八節 魔法でバトルしました
「ひゃっほーい」
俺は気持ちの良い快晴の空を子供のように無邪気に飛びまくっていた。
【また落ちるぞ】
《大丈夫、大丈夫》
リベラルからの小言を軽く受け流す。
「マジ気持ちいいー」
全身に風を受け、思わず笑顔になる。
「そろそろ戻るか」
満足した俺は城へと方向転換した。
《でも、精霊も二日酔いするんだな》
【あれは変な薬のせいだ】
俺の言葉にリベラルはちょっとムッとして返事をする。
《ずっと黙っているから変だとは思ったんだよな》
飛びながらここ数日を思い出した。
【言葉は話せるようにしていたのだから文句を言うな】
いつもと違ってリベラルは拗ねた子供みたいになる。
《へいへい》
俺はいつもみたいにテキトーな返事を返した。
【ほら、ちゃんと見ていないと着地失敗するぞ】
話を変えるようにリベラルが注意してくる。
《ほ~い》
これにもテキトーに返事をする。
「すっかり慣れましたね」
着地するとクロウが待っていた。
「飛ぶのだけね」
「昨日の今日で大したものです」
「そうかな」
クロウの褒め言葉に右手で頭を掻きながら照れる。
「今日は模擬戦をしましょう」
「お!やるやる」
俺はゲームに誘われたみたいにテンションが上がる。
「では修行場に行きましょう」
「ああ」
「魔法書は読まれました?」
リング場で見合ったクロウが訊いて来た。
「まあ一応」
大賢者に教科書みたいなものをもらっていたが、軽くしか目を通していなかった。
「では、まず攻撃してください」
「じゃあ遠慮なく」
「どうぞ」
「〈マジックボール〉」
俺は集中して呪文を唱えた。
「〈マジックシールド〉」
俺が放った球体状の魔法をドーム状の壁でクロウは凌ぐ。
「では今度は守備で」
「了解」
俺とクロウは何度か功守交代を繰り返した。
「じゃあ、そろそろ模擬戦をしましょうか」
「そうだな」
「では行きますよ」
「かかってこい」
この数日でクロウとも打ち解けたおかげで、時間を忘れて修行に没頭した。
「ふ~。大分動きが良くなりましたね」
「そうかな」
何度訊いてもお世辞にニヤついてしまう。
「次は魔法で肉体強化したり、拳に魔法を宿して格闘戦をしてみましょう」
「そんなことも出来るの?」
「やっぱり魔法書は読んでないですね」
「バレたか」
悪戯っ子のように舌を出して誤魔化す。
「まったく。そういうのはハルに似ていますね」
クロウは珍しく怒った顔をしていた。
「そう言えばハルは何で外で生活しているの?」
気にはなっていたが訊けていなかったので、流れで訊いてみる。
「あの子は……はぐれ魔法使いですから」
「前にも言っていたけど、はぐれ魔法使いって何?」
「城での生活を拒否した魔法使いのことです」
「何で出て行ったの?」
「戦うことから逃げたんです」
「逃げた?」
「もうハルのことはいいですから。修行をやりましょう」
「そうだな」
なんかこれ以上はマズイと感じたので、素直に従った。




