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二節 ドワーフの世界に来ました


『うぉーーーーー』


 毛むくじゃらな姿のドワーフ達が巨大なマンモス型のモンスターに襲い掛かっていく。


「獰猛っていうのはああいう奴らなんだろうな」


 ドワーフ達とマンモスモンスターとの戦いを木の上で遠目に眺めていた。


【だが、神器の盾を作った技巧の持ち主だ】


 ドワーフ達の風貌からは繊細な仕事はとても想像出来ない。


《先代も面倒なことをしてくれたなあ》


 自身を封印する前に先代は神器を元の世界に飛ばして封印していた。


【封印を解いた者が神器を受け継ぐに相応しいかわからないからな】


《相応しいのか俺?》


 リベラルの言葉に不安が出てしまう。


【とりあえずな】


 俺の不安をリベラルが微妙な言葉で濁す。


《そこは断言しろよ~》


 はっきりしない態度に文句をつける。


【早く盾を探しに行け】


 ブーブー言っている俺の声をリベラルは無視した。


《わかりましたよ》


 俺はふて腐れた態度で木から降り、方位磁石に似た道具を取り出す。


 この道具は〈ゴッドパス〉という神器探知機だ。


 名前がダサいという感想はゼバブの前では言わなかった。


「さて、頼むぞ」


 俺は道具に神頼みするように語り掛ける。


 それに応えてゴッドパスは針を振るわせた。


「マジか」


 針が指し示したのはドワーフ達だった。


「〈スコープアイズ〉」


 俺は魔法で視力を上げ、ドワーフ達を観察する。


 マンモスモンスターの攻撃を先頭で耐えるドワーフに目が止まった。


《もしかして、あれが神器か?》


【だな】


 俺の問い掛けにリベラルが短く賛同する。


《神器って選ばれた者しか手に出来ないんじゃないのか?》


【あれはただ道具として使っているに過ぎない】


《宝の持ち腐れみたいな感じか》


【そういうことだ】


《じゃあ、返してもらいますか》


 俺はゴッドパスをしまい、ドワーフ達の側まで飛んで近付いた。




「ちょっとゴメンな」


 突然空から飛び降りてきた俺にドワーフ達が驚く。


「忙しい所悪いんだけど」


 ドワーフ達は警戒心剥き出しで武器を俺に向けている。


「パオォォォォォン」


 言葉を続けようと口を開きかけたとき、ありきたりな鳴き声が後ろで響いた。


「ちょっと静かにしててくれ」


 俺は振り向きマンモスモンスターを真っ二つに叩き斬った。


『お、おおーーーーー』


 平然とした顔で苦戦していた相手を倒した俺にドワーフ達が感嘆の声を出す。


「で、君にお願いがあるんだ」


 俺は刀を納め、盾持ちドワーフを右手の手の平で指して言った。


「何だお前は!」


 盾持ちドワーフが怒鳴り声で叫ぶ。


「その盾、俺の物なんで返してくれないかな」


 俺はなるべく刺激しないように愛想笑いをしながらお願いする。


「ふざけるな。これは勇者様が我らドワーフ族に預けられた物だ」


 盾持ちドワーフは唾を飛ばしながら一喝した。


「その勇者が俺なんだけど」


 俺は苦笑いしつつ右手で頭を掻く。


「嘘をつくな。何百年も前に勇者殿は死んでいる」


「それは先代で、俺は二代目なんだ」


「二代目?」


 興奮していたドワーフがピタリと止まった。


「そう、先代勇者の子孫なんだよ」


 これはチャンスと思い、説明を付け足していく。


「それで神器を返してもらいたくて来たんだ」


 俺の言葉に怪しむ視線を向けながら盾持ちドワーフは考え込む。


「ならば証拠を見せてもらおう」


 思い付いた盾持ちドワーフは大声で言った。


「証拠?」


「ガンデ山にいるドラゴンと対決してもらう」


「それだけ?」


 モンスター退治というシンプルな話にちょっと拍子抜けする。


「ただし、条件がある」


 盾持ちドワーフの言葉にそれはそうだよなと俺は思った。


「条件っていうのは?」


「一切反撃をせずにドラゴンの炎をこの盾だけで耐えてもらう」


「戦ったら駄目ってこと?」


「そうだ。ドラゴンは聖なる獣だからな」


 話を聞けば、ドワーフ達はドラゴンを神様のように崇めているらしい。


「どれくらい耐えればいいんだ?」


「俺が耐えた火吹きを一回、火の球を三回の記録を超えれば認めてやる」


「わかったよ」


 面倒だったが、無理やりは格好悪いと思い承諾した。


「じゃあ、行きますか」


「今は冬眠中だ。一週間程で目を覚ますだろう」


「何じゃそりゃ」


 また拍子抜けした俺は盛大にがっかりした声を出した。

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