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第28話「侵攻会議・王の決断と戦火の序章」



王都イグナリス・王城・戦略会議室。


重厚な扉が閉じられ、室内には緊張が満ちていた。円卓の中央には、イグナリス王・ゼルヴァン・イグナリス三世が座している。銀髪に漆黒の軍装を纏い、冷徹な瞳が配下たちを見渡す。


「……モルテア国が、我が兵を討った。これは明確な敵対行為だ」


その言葉に、重臣たちがざわめく。


「陛下、偵察隊は境界線を越えただけとの報告もございます」


「越えただけで精霊障壁を破壊しようとしたのだ。モルテアはそれを防衛と称して反撃した。だが、我が兵が斃れた事実は変わらぬ」


王の隣に立つ軍務卿・ガルド・ヴァンデルが進言する。


「モルテアは交易を通じて勢力を拡大しています。放置すれば、周辺諸国との連携を許すことになります」


「ならば、今のうちに潰すしかあるまい」


王は静かに立ち上がり、窓の外――遠くの山脈の向こうにあるモルテアの方角を見つめる。


「かつて我が王都から追放された者が、国を築いた。民を集め、秩序を作り、交易を始めた。だがそれは、我がイグナリスの威光を脅かすものだ」


参謀長・セリュス・グレインが地図を広げる。


「モルテアは精霊障壁に守られていますが、南西の峡谷からの侵入が可能です。先遣隊を送り、障壁の弱点を探るべきかと」


王は頷く。


「よかろう。先遣隊を編成し、三日以内に出発させよ。交渉は不要。これは“討伐”だ」


ガルドが一歩前に出る。


「では、正式に宣言を。モルテア国は、王都イグナリスに対する反逆国家と認定。討伐令を発令いたします」


王は剣を掲げ、静かに言い放った。


「我が名において命ずる――モルテアを焼き払え」


その言葉に、会議室の空気が凍りついた。


そして、戦火の序章が静かに幕を開ける。


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