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第2話「チガウセカイの誘い」

目が覚めてまず見えたのは天井。天井が見えたので自分は仰向けに寝かされているということが分かる。


体を起こそうとする・・・が痛くて動いてくれない。


よくよくみると所々包帯が巻かれている。と、なるとここは病院だろうか?俺病院に担ぎ込まれるほどの怪我・・・はあるな。


ルイウに液体をかけられた左手にも包帯がしっかりと巻かれている。だが俺がした怪我はこれくらいしか覚えていない。


となると、倒れている間に他のルイウが攻撃してきた・・・とか?


んー、それは無いか。そんなことはあのプレイヤー達がさせないだろう。第一あのルイウは一回り大きいルイウ以外噛み付くしか攻撃手段が無かった。


一回り大きいルイウにやられたなら怪我の箇所が少なくてもっと酷いはずだ。逆に小型のルイウにやられたなら俺は食われて命は無いはずだ。


それに、なんというか・・・この怪我、ルイウじゃなくて人間にやられたような気がするんだが・・・。


『体、奪ッタ、ヤッタ、ヤッタ』


・・・あー


『体、奪ウ。ニンゲン、言ッテタ。感染操作、新シイ感染ダッテ』


そういえば俺、あの一回り大きいルイウに体を乗っ取らたんだっけ。この怪我はあのプレイヤー達が俺を止めるために仕方なくやった・・・とか?


しまったな・・・あのとき俺は【4】のルイウを俺だけで征伐できる!なんて思って調子に乗ってたからな。思いっきり油断してたよ・・・。


自分の未熟さを反省していると不意にガチャっとドアが開く音がした。


「おー、目が覚めたカー?」


聞き覚えの無い声だったが声の主が俺の視界に入ると誰なのかが分かった。前の戦闘で危うい所を助けてくれた魔術師だ。黄緑色の髪の毛が特徴的だな。


この人は特に怪我はしていないみたいだけど・・・他の人はどうしたんだろう?


「あの、大丈夫でしたか?俺、ルイウに体を乗っ取られてたと思うんですけど・・・」


「おぅ、ミーは無事だゼー。ミーだケ、ナ」


やっぱりそうなってたか・・・ってっちょっと待て、俺そんなに強かったっけ?


あのプレイヤー達がもし俺と同じくらいのレベルだったとしても1人対5人だ。人数差が大きいから怪我をさせることすら難しいんじゃないか?


「うーん?なに深刻な顔してんだい?そこまで酷い怪我とかはしてないから安心しなってw」


あ、顔に出てたんだ。すぐ顔に出るのは俺の悪い癖だな・・・。


「えーっと・・・怪我の程度はどのような感じで?」


「うーんとダナ・・・一番酷くて複数個所を切られて一部ちょっと深くて、一番軽くて切り傷程度ダナ」


かなり大雑把な説明でよくわからなかったが最低でも2人ほど怪我したというのは分かった。


「レベル1,7の俺が5対1で戦ってそんな被害が・・・?」


そう言うと黄緑の魔術はちょっと驚いたように目を見開かせる。


「へぇ、ユーはまだ始めたばかりなんダネ。複数のレベル4のルイウを1人で戦ってたからもっとレベルが高いかと思ってたゼイ」


あぁ、それはあのルイウが急に地面から出現したからなんだよな・・・。俺も最初は逃げようと思ったんだけど逃がしてくれなかったんだよな・・・確か。


「あー・・・それはちょっと話せば長いんですが・・・それにしても何故そんな被害が出たのですか?」


「んー・・・レベル1,7とは思えない素早い動きで翻弄されてたかラナ。気絶させるためにミー達は手加減しなきゃならンシ・・・。それに、ミー達もそこまで強いとは言えないかラナ」


「・・・あの大きい方のルイウ、レベルアクシデントでもあったんじゃじゃないでしょうか?俺、まだそんな動きできませんよ」


「うーん、ユーの技量じゃなかったのかー。ちょっと残念だナーまぁレベル1,7ならそんなもんかネ」


あのルイウのレベルは実は5とか6だったんじゃないか・・・?感染操作という新しい感染暴走は最近数件発生しているらしいが・・・


「まぁとりあえずユーはあと1週間の入院だっテヨ。ミー達が止めるときにボカスカとやりまくったかラナ」


少し、申し訳なさそうに黄緑の魔術師の人が言うので俺は慌てて言った。


「いえいえ、元々俺の油断で感染してしまったんでこっちが謝るほうですよ」


そうかーw。と、笑いながら言って黄緑の魔術師は黙ってしまった。


いや、笑われてもちょっと困るというか、嫌なんだけど・・・


「んーユーはずっと一人で動いてるのカヨ?」


唐突に黄緑色の魔術師はそんなことを聞いてきた。


「はい、そうですけど?」


何故聞くのかわからないがとりあえず答える俺。更に質問する黄緑色の魔術師。


「料理とかできルカ?」


え?料理?なんで?


「えぇ、まぁそこそこできますけど」


「じゃぁ、退院したらちょっとミーのホームに来てくレヨ。コレ、場所だゼイ。」


一人でドンドン話を進めていく黄緑色の魔術師・・・おいおい、ちょっと待ってくれよ


「ちょっと待ってください、どういうことですか?」


「なぁに、来たら分かるヨ。グッバーイw」


引きとめる暇もなく手を振りながら陽気に出て行ってしまう黄緑色の魔術師・・・どういうことなんだろうか?


まぁ、あと1週間は入院してなきゃいけないみたいだしな。とりあえず大人しく怪我が治るのを待つか・・・。





一週間の入院生活というものはとても暇だった。リンクしている人も居ないから見舞いに来てくれる人も居なかったしな。


と、いうわけで先日の魔術師が教えてくれた場所に居るんだが・・・。


「・・・割りとでかいな。この家」


一人で住むにしては大きすぎる家。5,6人は住めそうなほどの大きさだ。


何故か嫌な予感がして回れ右でこの場から去りたくなるが来てしまった以上中に入らなければならないだろう。


何故呼ばれたのかさっぱりなのだが、もしチームに入れてくれたらメチャクチャ嬉しいなー・・・。


なんて甘い想像を膨らませて玄関に立ったところで想像を膨らませている場合では無くなった。


ガチャ! ガシ!!


「は?え?っちょ?!;」


突如ドアから出てきた赤髪の人に掴まれたかと思ったら肩に持ち上げられ、そのまま中に連れ込まれる。


「フィーーーッシュ!!」


「おい!っちょアンタ誰だ!離せ!!」


「離さん!メシは離さんぞー!」


メシぃ?!俺食われるのかよ!?


リビングと思われる場所に担ぎ込まれ、適当な椅子にドカ!っと手荒く降ろされる。


「オイオイグレイブ、そんなに手荒く扱うんじゃないヨ」


何処から現れたのか先週見舞いに来てくれた魔術師が赤髪の・・・グレイブと言うらしい人を小突いていた。


「んなに焦らなくたッテ・・・メシは逃げなイサ」


何故そこで笑いながら俺を見るのでしょうか。


少々・・・いや、かなり不安になって来たのでさりげなく天井の高さを確認する。そこそこの高さがあるので飛行することは可能のように見える。


いざというときは飛んで逃げよう。


「・・・一体何の用事でしょうか。俺、その辺は全然聞いていないんですけど」


椅子から立ち上がって万が一のことを考えていつでも飛べる体制を作っておく。


「ハハハハ、まぁ座って落ち着ケヨ。かるーい冗談だかラサ?」


ますます不安を煽るのは何故でしょうか・・・。


「はいはい2人ともそこまでにしなさい。怖がってるでしょ?」


「・・・2人とも意地悪」


「グレイブさんの言葉は色々省かれてるんだから知らない人が聞いたらビックリするに決まってるじゃないですかー」


わらわらと3人のプレイヤーが集まってきた。これで5人・・・たぶん全員かな?


「ごめんねーこの2人いつもこんな感じにバカやってるからさ。気にしなくていいよ」


「こーんな奴と一緒にされるなんて心外ダナ。ミーはコイツほどバカじゃないゾ?」


「黄緑色に異様に執着して黄緑色のこととなるといくらでも喋る人は少なくとも普通とは言わないと思いますよ?」


「・・・しぇる、ナイス」


「ぅぐ・・・お前ラナ・・・;」


なにやら楽しそうに会話するこの人たち・・・なんか俺放置されてんな・・・。


「あ、ごめんごめん。キミのこと忘れてたよ。えーっと・・・それでウチになんの用事かな?」


「あ、いや、俺もよく聞いてないんです。そこの人に来いって言われただけで・・・」


と、魔術師の人を指しながら言う。


「おー呼んだ要件を忘れるところだっタゼwソーリーソーリw」


陽気に笑う魔術師の人をグレイブと言う人を除いた3人が『あぁ・・・またか』とでも言いたそうな顔で呆れている。こんなことが前にもあったんだろうか?


「まぁ呼んだ要件はダナ、単刀直入に言うケド、ウチのチームに入らなイカ?」


「・・・はい?」


真面目そうな顔をして魔術師の人は続ける。


「ルイウに操られていたとはいエヨ、あの動きはすごいものダゼ?。ユーはまだ駆け出しだからあんなすっごい動きはできないかもだケド、今の内に引き入れておこうと思ってサー?」


「あぁ、確かにな。あんなに素早く動かれたら俺じゃ相手にならねぇぜ・・・」


「おーっと、勿論強制はしないゼ?入るか入らないかはユーの自由だ」


・・・あまりにも高く評価されていることと、チームに入れるということが嬉しくて、ちょっと喋れなかった。でも、言うことはすぐに決まった。


「・・・はい!よろしくお願いします!」


「オーケー、ようこそ。ミー達のチームへ!w」


全員が笑顔で迎え入れてくれる。こりゃ、楽しくやっていけそうだな。


「そんじゃま、自己紹介と行こうか。まずはミーから、このチームのリーダーのエメラルド・グリー

ンだ後から魔術で援護する役目ダゼ」


ふむふむ、黄緑色の髪の毛の魔術師さんはエメラルド・グリーンだな。


病室で話したときから思ってたけど口調がなんか変だな。エセアメリカ人みたいな?w


「じゃぁ次は俺な。俺はグレイブ。斧で片っ端から敵を切りまくってるぜ。ちなみにグリーンとは昔からの友達だぜ」


ふむふむ・・・さっき俺を拉致った人がグレイブさんね。


今後もあんなことがあるかもしれないからちょっと気を付けておこうかな・・・。


「・・・僕はユウリ、武器は槍、よろしくね」


ユウリって人はなんか口数が少ないな。でもなんかいつでも冷静そうな感じかな。


「じゃぁ次は私。私の名前はモモ。銃で援護したり銃弾で傷を回復したりすることができるからね。怪我をしたら遠慮なく言ってね」


で、銃を持ったこのチームのまとめ役っぽい人がモモさんっと。


この人はグリーンさんとかグレイブさんと比べてマトモそうだからな・・・何かあったらこの人に頼ったらいいかな。


「最後は私ですね。私はしぇる。片手剣を使ってて特殊能力で色んな攻撃ができるんだ。よろしくね」


最後は礼儀正しい人だな。色んな特殊攻撃・・・か。どんな攻撃をするのか気になるところだな


しかし・・・この人は俺とそんなに歳が変わらない気がするな・・・まぁこの人がしぇるっと。


「俺は、カゲロウです。見ての通り翼が生えていて翼を使った機動での一撃離脱を得意とします。これからよろしくお願いします」


俺も簡単に自己紹介をする。これからチームで戦うんだなっと楽しみにしながら・・・。


「あ・・・ところで入院中にグリーンさんが料理できるかって言ってましたけど結局何だったんですか?」


「んー、特に意味は無かったんダガ、たまーにここで全員でメシを食う時があるんデナ」


「たまにってレベルなんですかね・・・?」


「ちょくちょくって言ったほうがいいんじゃないかな?」


・・・どうやらここでよくご飯を食べることがあるみたいだな。ホント、楽しそうだよ。


これはちょっと別の世界での話。

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