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七節 リベラルが復活しました


「う……頭が」


 目覚めた俺は激しい頭痛に襲われていた。


【一郎様、大丈夫ですか?】


 ソニアが心配して声を掛けてくる。


《ああ、何とかな》


 フラフラしながら俺は立つ。


《リベラルは?》


【眠ったままですが、確かに一郎様の中におられます】


《そうなのか?》


 霊体を取り込んだものの、あまり実感がなかった。


【さあ、早く精霊の世界へ帰りましょう】


 ソニアに言われ足を進めようとすると、地面から黒い物体が数体現れた。


「何だこいつら」


『……』


 黒い霊体の集団は無言で俺を囲い込んだ。


「怖いんですけど」


 あまりの不気味さに軽く腰が引けてしまう。


『ウォ~』


 黒霊集団は定番のような呻き声を出しながら俺の周りをぐるぐると回り始めた。


「何する気だよ」


 どうしていいかわからず、とりあえず防御の構えをとる。


『ウォーーーーー』


 一斉に向かって来た黒霊集団によって俺は黒い球体に閉じ込められてしまう。


《ぐぁーーーーー》


 球体に閉じ込めたれた俺はまたも激しいフラッシュバックに襲われた。


【一郎様!】


 ソニアが必死に呼び掛ける。


「頭が割れる!がぁーーーーー」


 邪気のせいで俺の体はまるで悪魔のような姿になってしまう。


「ふーふーふー」


 俺はギリギリだったが、理性を保っていた。


【機械人形の体をここまで変化させてしまうとは】


 予想以上の邪気にソニアも困惑してしまう。


《くそ、どうすれば……》


 今にも邪気に飲み込まれそうになっていると、さらに黒霊体が集まって来た。


『ウォーーーーー』


 見る見るうちにゴーレムみたいな化物が目の前にそびえ立つ。


「こんなときに」


 おぼつかない足取りでマジックソードを手に構える。


【一郎様、感情を昂ぶらせては邪気に飲み込まれます】


《だからってやられたらダメだろう》


 ソニアの制止を無視して俺はゴーレムに斬りかかった。


「はぁーーーーー」


「フガーーーーー」


 俺の一撃はゴーレムに簡単に振り払われてしまう。


「はぁ、はぁ、はぁ」


【一郎様、私に考えがあります】


《考え?》


【下手をすれば完全に邪気に取り込まれてしまいますが】


《いいから早く教えてくれ!》


 どちらにしてもこのままではやられてしまうと感じてソニアを急かした。


【鎧を呼び出してください】


《鎧を?》


【ペンダントの力を使って無理やりリベラル様を呼び起こします】


《そんなことしたらお前が》


 精霊の世界に残しているソニアの本体もただではすまないはずだ。


【大丈夫です。私の本体はゼバブ様が復活させてくれますから】


《わかった》


 ソニアの覚悟を受け取り、俺も決心する。


「ふー」


 俺は深くゆっくりと呼吸して気持ちを整えた。


「ガーーーーー」


 ゴーレムが拳を振り上げ、俺に襲い掛かる。


《リベラル、帰ってこい!》


 願いを胸に俺は目を閉じた。


「神器一体、着装!」


 悪魔のような体を白銀の光が包んでいき、綺麗に浄化していく。


「フガ」


 眩い光にゴーレムは攻撃を止め、目を覆った。


「しゃあ!」


 久しぶりに身に着けた白銀の鎧にテンションが上がった俺は思わず叫んでしまう。


【うるさい】


 そんな俺にツッコミをするのはソニアではなく、リベラルの声だった。


《いいだろ別に》


 俺はぶつぶつ文句を言って照れ隠しする。


【まだ敵がいるんだ、油断するな馬鹿者】


《わかっているよ》


「フガーーーーー」


「よっしゃ!かかって来い」


「フガーーーーー」


「大和流、烈風閃空斬!」


 一撃でゴーレムは粉々に砕け散った。


「しゃーーーーー」


 ガッツポーズをしながら俺は歓喜の声を上げる。


【うるさい馬鹿者】


 そう言うリベラルの声は言葉とは裏腹に嬉しそうだった。

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