表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/90

十節 徹底的にしごかれました


「まだまだ!ラスト三十回!」


「このやろ~」


 中年同士の暑苦しい掛け声が木霊する。


 一刀と出会った日から十日経っていた。


「まず肉体をもっと鍛えないとな」


 その一言から徹底的に基礎訓練の毎日だ。


「なあ、技の稽古とかはしないの?」


「今のお前では技にも鎧にも振り回されるだけだからな」


 俺の提案はあっさりと却下される。


「へい」


【これで齢が同じとはな】


 リベラルから呆れ声と同時に嫌味を聞かされる。


《どうせ俺は未熟者ですよ》


 残り少ない気力で返事をした。


「お二人とも、食事の支度が出来ましたよ」


 料亭にいそうな格好で大樹が呼び掛ける。


「おう~」


 俺はフラフラになりながら山小屋に向かった。




「よく今まで鎧に殺されなかったな」


「ふぁ?」


 口に食べ物を含んでいたので変な声になる。


「鎧を使用したときの生命体の消費はすさまじいと聞いていたが」


「ああ。本来の力を使っていないからな」


 一刀の言うとおり、本来なら通常の変身でも消費はすさまじい。


 だが、リベラルが調整しているおかげで命に影響は出ていなかった。


「では、一郎どのはまだ強くなれるのですね」


 大樹は嬉しそうに話している。


《どんどんサラリーマンから離れているな》


 俺はふ~っと溜息をつく。


「かと言って、そんなに時間もないし」


 リベラルの話ではグルス帝国が不穏な動きをしているらしい。


「では、明日の試練をやり遂げたら技を一つ教えよう」


「え、マジで?」


「ああ」


 ニヤリと笑った一刀に嫌な予感はしたものの、期待に胸がワクワクした。




 ザザザー、凄まじい音を響かせながら目の前を滝が流れている。


「手本を見せてやる」


 一刀は滝の勢いで溢れかえる水の中に入っていった。


「せいりゃ!」


 掛け声が聞こえたと思った瞬間、下から上へ向け滝が一直線に割れた。


「おおお~」


 俺は思わず叫び声を上げる。


「とまあ、こんな感じだ。それと鎧は使うなよ」


 水をしたたらせながら一刀がこちらへ戻ってきた。


「マジでイケメンだな」


「意味のわからんことを言わずやれ」


 俺は言われるまま水に入る。


「冷てぇ~」


 一刀がノーリアクションだったので、この冷たさは予想していなかった。


「早くしないと死ぬぞ」


 冷静に一刀が告げる。


「やってやるよ!」


 あまりの寒さにテンションがおかしくなってしまう。




「一郎様大丈夫でしょうか?」


 大樹が心配して一刀に訊く。


「さすがにもう限界かのう」


 二人の心配する声は、限界なんてとっくに超えていた俺に全く届いていなかった。


「は、は、は、はぁ、はぁ」


 呼吸もままならない状況に返って集中力が増す。


「はあ~」


 俺は深く息を吸って大きく構えた。


「とりゃ!」


 無心で振り抜いた一撃で大きく滝が割れる。


「やった……」


 喜びの声も束の間、気力を振り絞りきった俺は意識を失ってしまった。




「一郎様、しっかりしてください」


「うう……」


「起きたか」


 意識を戻すと山小屋で俺は寝ていた。


「成功したのか?」


「ギリギリだったがな」


 一刀は壁にもたれかかりながら言った。


「そうか」


 それを聞いて安心して目をつぶる。


「しっかりと休んでおけ」


「ああ」


「技の修練は一つ一つが命掛けだからな」


 異世界に来て何度も死にかけたので、今更何だと思う。


「もう何でも来いだよ」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ