六節 久しぶりにピンチになりました
「どうした!こんなものではないだろう」
土煙で見えない地面に向かってザダンが叫ぶ。
《これは全力出さないと勝てないか》
【だが、あの黒兜と戦う前に力尽きてしまうぞ】
《ここで死んだら、それこそお終いだろう》
【それはそうだが】
《こういうときは気合いだよ》
【わかった。思いっきりやってこい!フォローはしてやる】
《センキュー。リベラルさん》
精霊の励ましで覚悟を決める。
「はぁーーーーー」
俺は鎧の力を引き出す為に気合いを入れた。
「感じるぞ。実に素晴らしい。ハハハ」
みるみる上がっていく鎧の力を感じ、ザダンは一気に興奮する。
「神器!完全開放!」
激しい黄金の輝きが巻き起こすエレルギーで辺りが鮮明に晴れていく。
「おー待っていたぞ。さあ、勝負だ!」
高ぶる感情を抑えきれないザダンが満面の笑顔で突っ込んでくる。
「上等だよ」
空中で二つのエレルギーの塊がぶつかり合う。
「ていやーーーーー」
「おりゃーーーーー」
俺の叫びに応えるようにザダンも雄叫びのような声を上げる。
「せい!せいせい!」
「は!は!は!」
俺が放つ高速攻撃をザダンも負けじと受け返す。
《これは本当にやばいぞ》
【先代の全力を受けても死ななかった男だからな】
俺の弱音にリベラルは冷静に助言をしてきた。
「まだまだ!」
ゆっくりと作戦を考える暇を与えない攻撃が俺に襲い掛かる。
「あ~これでもくらえ!」
「こんなもの!」
苛立って放ったマジックボールはあっさりと片手で掻き消された。
「怪物かよ」
思わず背筋に寒気が走る。
「そんなものでなく、男なら己の技で来い!」
昭和の頑固オヤジみたいにザダンが言い放つ。
「お望み通りにしてやる」
俺は大和流と花月流の技で肉体を限界ギリギリまで強化した。
「ならばワシも全力を出そう」
ザダンの巨体がさらに大きくなっていく。
《死ぬのは嫌だな》
目の前の巨体につい我慢していた感情が漏れてしまう。
【大丈夫だ。お前は一人じゃない】
珍しくリベラルが励ましてくる。
《おう。そうだな》
その言葉に不安が消えていく。
最大限に高まったエレルギーに破壊され、一帯が工事後のような更地とかす。
「お前とはまだ勝負したいが、そろそろ決着といこう」
「こっちは二度とゴメンだよ」
互いに必殺技を出す為の構えをつくる。
「合体奥義、〈闘神閃空斬〉!」
「鬼神斬り!」
垂直に刃が交じり合う。
「はぁぁーーーーー」
「ふんぬーーーーー」
俺もザダンも一歩も引かない。
衝突し合うエレルギーで地面に出来たクレーターが大きくなっていく。
「おおおーーーたぁ!」
何とか振り絞った力で押し勝つ。
「バカな!」
そう言い残したザダンは地中奥深くにめり込んでいった。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
限界を超えた俺は薄れゆく意識の中、空中高くから急降下していく。
【お前は死なせない】
リベラルの術が俺をまばゆい光で包んだ。




