第1話「アノ時から」
グリーン達のチームから離れて早くも1年半が経とうとしていた。俺としぇるはあれからどこのチームにも所属していない。
理由は特に無いのだが、俺もしぇるもまだ2人で活動しててもいいかー・・・なんて思い続けている間に気が付いたら1年半も経っていた・・・というわけである
しかし2人で活動してレベルが上がってきているのは確かだった。俺のレベルは4,2しぇるは4,4である。
もちろん俺もしぇるも頑張って上げようとしたわけではなく、2人でルイウと戦うとどうしても厳しい戦いが多くなったため工夫を凝らしたりしている内に実力も上がっていたらしい。
最初2人で初めて征伐しようとしたルイウのレベルは3だったのだが征伐しようとしたこっちが征伐されそうになった。たまたま近くに居た他のプレイヤーが居なければ今頃あの世逝きだったろう。
レベル3すら征伐できなかった理由は俺にあった。俺の実力があまりにも低すぎたためだ。
グリーン達のチームに入って少しずつレベルは上がっていったがそれはあくまでもグリーン達と一緒に征伐をしていたから・・・だ。
離れてみるとチームに入った頃とそんなに強くなってないんじゃないかと思えるくらいだった。
遡ること数ヶ月前・・・
そのためにルイウの攻撃を受けてしまい、助けようとしたしぇるまで危険に晒してしまった。結果、2人揃って病院に数日入院だ。
入院中に俺はどうしてルイウとの戦闘で攻撃を受けたのかを考えた。その原因が動きを翼に頼りすぎなのと動きが単調なんじゃないかと思った。
あのときのルイウはウイルス攻撃が無かったからよかったがウイルス攻撃を持っているルイウとの戦闘で攻撃を受ければマインドアウトしてしまう。
マインドアウトという最悪の事態を避けるためにもルイウの攻撃は基本全て避けなければいけないのだ。
というわけで退院後、しぇるに動きを見てもらったのだが・・・
「う・・・う~んちょっと遅いような気がー」
「まじかよ!?これでも精一杯スピード出してるつもりなんだけど・・・」
「それくらいのスピードだったら私でも簡単に見切れると思うんですよ」
空中で翼を使ってちょこまか動くのをしぇるに見せるといきなりのダメ出し・・・しかも見切れると言われてしまった。
「んじゃーちょっと1回模擬戦してみようぜ?」
ダメ出しされて簡単にはいそうですかとコロっと変わるのはなんだか癪だ。それに前に1度しぇると模擬戦をやったときは勝てたのだ。
『只今から【ウイング】対【シルバー】の模擬戦を開始します』
2人意外に人が居ないため、開始の合図はアナウンスで行う。
カゲロウとしぇるは10数メートル離れてお互いに構える。
『それでは・・・始め!!』
開始の合図が発せられると同時にカゲロウはしぇるに向かって突撃した。
対するしぇるはその場から一歩も動かず、武器を構えたままである。
・・・勝った!
少しも動かないしぇるを見てカゲロウは勝利を確信した。
空中を低く、ジグザグに動きながらしぇるに接近する。10数メートルあった距離はどんどん縮まっていく。
残り数メートルまで接近し、そこから急に上昇し、長刀を振り下ろす。
ジグザグの動きからの上昇して上からの攻撃・・・カゲロウの予想ではしぇるはコレを見切れずに自分が勝つと思っていた。
しかし・・・長刀を振り下ろした先にはしぇるは居なかった。
僅か数センチずれた位置にしぇるは避け、おまけに剣を持っている手はカゲロウの首へと延びていた。どう見てもカゲロウの完敗である。
「降参ですか?」
ニッコリと、しかし俺の首に当てている剣は少しも動かさずに問いかけてくるしぇる。結構怖いです・・・。
「・・・降参です」
俺が降参を告げると同時にアナウンスがしぇるの勝利を喋る。楽勝だと思っていたしぇるとの模擬戦はアッサリと俺の負けで終わってしまった。
そして現在・・・。
しぇるの模擬戦から俺はルイウを征伐して生活費を得ながら自分の動きを見直したりした。時々連携プレイも勉強したりもした。
そんなことを続けている内に気が付いたらレベルが上がってー気が付いたら強いルイウも征伐できるようになっていた。
2人でルイウを征伐するなら今はもうレベル5までならいける。レベル6は厳しいがもしかしたら征伐できるかもしれない。
いつのまにか動きの見直しや連携の勉強はやらなくなってしまったが今のところはいいかーとか思ってたりする。
1年半も経って俺もしぇるもそろそろどこかのチームに入ろうかと考えてはいるがまだ考えているだけである。今はまだ1年半と同じようにしばらくはしぇるとだけでいいかな?なんて思っている。
「カゲ・・さん・・・カゲロウさーん!」
「え?あ、ごめん。なんだっけ?」
いつのまにかちょっとぼーっとしてたみたいだ。しぇるがさっきから何か喋っていたはずなのに全然覚えてない
「もー今日は珍しくカゲロウさんが遊びに行こうって言い出したんですから忘れないで下さいよ!」
「あぁ、そうだったな。わりぃわりぃ」
そういえばそんな事を言い出したんだっけな。まぁここ最近ルイウの征伐ばっかで疲れたから息抜き・・・というのが本当の目的なんだけどな。
それにしても、ぼーっとしてる間になんか懐かしいことを思い出してたような・・・気のせいかな?
「ほらーカゲロウさーん?置いていきますよー!」
「あぁ、今いくよ!」
まぁいいか。ちょっと久しぶりに遊ぶんだし、思いっきり楽しもうか!
これはちょっと別の世界での話