせたな。エロ魔王!
「シーア、私目瞑ってるからその間にパパッと流して。終わったら先に上がっていいから」
「…あ、ありがとう…ござい、ます」
私が目を瞑ると背中に押し当てられていた胸は離された。
これでいい、のだが…背中に寂しさを感じている私を誰か叱ってください!
『フィスもこっち側なのだな』
うるさい!黙れエロ魔王!
はーい、私です。最近寒くて布団から出たくないよね。こたつから出たくないよね。え?そうでもない?うっそだぁ〜。と、話すことがないので最後に一言。ストーブをつけたまま寝落ちするなよ!ではまた。