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平和な魔王は静かに暮らしている……はず。  作者: ぬるま湯
始まりの物語
10/19

領地の訓練施設

毎回思うこと。投稿間隔長すぎて申し訳ない。それでも呼んでくれる皆さんに感謝。

 いつかの夢を見た。泣いている女の子に話しかける夢。

また名前を聞けずに目覚めてしまった。いつか、聞けるのだろうか。


 ベッドから身体を起こし、いつものようにメイドを呼ぶ。慣れたものだ。

『おはよう、フィス。今日も朝から忙しいぞ』

うん、おはようリェナス。

初めはびっくりしていたリェナスからの突然のあいさつにもやっと慣れた。

朝はのんびりしていたいが、領地返還後の整備が終わっていないために二度寝も許されない。

『準備ができたらすぐに出発する。ミスィーにはメイドに城内の仕事を叩きこませるから留守番させる』

了解です。あとで伝えておきます。

さて、今日もお仕事がんばろう!



 リェナスの案内で着いた先は大きな訓練施設だった。魔法陣は屋上に設置されており、屋上からの眺めは良いが、山しか見えない。転移後、ドタドタと足音が聞こえ屋上に続く鉄の扉が轟音と共に吹き飛んでいった。現れたのは筋骨隆々の巨漢。ズンズンと足早に近づいてくる。目の前まで来ると巨漢は大きく息を吸い、第一声を放った。

「ぉおかえりなさいませーーー!!リェナスさまぁーーーーーーーー!!!!!」

巨漢の声は大気を震わせ施設周辺の木々を大きく揺らした。

しばらくキーンと耳鳴りがし、音を認識できなくなる。だが、リェナスは怯むことなく私の身体を動かし巨漢の腹に鋭い拳を打ち込んだ。

 何してんの!?痛いんだけど!見た目通りに腹筋固すぎなんだけど!!

『なーに、いつものことよ』

打ち込まれた巨漢は膝をつきその場に倒れた。

『ふん、また固くなりおって』

固くなりおって、じゃないわよ!私の身体なんだから考えて!あと、理解できないから説明して。

『こいつは訓練施設の責任者であり教官の一人。名をライオット。脳が筋肉でできているバカだ』

うん、よくわからないけどわかった。で?挨拶して終わりじゃないでしょ?

『全体の様子を見に来たのだ。だが、こいつが横にいると何かと面倒でな』

なるほど、毎回気絶させるのが恒例行事になったのね。

『そういうことだ。では、行くぞ』

ライオットさん放置でいいのね…。


 屋上から移動し施設内を見て回っていると、訓練施設には合わない制服を着た細身の男性とすれ違った。手帳に何かを書き留めているようで、こちらには気が付いていない。

『フィス、そいつに石を投げてみろ』

石って、危ないよ。

『嫌なら我がやる』

と言ってリェナスは身体の主導権を奪う。程よい大きさの石を拾い男性に向けて全力で投げつける。石は一直線に男性の後頭部に向かい、直撃した。

 ちょっと!普通に当たっちゃったよ?

『大丈夫大丈夫。いつものこと』

倒れたまま動かないのに大丈夫なわけないじゃない!身体返して!

身体の主導権を得ると倒れている男性に駆け寄る。

「大丈夫ですか?大丈夫じゃないですよね?あーもう、どうすれば…」

『ひっくり返して確認してみろ』

リェナスの言うとおりに男性を仰向けにする。顔を見ると『へのへのもへじ』と書かれていた。

なにこれ!?人形?

『上を見てみろ』

言われるがままに天井を見ると、パンツ一丁の男性が張り付いていた。

目が合い、男性はやさしく微笑む。

私はライオットさんのように大きく息を吸い、大声で叫んだ。

「たすけてくださあーーーい!!へんたいがいまぁーーーーす!!!!!」


 パンツ一丁の変態はすぐに駆け付けたライオットさんによって拘束され、執務室に場所を移した。

一連の流れにリェナスは笑い転げている。そして、なぜか笑い合っているライオットさんと変態。

状況についていけないんだけど?早く説明して。

『悪かった。何も言わずにいたことは謝ろう。そこの…、パンツ一丁の変態は……ぷふ、ネグレスという。もう一人の教官だ。…あーおもしろい』

笑い堪えてもらえます?

「魔王様、先ほどは失礼しました。私がネグレスで、このデカいのはライオットです。それと、言い訳をひとつ。完全にリェナス様が悪いです」

「なんだっけ?あれ、殻割りの術?あれやるとき服脱がなきゃできないんだよな?」

「変わり身の術です。攻撃を受けて倒れたと見せかけて死角から反撃するものです。私はどんな状況でも術を行えますが、あのようないらずらは止めて欲しいと何度言えば聞いてくれるのですか?あと、ライオットは説明が足りずに話をややこしくするので黙っててください」

「いーじゃんかよ。で、リェナス様は何しに来たんだ?」

賑やかな二人だ。と、説明はリェナスがするよね?よろしく。

「我もしばらく訓練に参加させてもらう。以上!」

色々説明があるでしょ!あと初耳なんだけど!?

『今言った。あとライオットに説明するのは疲れる。それに、ネグレスが全て把握しているから問題ないだろう』

ネグレス何者?

 リェナスの発言に動揺することもなく二人は了承する。

「細かいことはわからんが、とりあえず訓練だな!今からだろう?よっしゃ行くぞー!!」

「ライオット!まずは予定を…、行ってしまいました。どうしますか?」

「こうなることは予想していた。ネグレスは我が休める場所を確保しておけ」

「わかりました。魔王様、リェナス様、無理はしないでくださいね」

……魔王様って私のこと?だよね?


どうも、私です。脳筋キャラはいつか出そうと思っていました。そうじゃないキャラにもちょいちょい脳筋が見られたぞって言われると、私の性格か好みの問題ですね。今回からはフィース強化編となる予定です。それではまた次回。

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