表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/27

第14話「悪魔召喚・灼熱の審判」



広場に展開された黒い魔法陣は、まるで地獄の門のようだった。


空気が震え、風が逆巻き、空が赤く染まり始める。精霊たちは一斉に後退し、村人たちは息を呑んだ。誰もが本能的に理解していた――これは、精霊の領域ではない。


リゼがレイに駆け寄る。


「レイ!その魔力……精霊を超えてる。これは“深層召喚”よ。戻って!今ならまだ――」


レイは静かに首を振った。


「戻らない。僕は、もう見逃さない。誰にも、これ以上は奪わせない」


ギルドカードが漆黒に染まり、脈打つように魔力を放つ。地面が軋み、魔法陣が完全に展開される。


そして――炎の柱が天へと伸びた。


咆哮と共に、灼熱の魔族イフリートが現れる。


その姿は、炎そのものだった。全身が燃え盛る紅蓮の鎧に包まれ、瞳は溶岩のように赤く輝く。背中からは炎の翼が広がり、地面に立つだけで周囲の土が焼け焦げていく。


「命令を」


イフリートの声は、地鳴りのように響いた。


レイは一歩前に出て、静かに言った。


「この国を傷つけた者たちを――焼き尽くせ」


イフリートが咆哮を上げた瞬間、広場全体が炎に包まれた。


王都の兵士たちは防御魔法を展開するも、精霊の加護を超えた悪魔の炎に抗えず、次々と倒れていく。鎧は溶け、盾は焼け、叫び声が夜空に響いた。


ブルゴスは剣を抜き、魔力を纏って突撃する。


「異端が……悪魔を使うか!ならば、王都の力で――!」


だが、イフリートの拳が振るわれた瞬間、空間が歪み、衝撃波が広場を貫いた。


「…誰だお前…」

ゴミ虫を見るような目でレイはつぶやいた


ブルゴスの鎧が砕け、剣が折れ、地に伏す。


炎が彼の周囲を包み、逃げ場はなかった。


リゼはその光景を見ながら、震える声で呟いた。


「……これが、女神召喚の“裏側”……精霊の先にある、神話級召喚の真の姿」


村人たちは沈黙の中、レイの背に“国主”としての覚悟を見た。


イフリートは命令を果たすと、魔法陣へと戻っていった。炎は消え、広場には静寂が戻る。


レイは膝をつきながら、静かに言った。


「僕は……守っただけだ」


その言葉は、誰よりも重く響いた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ