第48話「加護の閃光・闘技の誓い」
モルテア・闘技場。
朝の陽光が円形舞台を照らし、空気には緊張と期待が満ちていた。
中央に立つのは、モルテア建国の主――レイ=アルヴェイン。
その向かいには、かつて王都で「Sランクパーティーの勇者」として名を馳せた男――アレン・グレイバー。
王都最強の剣士と呼ばれた彼は、かつてレイのリーダーであり、そして――追放を告げた本人でもあった。
観客席には、モルテアの民、魔族、そして――
レイと契約を結んだ、進化した4人の女性型モンスターたちが並んでいた。
- ミュー(元スライム):白銀の髪を揺らし、静かに戦況を見つめる癒し系の少女。
- グラ(元オーク):黒髪をなびかせ、妖艶な雰囲気で腕を組む姉御肌の美女。
- バル(元ゴブリン):筋肉質な戦士風の女性。鋭い眼差しで戦術を分析する。
- リリィ(元コボルト):尻尾を揺らしながら跳ねるように応援する、元気いっぱいな獣人少女。
「遠慮は無用だ、レイ。全力で来い」
アレンが剣を構え、静かに言った。
その声に、レイは一瞬だけ過去を思い出す。
王都の訓練場。
「お前には召喚士としての資質がない」――そう言って、アレンはレイをパーティーから外した。
だが今、レイはモルテアの主として、堂々とこの場に立っている。
「了解。じゃあ――いきます」
その瞬間、レイの体に神紋が浮かび上がる。
《セレオス》の加護が発動し、魔力が爆発的に増幅される。
空気が震え、光が走る。
「加護、展開――!」
次の瞬間、レイの姿が掻き消えた。
「……っ!?」
アレンが反応する間もなく、背後に気配。
「後ろですよ、アレンさん」
あり得ない速度で背後を取ったレイが、剣の柄で軽く肩を叩く。
「……速すぎる……!」
観客席がどよめき、契約モンスターたちが歓声を上げる。
グラ「ふふ、さすが私たちの主様ね」
バル「動きが洗練されてる。加護の制御も完璧」
ミュー「魔力の流れ、理論値を超えてるわ」
リリィ「きゃーっ! レイ、かっこいいー!」
アレンは笑みを浮かべ、剣を収める。
「参った。お前、もう俺より強いかもしれんな」
その言葉は、かつてレイを見限った男の、心からの称賛だった。
レイは照れくさそうに頭をかく。
「まだまだですよ。でも……ありがとうございます」
観客席からは拍手と歓声が巻き起こる。
モルテアの民は、主の成長を目の当たりにし、誇りと希望を感じていた。
その後、控室に戻ったレイは、契約モンスターたちに囲まれる。
ミュー「すごかったよ、レイ。あの瞬間、空間が歪んで見えた」
グラ「加護の力もあるけど……あんた自身が強くなってる」
バル「戦術の組み立ても完璧だった。アレンの癖、読んでたでしょ?」
リリィ「次は私たちとも模擬戦しようよ! もっと強くなれるよ!」
レイは笑いながら頷いた。
「うん。君たちと一緒なら、どこまででも行ける気がする」
──そして、モルテアの闘技場に吹いた風は、
この国の未来を照らす光となった。




