二節 機械人の少年に出会いました
「ええと、メタルナイトの住処はどこか知っていますか?」
俺は体のあちこちが機械になっているおじいさんに尋ねる。
「あのバカでかい山がそうだよ。あんた、見ない顔だな」
俺はボロボロのマントで顔を隠した。
「ちょっと旅の途中でね」
俺はテキトーにごまかす。
「それに生身にしか見えないな」
おじいさんはジロジロと見て怪しむ。
「助かったよ」
俺は面倒になる前にその場を立ち去った。
《こんな調子で大丈夫かな?》
俺は歩きながら首からぶら下げたペンダントに問い掛ける。
【堂々としていれば問題ないと思います】
内に聞こえた声はリベラルではなく、ソニアだった。
《ならいいけど》
妖精王であるゼバブに言われるまま、俺は機械人の世界に来ていた。
《でも、死ねって言われたときはあせったよ》
【言葉は間違っていません】
《いや、説明が足りなさ過ぎるでしょ》
【リベラル様を蘇らせるには黄泉の世界へ行く必要があると妖精王は言いたかったのです】
《それで霊体になる為に仮死状態になれって説明すればいいじゃないか》
【一郎様、説明を最後まで聞かずに驚かれたのはあなたです】
《はいはい、すみませんでした》
妖精の相手がちょっと面倒くさくなる。
《で、邪気に満ちた黄泉に耐える為に機械人形に霊体を憑依させると》
【霊体だけで行けば黄泉の住人として取り込まれてしまいますから】
そんなわけでゼバブがこの世界への道を作り、ソニアが姿を変えついてきたのだ。
《まあいいや。さっさと手に入れに行きますか》
俺は足早に街中を歩いた。
木々を飛び移りながら移動していると森に響く怒声が聞こえ、足を止めた。
「おい小僧、それをよこせ!」
「ダメだ!これはやっと手に入れた材料なんだ」
声の方向を視ると、小学校低学年ぐらいの少年がガラの悪い男達にからまれていた。
「困ったな」
木のてっぺんで俺は頭を掻いて様子を伺う。
【一郎様、先を急ぎませんと】
ソニアは考え込む俺を急かす。
「う~ん、でもな。あ~やっぱりほっとけないわ」
俺は少年と男達の間に降り立った。
「お!何だお前は」
「どっから現れやがった」
「機械兵じゃないな」
地面をひび割れさせ現れた俺に男達は警戒して距離を取る。
「子供を襲って恥ずかしくないのか?」
「生きる為だ!」
小柄だががっしりとした体型の親分らしき男が叫ぶ。
「なら仕方ないな」
俺は刀を抜いて男達に向けた。
「おじさん、誰だよ」
子供は虚勢を張ってはいるものの、瞳は怯えていた。
「いいから、どっか隠れとけ」
「う、うん」
子供は言うとおり木に隠れる。
「さあて、どっからでも来い!」
「おーーーーー」
手下達は一斉に襲い掛かってきた。
「てい!や!は!」
俺は手加減しつつ、武器を破壊していく。
「怯むな!休まず攻撃しろ!」
親分は怒鳴って指示を出す。
「ほい、ほい、ほい」
俺は途中から完全に遊んでいた。
「ダメです親分」
手下達は疲れてへたり込む。
「情けない奴らだ、どけ!」
へたり込む手下達を蹴り飛ばし親分がズカズカと前に出てきた。
「誰かは知らねえが、邪魔するならぶっ潰す!」
親分は鎖鎌に似た武器を振り回しながら距離を詰めてくる。
「関係ないけど、邪魔するよ」
俺は相手の視線が追いつかない速度で間合いを詰め、武器を破壊した。
「この野郎」
ムキになった親分がブンブンと殴りかかってくる。
「大人しく逃げればいいものを」
俺はやれやれという感じで親分にボディブローを決めた。
「ぐふ……」
親分は泡を吹いてうつ伏せに倒れる。
「親分!」
手下達が慌てて駆け寄った。
「まだやるなら相手になるぞ」
俺は大袈裟に脅しを掛ける。
「ごめんなさい~」
手下達はアニメのザコキャラみたいに逃げ去っていった。
「おーい少年。もう大丈夫だぞ」
恐る恐る少年はこちらに歩いてくる。
「何で助けてくれたの?」
「別に。弱い者を助けるのが勇者だからだ」
「勇者?」
「そう」
ぐ~、俺の腹の虫が盛大に響く。
「よかったら家においでよ。ご飯あげる。大したものじゃないけど」
「悪いな。俺は一郎だ」
俺は少年に握手を求める。
「うん。僕はブリキ」
口数は少ないが、可愛らしくブリキは手を握り返してきた。




