4話目 逃げたのにまた召喚される奴?そしてそして…⁉︎
ういっす、柿野です。
4話目です。宜しくお願い致します。
「あれ?闇馬君?」
目が覚めた私は、何よりも先に闇馬君を探しました。
倒れたクラスメートでもなく。
何が起こったのかという疑問よりも優先して。
その他のことなど、どうでもいいんです。
私は、何よりも闇馬君が大好きだから。
「闇馬君!闇馬君⁉︎」
必死に見渡しても、どこにもいません。
一体、どこに行ってしまったのでしょうか。
(探さなきゃ…絶対に…
見つけなきゃ…1秒でも早く…)
頭が高速で回っているのがわかります。
脳が、体が、心が、闇馬君を探している。求めている。
それはまさしく、「渇望」というものでしょう。
心の中で、何度も彼の名前を呼びます。
(闇馬君!闇馬君!闇馬君!……)
何度も、何度も、何度だって呼び続けます。
昔から、探し物をするときは探す物の名前を心の中で叫ぶ、と言うのが私の習慣でした。そうすると、あっと言うほど早く見つかるのです。まるで、探し物が自分の近くにきてくれたように。
もしかしたら、闇馬君も来てくれるかも?
そんなん願いを込めて、
私は、呼び続けました。
大好きな、彼の名を。
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さっきから、ずっど呼ばれてるんだが…
誰だ?ったく…はた迷惑な。
まぁ、誰だかはわかってるんだがな。
藤澤奈々だ。あいつしかいねぇ。
さっきから心の中にダイレクトに呼びかけて来やがる。
どこにいるの、いたら返事をして!ってな。
いや、返事するならわざわざ、
『召喚』しなくても良くないっすかねぇ。
そうなんです。奈々のやつ、俺を何十回も召喚しようとしてるんです。
残念だが、俺はあそこに戻るわけにはいかないのでな。
ここはシカトして、やり過ごすとするか
〔〔〔闇馬君!〕〕〕
うおっ!なんだめっちゃ響く!
音量大きすぎ!
(よかった、無事だったんだね!)
あ、やべ、応答しちゃった。
下には…活動をほぼ終了した魔法陣。
「回避不可能」
瞬時にそう悟った俺は、非常に残念ながら、宮殿へと戻ることになった。
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「もう、どこに行ってたのぉ…」
ヤベェ、めっちゃ可愛い。
不謹慎ながら、そんなことを思った。
「す、すまんな…なんか俺の能力がヤバすぎるらしくて、とっても面倒なことになりそうだったから逃げることにしたんだよ。」
「そう、だったんだ。
光、すごかったもんね…」
ちなみに、他の奴は誰も起きていない。
ありえねぇだろ?俺が逃げてから1時間も経ってるんだぜ?
みんなまだ伸びてるんだよ。もうヤベェよ。
「ってことで、ごめんな。みんなによろしく伝えといてく」
「だったら一緒に連れてって!」
…は?この子、今何て言いました?
「は、はぁ?」
声にも出てら。驚愕を隠せてねぇ。
「ダメ、かなぁ?」
そうやって、上目遣いで見上げて来やがる。何これ可愛すぎやろ!
こ、断れねぇ…
だがな、連れてくわけには…って、あれ?
別に、連れて行って良くね?
あれだ、男女のトラブルは俺が気をつければいいだろ?ずっと二人っきりってわけでもねぇんだし、各々のことは自分でなんとかすればいい。
クラスメートからの嫉妬?しらねぇよそんなん。
無視だ無視!気にしなくていい!俺の方が強そうだし!
そんなことを考えてたら、
「な、何でもするから!お洗濯でもお掃除でもお料理でも、私でよければ夜」
「わかった!わかったから!連れて行くから!」
それ以上言うな!君の口からそんな言葉を聞きたくない!
「ほ、本当ですかぁ…?」
スッゲェ喜んでる。ヤベェ。超可愛い。
うん、何だろうね?
今までは何ともなかったのに、なぜ今になってそんなに魅力的に…?
「ありがとうございます!もうずっと、ずっと一緒ですよ!」
「お、おう…」
うん、理由なんてどうでもいいね。
奈々は可愛い。それは確かだ。
そして俺は、その可愛さの虜になってしまったようだ。
今や何よりも、奈々の方が大切に思えてくる。
奈々が願ったなら、俺はたとえ世界だって滅ぼせる。
全てをかけて、守りたいと思える。
今の数瞬で惚れるとかどんだけだよ、って?
よしお前、ここに立ってみろ。そうしたらわかる。
…まぁいい。
とりあえずは、ここを抜け出すとしようか。
よし、ここは一丁カッコよく!決めるぜ俺!
「じゃぁ、行こうか?」
手を差し出す。
「は、はい!」
その手が握られる。
たとえ離れていようと、今繋がった手は、
繋がった絆は、永遠に離れない。
運命や死すらも、きっと断ち切れないだろう。
奈々の手を取り、彼女をお姫様抱っこする。定番だね!
「さぁ、行くか!」
「う、うん!」
そうやって俺は、宮殿のバルコニーへ駆け出し、
その縁を蹴って、外へ飛び出した。
やってみたかったんだよな、これ!最高だぜ!
その後、シクシクと泣く奈々を励ますのに3時間もかかってしまったのは、一応ここに記しておくとしよう。
今回はいつもよりも長めですね。収まり切らなかったので。
もうちょっと感動するシーンの描写ってかなぁー、書く力を鍛えねばなぁ〜。
頑張ります。