七節 また二日酔いしました
「カンパーイ!」
砦のあちこちで勝利の杯が交わされる。
俺もあぐらをかいてビールのような酒をぐびぐび喉に流し込む。
「本当にお前のおかげだ。一郎、ありがとう」
感謝を述べながらキーアが一郎に頭を下げた。
「いやいや、皆の助けがあってこそだよ」
サラリーマンのくせで調子のいい相槌を打つ。
【まだまだ未熟だがな】
いつものリベラルからの小言が入った。
《そうですね》
完全にテキトーな感じで返事をする。
「一郎さ~ん、飲んでますか~?」
ほろ酔いでも相変わらずののんびり口調が近づいてきた。
「おお、クリス」
俺もちょっと上機嫌で杯を交わす。
「あの軍勢を見たときは駄目かと思いました」
クリスは大げさに身震いをする仕草をした。
「いやいや、オーバーだな」
「本当に思いましたよ。あんな大軍、今までありませんでしたから」
さっきとは違い、今度は真剣な口調でクリスは返事をする。
「そうなのか。敵も本気出してきたってことなのか?」
「まだ底は見せていないと思います。恐らく、一郎さんの実力を測りたかったんでしょう」
「俺の実力?」
「一郎さんというか、一郎さんの鎧を使う能力と言うべきでしょうか」
そういうことね、と納得した。
「じゃあ、まだまだ強くならないとな」
俺は改めて実力不足を認識する。
「それだったら、まず武器ですね」
クリスは腕組みをしながら考え込む。
【いい武器が眠る国を知っているぞ】
話を聞いてないようで聞いているリベラルから突然に情報が入った。
《え、伝説の武器みたいな?》
ちょっとふざけた言葉遣いで訊いて見る。
【まあ、そんなものだ】
俺のおふざけは見事にスルーされてしまう。
《え!マジで?》
テキトーに言ったのが的中したので、ちょっと驚いてしまった。
【先の戦いで勇者が使っていた武器がある】
《そうなのか。で、それは今どこなんだ?》
【連れて行って欲しければ、とりあえず酒を飲め】
《は?》
武器と酒がどうして関係あるのかわからず変な声を出してしまう。
【とりあえず飲め。じゃあな】
《おいおい》
俺のツッコミは空しく心の中に響いた。
「一郎、どうした考え込んで」
すっかり酔っ払いになったカミシアが目の前にドガッと座り込む。
「ええとだな」
「武器か」
カミシアも何かいいものはないか考え始める。
「私が作ったのは駄目でしたし」
クリスも考え込む。
「……」
「……」
「……」
「ええい!面倒だ!」
少しの沈黙に耐えかねてカミシアが叫んだ。
「めでたい日だ、何も考えず飲めばいい」
さすが戦闘民族だ、気が短い。
「そうだな」
俺も賛同し、いろいろ考えることはやめて酒を飲み直し始めた。
チュンチュン。
ありきたりな鳥の声がする朝明けの光で目を覚ます。
「あ~頭痛い~」
完全に二日酔いのせいで頭痛がひどい。
「やっちまったなぁ。って、ここは何処だ?」
少しずつ覚めていく意識で周囲を見渡したが、全く見覚えがなかった。
【ジパングだ】
俺の疑問にリベラルが答える。
《ジパング?》
【武器が眠る国だ】
《はい?》
俺の頭は一気にパニックになった。




