切って落とすのが好きなひと
小説を書く上で言葉の意味をうろ覚えで使っている事、ありませんか?
もしくは、言葉自体をうろ覚え、なんてこともあると思います。
誰かに見られていない時はそれでもいいのですが、こうしてオープンな場所でやっている時、恥をかくときがあるかもしれません。
聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥、という言葉もあるくらいです。
現代社会であればインターネットという便利な道具もあるわけでして、調べるのは1分も掛からないのではないかと思います。
でも誤用はしてしまいがち。
良くある『失笑』なんて言葉もそうですね。
呆れてしまうなんて意味はなく、嘲り笑う意味も無いです。
笑ってはいけないタイミングで笑う、例えば真面目な会議で変なことを言う人がいて笑ってはいけない場所で思わず笑ってしまう、なんて時に使う言葉ですが、その中に上記の意味は含まれてないんですよね。
良くあるものでは憮然なんてものもそうでしょう。
怒ってますか? いいえ怒ってません。落ち込んでます。
憮然って落ち込むって意味なのですよ。
私が一番嫌いな誤用の話をしましょう。
ずばり、戦いの火蓋が切って落とされる、です。
状況的に盛り上がりはクライマックスへ到達!というタイミングでの誤用。
はっきりいってテンションダダ下がりです。
火蓋、これは火縄銃についていたもので、現代の銃とは違い火縄銃は単発式。
それも縄に火をつけて火薬に着火するというものです。
そして、火蓋を切るの切るはこの火薬が入っている火皿を覆う火蓋を開くという意味です。
火蓋を切って落とすと最終安全装置が外れている状態にする、という意味になります。不発したり、意図せぬタイミングで発砲したり……。
では、なぜこんな間違いが出たのかと言うと、良く似た言葉に『幕を切って落とす』という言葉があるんですよね。
もともとは歌舞伎で華々しく舞台を始める時に使われている言葉だそうです。
それと混じっちゃったんですよね。
趣味で小説を書くとは言え、言葉を調べないのは恥ずかしいかなと思います。
特に、メジャー級に有名な言葉なので知ってる人からはこいつ切って落とすのが好きな奴だなって思われるかもしれないです。
でも、思いこみってのはあるので指摘されるまで分からないことが多いです。
なので指摘されたら覚えるくらいでも良さそうです。