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十二節 奥義が出来るようになりました


「死ぬもんか!」


 悪夢から覚めるように俺は意識を取り戻した。


「はぁ、はぁ、はぁ」


 現状がわからず周囲を見渡す。


「生きているよな?」


 全身を包帯に巻かれた状態でつぶやいた言葉が空しく部屋に響いた。


【ああ、お前は生きている】


 リベラルの声がいつもより優しく聞こえる。


《そうか、俺は生きているんだな》


 俺はゆっくり拳を握り、改めて実感した。


「一郎さん!」


 扉を勢いよく開け、大樹が抱きついてくる。


「イテテテ、おいおい」


 全身に言葉にならない痛みが走った。


「本当に死んでしまわれたのかと思いました」


 普段冷静な大樹の瞳に涙が溢れている。


「心配かけたな」


「さすが先代勇者の子孫というわけだ」


 いつのまにか一刀も部屋に立っていた。


「何とかね生きていますよ」


 やっと意識がはっきりしてきて、普通の口調で返せた。


「覚醒したお前なら、二、三日で傷が癒えるだろう」


「へ?マジ?」


 俺は疑いの視線を一刀に送る。


「大和流の第一の技は肉体活性だ」


「肉体活性?」


 英語の授業のように復唱した。


「鬼のような化物を個で退治するためには強靭が力が必要だった」


 一刀も学校の先生のようにゆっくり語る。


「それを細胞を意図的に活性化させることで大和流は可能にしたのだ」


《いやいや、本当に空想の世界だよ》


 またもやRPGみたいな発想に心でツッコミをした。


「その技を覚える為には死の淵に立つ必要がある」


 もちろんツッコミが聞こえない一刀は話を続ける。


「それであの修行だったわけ?」


「そうだ。あれで人を超えた人になる」


 いよいよ自分が日本人離れしてきたと実感した。


「力の使い方を覚えれば鎧の力は絶大となる」


「そんなに強くなる必要があるのか?」


「先代がこの世界に残した言葉に気になるものもあってな」


 一刀が珍しく不安そうな表情をしている。


「どんな?」


 俺は気になり続きを促した。


「世界の滅亡近しとき次代の勇者現れる」


 どんどんベタな設定が増えていっているような気がするなと思う。


「どんだけヤバイ敵なんだよ」


「そこまではわからんが、先代が恐れるほどだったようだ」


 そんな敵に勝てるのか不安になる。


「まあ、とりあえず今は休め」


「ああ」


 一刀に言われ、俺は横なり目を閉じた。




 命懸けの修行から二日が経ち、一刀の言ったとおり俺の傷は癒えていた。


「よし、力の使い方を教える」


「おう!」


 先代の予言は気になっていたものの、今は強くなることに集中することにした。


「これの名は〈大和体〉と言う肉体活性の術だ」


 そう言うと、一刀は深く腰を落とした。


「はああああああああああああああ」


 みるみる一刀の筋肉がふくらんでいく。


「よし、やってみろ」


 見本を見せ終わって俺に指示を出してきた。


「はーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」


 俺はとりあえずやってみる。


 すると嘘のように全身に力がみなぎってきた。


「その状態で巨岩に攻撃してみろ」


「わかった」


 俺は集中を切らさないように近くにあった巨岩に打突を繰り出す。


 ただの木刀で当てただけで巨岩は粉々に砕け散った。


「おお~。マジかー」


 生身の自分がやったことに馬鹿みたいな感想が出てきてしまう。


「うん。まあまあだな」


 気のせいか一刀の顔は晴れ晴れしい感じがした。


「おし、どんどんやるぞ!」


 ちょっと親しみを感じたかと思いきや、すぐさま一刀はスパルタ師匠に戻る。


「ええ~疲れた」


「何か言ったか?」


「いえ、何も」


 俺は素直に口を閉じる。


「はい!次!」


 こうして、やる気のスイッチが入った一刀の声が夕方まで延々と続いていった。



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