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六節 黄泉の世界へやって来ました


《暗いというか、ドス黒いな》


 亡霊でも出そうな雰囲気に少し寒気がする。


【霊気が充満していますから】


《これは生身じゃ無理だ》


 メタルナイトから作った機械人形に俺は憑依してこの世界に来ていた。


【ペンダントも破壊されないように気をつけてください】


 ソニアが張った結界が俺の霊体を邪気から守ってくれていた。


《ああ》


【それと、霊体ですから魔法以外は使えませんよ】


《気をつけます》


 精霊という奴は世話好きの母親みたいなのが多いらしい。


《それで、リベラルはどこにいるんだ?》


【精霊の丘にいるはずです】


《よし、早く見つけてとっとと帰ろう》




《ここか》


 着いた場所は魔法の修行で見た丘にそっくりだった。


【リベラル様の魂を感じます】


 ゆっくりペンダントが浮き上がり、光の道標を指し示す。


 俺は光の線を頼りに足を進めた。


「お~い、リベラルいるか」


『あ~』


『う~』


《何か定番みたいな台詞しか聞こえないんだけど》


【どうやらリベラル様の周囲は霊子が強い者たちがいるようです」


《それって幽霊と戦えってことだよね》


【そうですね】


《はあ~幽霊って苦手なんだよね》


 俺は重い足取りで道を進む。


【この一帯です】


 ソニアの言葉で俺は立ち止まる。


 黒い靄のようなものが視界を遮り、周囲がはっきりと見えない。


《くそ、思うように動けないな》


【何か来ます】


 ソニアの言葉が聞こえた時には遅く、俺は何かに突き飛ばされた。


「かは!」


【一郎様!】


《大丈夫だ》


 俺の視線の先には黒い翼が生えた女型の霊体が立っていた。


【もしかして】


「シャーーーーー」


 ソニアが何か言っている途中で女霊体が俺を襲う。


「〈マジックソード〉!」


 霊体の攻撃を魔法剣で受け止める。


「シャ!」


「くっ」


 いつもと要領が違う戦いに後手後手になってしまう。


【一郎様、あれはリベラル様です!】


《は?どういうことだ》


【リベラル様の強い魂が邪気を融合させてしまったのかと】


《おいおい、どうすればいいんだよ》


「シャーーーーー」


 戸惑っている俺にお構いなしで女霊体は攻撃してくる。


「ちょっと待てよ」


 俺は傷付けないように攻撃をかわす。


《何か方法はないのか?》


 何とか距離を取ってソニアに問い掛ける。


【霊体を一郎様の霊体に取り込んでください】


《わかった》


【ですが、邪気に精神を支配される危険も】


《危険だろうとやるしかないだろう》


 俺は覚悟を決め、ソニアに言われるまま術式を唱えた。


「シャーーーーー」


 掃除機に吸引されるゴミみたいに俺の胸に女霊体が入っていく。


「おーーーーー」


 目まぐるしく様々な光景が脳裏に映し出され俺は気絶した。

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