十三節 ゴルザと決着つけました
「絶対ここは通すな」
美島がシーカーの隊員達に大声で命令する。
「攻撃開始!」
一斉射撃された銃弾が異世種目掛けて飛んでいく。
「ブオォォォォ」
牛型の異世種は雄叫びを上げながら銃弾を跳ね返した。
「ひるむな」
一瞬沈黙した隊員達に美島が檄を飛ばす。
『オーーーーー』
隊員達は気合いを入れた声を出しながら引金を引き続ける。
「ブオォォォォォ」
だが、鼻で笑うように異世種は撃たれた箇所を手で払った。
「やはり歯が立ちません」
部隊長が美島に向かって叫ぶ。
「総員、牽制しつつ撤退しろ」
美島の命令で部隊は撤退し始めた。
「ブオォォォォォ」
異世種は一帯に響く大音量で雄叫びを上げる。
「ブオォォォォォ」
「ブオォォォォォ」
美島達を取り囲むように新たな異世種が二匹現れた。
『ブオォォォォォ』
三匹の異世種が巨大な拳を振り上げる。
「駄目か」
すっと反射で美島は目を閉じた。
視界が真っ暗になった瞬間、強烈な風が巻き起こったのを美島は肌で感じる。
「お助けに参りました。レディ」
聞き覚えのある声に美島は目を開く。
「一郎さん?」
半信半疑で美島が声を掛ける。
「久しぶり」
俺はちょっと嘘臭い明るさで挨拶をした。
「何で覆面なんかを?」
「いや、もしテレビに映ったらまずいし」
報道のカメラに映ってもいいように俺は赤くキラキラのプロレスの覆面を被っていた。
「ダサ」
エリートの美島から聞くと思っていなかった台詞が吐き出される。
「ほっといてください」
【だから言ったのだ】
リベラルの呆れた声が聞こえた。
《妖精のくせにうるさい》
俺はリベラルを黙らせ、気を取り直す。
「待たせたね」
『ブオォォォォォ』
完全に放置された異世種達はご立腹のようだ。
「バイバイ」
俺が別れを告げると、異世種達がサイコロステーキみたいにバラバラに崩れた。
「大丈夫か?」
一瞬で終わった戦闘に美島は呆然としている。
「一郎さん」
声に振り向くと、時田が走って来ていた。
「久しぶり」
「もう心配したんですからね」
時田は笑顔だが、目には涙を浮かべている。
「悪い」
俺は小さい子供をあやすように頭を撫でた。
「そうだ、和んでいる場合じゃないんです」
「どうした?」
「巨大な反応が出たんです」
「もう来たのか」
「もう?」
俺の言葉に時田は疑問を浮かべた顔になる。
修行を中断して日本に戻ってきたのには理由があった。
「ああ、しつこい奴が来るって情報が入ってな」
「それは私のことですか」
「ああ、お前だよ」
声でわかったしまった俺は返事をしながら空を見上げた。
「しつこいのはあなたも一緒ですよ」
「なら、今日でお別れだ」
俺は刀を抜き構える。
「それはこちらの台詞です」
ゴルザも両手に剣を構えた。
「美島さん」
「総員、速やかに撤退」
名前を呼ばれただけで理解した美島は瞬時に隊員達に命令する。
「最初から全力でいくぞ」
「望むところです」
俺もゴルザもパワーを全開に上げていく。
【まだ完全解放は使えないからな】
《わかっているよ》
復活はしたものの、鎧は回復しきれていなかった。
「鎧はまだお元気がないようで」
不調に感づいたゴルザはムカつく笑顔を浮かべる。
「お前の為に用意してきたのがあるから喜べ」
「ほう」
ゴルザに宣言した俺は集中する。
「〈合体奥義、鋼魔神〉!」
大和流、魔法、花月流、三つのエレルギーが絡まっていく。
「おお、これは素晴らしい」
俺のエレルギーを感じ、ゴルザは恍惚の表情になる。
「では私も」
そう言ってゴルザは本来の姿であるデーモンに変化した。
「はあーーーーー」
「があーーーーー」
俺とゴルザは正面から衝突する。
エレルギーの塊同士がまるでスー○ーサ○ヤ人みたいに縦横無尽にぶつかり合う。
「はーーーーー」
「ははははは」
一進一退の攻防が繰り広げられ、互いに距離を取った。
「〈合体奥義、魔闘閃光斬!」
「魔邪双龍斬!」
俺とゴルザは息を合わせたかのように同時に技を放つ。
技が激しい爆発を起こし、眩い光が辺りを包む。
光がおさまるとこちらに歩いてくるゴルザが視界に入った。
俺の前まで来るとゴルザは立ち止まる。
「アディオス」
ウザい一言を残してゴルザは跡形も無く灰になって消え去った。
「じゃあな」




