未来視と予定調和
「また凄い事になってますね」
助手は薄暗い部屋、足元を走る複雑な配線を見て言った。
「ああ見てくれ」
博士は巨大な機械を叩いて、
「『ラプラス』と名付けた。未来すら予測出来る演算機だ」
「これで悪い未来を回避できますね」
それを聞いた博士は困惑した表情を浮かべた。
「どうかされましたか?」
「例えばなんだが……私が予知された未来を変えてしまったら」
「え、ええ」
「『ラプラス』は本当に未来を予知した、と言えるのか?」
ちょっと補足。
ⅰ 予知した未来を博士が変えた場合、『ラプラス』は未来を予知したとは言えない。何故なら博士の行動を予知できない事になるから。
ⅱ しかし、予知した未来を変えない/変えられない場合、『ラプラス』に存在意義はない。
つまり……。