第47話「道の先に・交流の礎」
モルテア・新王城・戦略会議室。
魔導地図がテーブルに展開され、各地の交通網が光の線で示されていた。
その中でも、南の商業都市へと伸びる道が、ほぼ完成を迎えていた。
「エルヴァンへの道路の舗装は、レイ様の石精霊召喚によって順調に進み、
現在、最終区画の整備を残すのみとなっています」
土木担当官が報告する。
地図上では、魔力で強化された石道が南へと伸び、交易ルートとしての完成が目前だった。
経済顧問・バルド=エルネスが口を開く。
「今後の方針によりますが、王都への道路はいかがされますか?
現在は森と山を越えるルートしかなく、軍事的にも交易的にも不安定です」
会議室が静まり返る中、レイがゆっくりと立ち上がる。
「王都との接続は……慎重に考えるべきだと思う。
でも、南領地は違う。ここは、争いの境界だった場所だ。
だからこそ――交流の地にしたい」
リゼが頷く。
「南領地を“開かれた玄関口”にすることで、王都ともエルヴァンとも距離を保ちつつ繋がれる。
軍事ではなく、交易と文化の交差点として」
バルドが地図に印をつける。
「では、南領地を中心に、交易拠点と宿場町の整備を進めましょう。
王都への道は、外交の進展次第で段階的に検討する形で」
レイは静かに言った。
「モルテアは、閉じた国ではない。
でも、開くには“信頼”が必要だ。
その第一歩が、南領地になる」
──そして、モルテアの未来は、石の道と共に築かれていく。




