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八節 勇者として帰ってきました


「弓隊構え、放てーーーーー」


 カミシアの号令でグルス軍の歩兵に大量の弓矢が降り注がれる。


「クリス、例の兵器は準備出来たか?」


 さらに追撃をする為にカミシアはクリスに声を掛けた。


「バッチリです」


 クリスは小型パソコンを操作しながら返事をする。


「よし、あの飛んでる奴を片付けてくれ」


 カミシアが指した先には翼が生えた魔族が空中から弓を放っていた。


「では、クリス特製〈白騎士軍団〉出撃!」


 クリスの指示で白騎士とちょっと軽量化された量産型が砦から飛び立っていく。


「白騎士、リンクは問題ないかい?」


「クリス様、大丈夫です。一号機から十号機まで完璧にリンクしています」


「じゃあ、やっちゃって」


「了解です」


 量産型は白騎士に連動して整った陣形を作る。


「フォーメーションA開始」


 白騎士軍団は航空自衛隊のパレードみたいに綺麗な動きで魔族たちを撃破していく。


「いいよ、いいよ。さすが私」


 クリスは自分の技術が思った以上に出す成果に興奮を隠し切れないでいた。


「クリス様、敵反応消滅しました」


「白騎士、一旦戻っておいで」


「了解しました」


 白騎士が軍団を連れて戻ろうとしたとき、三号機が突然爆発した。


「後方に巨大な物体が」


 白騎士の報告を受け、クリスが双眼鏡で対象を確認する。


「ワ~オ!」


 その大きさと美しい装甲にクリスは思わず声を漏らしてしまう。


「じゃなかった。白騎士、あれで対抗するわよ」


「ですが三号機が」


「八号機で代用しなさい」


「了解しました」


 返事をした白騎士は白騎士軍団にフォーメーションBという通信を送った。


「さあ見せてあげなさい!」


 クリスは眼鏡を光らせ声高らかに叫んだ。


「各機変形完了。これより合体モードへ移行します」


 量産型は手や足などに形を変え一体となり、最後に白騎士が頭として合体した。


「合体完了」


 敵に負けない巨大ロボットとなった白騎士が向かい合う。


「お~」


 これにはカミシアも声を出して感心する。


「攻撃開始!」


 クリスの指示で白騎士は敵ロボットに突進した。


 白騎士と敵ロボットが凄まじいパワーとスピードでぶつかり合う。


「やるわね」


 モニターに表示されたデータを見ながらクリスは呟く。


「〈黒武者〉武装モード解放よ」


 グルス帝国の陣地にいるマルードが通信で指示を出す。


「了解シマシタ」


 白騎士と違い、生命を感じさせない機械音声で黒武者が返事をした。


「白騎士、敵のエレルギー値が上昇しているわ」


「わかりました」


 白騎士が警戒していると、黒武者は体のあらゆる箇所を開いていく。


「武装エンジン始動」


 黒武者は開かれた箇所からジェットエンジンのような熱風を噴出させた。


「排除ヲ開始スル」


 強さが増した黒武者が白騎士を襲う。


「白騎士!」


 為す術なくダメージを負っていく姿にクリスが必死に呼び掛ける。


「損傷率九十パーセント、フォーメーションB維持不可能です」


 限界を超えた白騎士は合体が解け、地面へと落ちていった。


「黒武者、敵を殲滅しなさい」


「了解シマシタ」


 マルードの命令に従い黒武者は全身の砲門をカミシアたちへと向ける。


「クリス、シールドを展開しろ」


「もうやっています」


 カミシアの指示を前にクリスはシールドを砦に展開した。


「攻撃ヲ開始シマス」


 黒武者の砲撃がシールドを破壊していく。


「ダメです。シールドがもちません」


 黒武者の攻撃力が上回りシールドを砲撃が貫通した。


「これまでか」


 カミシアが撤退するしかないと思ったとき、黒武者の砲撃が突然止んだ。


「何をやっているの黒武者!」


 命令を無視したしもべにマルードはヒステリックを起こす。


「何が起こっている?」


 カミシアたちが状況に戸惑っていると、黒武者が真っ二つになり爆発した。


「バカな?私の発明が!」


 ハンカチを食い縛ってマルードが悔しがる。


「残念だったな」


「あなたは」


 マルードの視線の先には刀を肩に掛け空中に浮かぶ一郎がいた。


「今日はお帰り頂けるかな?」


「キーーーーー」


「バイバ~イ」


 慌てて撤退していくグルス軍に一郎は余裕の笑みを浮かべながら手を振った。

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